松谷 亮一 理事長の独自取材記事
松谷クリニック
(大阪市城東区/放出駅)
最終更新日:2024/05/13

学研都市線の放出駅から東へ歩いて3分。「医療法人潤優会 松谷クリニック」は、地域に親しまれている歴史ある耳鼻咽喉科と小児科のクリニック。「私のモットーは誠心誠意。患者さんは自分の家族だと思って診療にあたっています」と、笑顔を絶やさず出迎えてくれたのは、理事長を務める松谷亮一先生。あくまで地域密着型クリニックという基本スタンスを守りつつも、小さな子どもを抱える親の悩みに寄り添う小児科診療のほか、Bスポット療法とも呼ばれる上咽頭擦過療法、睡眠時無呼吸症候群治療といった専門性の高い治療を積極的に行うなど、患者や治療に対する思いは人一倍熱い。2024年にはリニューアルオープンし、ますますの発展が期待される同院。現在の取り組みや診療時のポイントなど、松谷理事長の熱い胸中をじっくり語ってもらった。
(取材日2023年2月6日)
移転・リニューアルした歴史あるクリニック
まずはクリニックについて教えてください。

当院は地域の皆さんに気軽に通ってもらえるクリニックをめざし、副鼻腔炎や中耳炎で苦しんでいる子どもたちの診療や、ご高齢で耳が遠い方の補聴器の相談など一般的な耳鼻咽喉科診療を中心に、難聴や耳鳴り、めまい、声がれなど、現代人に多い成人の疾患にも対応しています。また、先進の治療や医療機器を導入し、なるべく多くの皆さんの力になれるよう努めることも当院の役割だと考えます。例えば当院にはストロボスコープという機器があり、声帯の振動を直接見ることができます。喉や声のことでお困りでしたらご相談いただければと思います。他にも対応できることはまだまだたくさんありますから、困っていることがあれば、まずは何でも相談していただきたいですね。
これまでのクリニックから移転してリニューアルされたのですね。
当クリニックは1970年から続いてきたクリニックですので、近年できたクリニックに比べると患者さんにご不便をおかけすることも多かったように思います。実際、患者さんからも「もっと広かったらいいのにな」といった声もいただいていましたので、今回皆さんの想いも反映する形でリニューアルできたことをうれしく思っています。幸い旧クリニックの目前という理想的な場所に移転できましたし、院内もずいぶん広くなりました。実際「これまでよりも通いやすくなった」と好評の声をいただくことが多く、私もうれしいです。新クリニックでは診療室を増やして二診体制とし、小児科の診療や隔離時に使用する部屋も設けました。また動線も整理し、院内をすべてバリアフリーにしましたので車いすの方にも気楽にご来院いただけるのではないかと思います。
診察室にはたくさんのモニターがありますね。

患部を観察する際はCCDカメラを利用して、できる限り可視化しています。耳や鼻の中というのは普段は見えない部分だけに、通院が長引くと「まだ通わなくちゃいけないの?」と思われることもあるでしょう。そんな時に目で見て確認できれば「やっぱりもう少し通院したほうがいいな」とご納得いただけると思います。実際に経過を見ながら実感を得てもらうことは私が大切にしていることの一つで、開業してからずっとこのスタイルを続けています。お子さんたちにも、モニターに映る自分の鼓膜を見てもらいます。毎回見ていれば「ここが赤いね」と自分で気がつく子もいるかもしれませんね。自分の体のことですから、大人だけでなく子どもにも関心を持ってほしいと思っています。
専門性の高い治療で患者のさらなるニーズに応える
特に力を入れていることはありますか?

最近ニーズが急増しているのは、Bスポット療法とも呼ばれる上咽頭擦過療法です。これは鼻の奥から喉につながる上咽頭の炎症に対して薬を直接塗る処置で、鼻や喉の奥の痛み、不快感や違和感などの改善を目的としています。患部へのアプローチは鼻からと喉からの2通りがあり、痛みを感じるものではありますが、なるべく苦痛を与えないよう患者さんの特性を見ながらセレクトするのがポイントです。最初は「怖い」と治療をためらう方もいらっしゃると思いますが、痛みに敏感な方にも配慮して進めるよう心がけていますし、過度に怖がる必要はありません。当院には、この処置を受けるために、わざわざ調べて遠方から来られる方も多いです。
睡眠時無呼吸症候群の治療も行っていますね。
睡眠時無呼吸症候群になると眠りが浅くなるため熟睡感がなく、日中も眠くなって倦怠感や集中力の低下を招きますので、車を運転する人や精密な仕事をしている人には深刻な問題になります。さらに、眠っている間に呼吸が止まってしまうため心臓や肺に大きな負担がかかり、寿命に影響したり突然死の原因になったりする場合もあるため、決して軽んじてはいけません。体型的な問題と関連性が深く、40代以上の肥満気味の男性に多く見られるのが特徴です。治療に関しては睡眠時に機械で空気を送り込んで気道を確保することにつなげるための持続陽圧呼吸療法、いわゆるCPAP療法が中心です。当院ではさまざまなタイプのデバイスを用意していますので、患者さんに合わせて選択することが可能です。また、鼻閉塞のある場合は鼻に入れるチューブ状の医療機器、下顎の落ち込みで舌根沈下が起こる場合は歯科と連携してマウスピースを用いた治療も行っています。
小児科の診療も行う理由を教えてください。

子どもを持つお母さんの中には、「耳鼻咽喉科と小児科、どちらを受診したらいいの?」と迷われる方が大勢いますし、小児科とかけ持ちして大変な思いをしている患者さんもいます。ここに小児科があればそのような悩みは不要になると考え、毎週土曜日に専門の医師を呼んで小児科診療を行うようになりました。大阪の民間クリニックで、耳鼻咽喉科と小児科を併設しているところは少ないと思います。耳や鼻はもちろん、おなかのことや皮膚のことも同時に診療できますから、子どもの日常的な疾患のほとんどはここで対応できると思います。また、同じ建物内に小児科の先生がいることでリアルタイムで情報を共有し、適切な治療につなげられるよう複数の視点から総合的な診断ができることは大きなメリットだと考えています。
必要なのは、誠心誠意と奉仕の気持ち
耳鼻咽喉科の分野だけでなく幅広い観点で診療を行っているのですね。

患者さんのことを考えるなら、耳鼻咽喉科をメインにしているクリニックだからと耳・鼻・喉だけを診ていればいいというわけではありません。お子さんなら小児科、大人の方なら他科との連携が必要になることもあると思います。大切なのは、私たちのもとに足を運んでくださった皆さんに、健康で元気になっていただくこと。そのためにできることがあれば、積極的に取り入れていきたいです。豊中市の千里中央にも分院の「せんちゅうクリニック」を開院していますので、そちらでも力になれたらと考えています。
医師として心がけていることについて教えてください。
やはり患者さんに対して誠心誠意接していくことが何より大切ですね。患者さん一人ひとりに合った最良最適なサービスをめざして、誠心誠意で提供していく。そのために問われるのは、やはり人としての資質ではないかと思います。社会に貢献して奉仕する気持ちがないとやっぱり駄目だと思うんです。どの職業でもそうかもしれませんが、何らかのかたちで人の役に立つことがモチベーションであるべきではないでしょうか。要はハートですね。それが伝わるか伝わらないかは、ひとえに私たちの努力にかかっていると思います。ここでこうして診療しているのも何かのご縁で、本当に温かい人たちに囲まれながらここまでやってこれました。その期待に応えられるよう、今後も励んでいきたいと思います。
それでは最後に、地域の皆さんにメッセージをお願いします。

わが子の体調が優れない時は、本人はもちろん看病する保護者だって大変です。最初はクリニックに連れていくこと自体が大変だったり、嫌がるわが子を見てかわいそうだと思ったりするかもしれませんが、子どもたちは「自分にとって必要なこと」だとわかれば治療に協力してくれるようになるものです。最初は泣いても大丈夫。安心して連れてきてください。もちろん、大人の方も我慢しすぎずに気軽な受診を。長くつらい症状に悩んできた方にも、さまざまな治療法を提案いたします。病気や治療法についてわからないことがあるのは当たり前です。遠慮せずになんでも聞いて、皆さんの健康に役立てていただければうれしいです。