頻尿や尿漏れなどの悩みは
女性医師に相談してQOL向上を
池田産婦人科医院
(京都市伏見区/桃山南口駅)
最終更新日:2025/08/22


- 保険診療
頻尿や尿漏れなど、尿に関する悩みを抱える女性は少なくない。しかし、恥ずかしさから泌尿器科への受診をためらっている人や、たいしたことではないと我慢している人もいるようだ。「特に泌尿器科は男性患者が多いというイメージから、行きづらいと感じている人もいるようです」と話すのは、京都市の「池田産婦人科医院」の井上真理子院長。同院では泌尿器科(Urology)と婦人科(Gynecology)の境界領域を専門に扱うウロギネコロジー、通称「ウロギネ」に特化した外来を開設。女性医師が泌尿器科と婦人科の疾患の境目をなくし、同性のデリケートな悩みに寄り添った診療を行っている。今回は婦人科の医師である井上院長、泌尿器科を専門とする神尾絵里先生に、尿トラブルの種類やその原因、治療法について詳しく聞いた。
(取材日2022年6月6日/情報更新日2025年6月19日)
目次
泌尿器疾患と婦人科疾患を境なく診療し、相談しづらい女性特有の尿トラブルの改善をめざす
- Q尿トラブルで悩んでいる女性は多いそうですね。
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A
▲「ぜひ早めに泌尿器科の医師に相談してほしい」と話す神尾先生
【神尾先生】頻尿や尿漏れなどの尿に関するトラブルは中高年以降に増えますが、若い女性にもよく見られる症状です。特に妊娠中は腹圧が高く尿が漏れやすく、産後も骨盤底筋が緩むことが原因で、尿漏れの前段階であるお湯漏れが起こる場合も。お湯漏れは入浴後、膣の中に入ったお湯が後から出てくる症状です。多くの人が経験するものの、医師に相談すべき症状だと認識していなかったり、産後だから仕方ないとそのままにしてしまったりするケースも少なくなく、それが40~50代以降の頻繁な尿漏れにつながっていくケースも多いです。そのまま放置すれば悪化する一方ですから、ぜひ早めに泌尿器科の医師に相談してほしいですね。
- Q尿トラブルはどのような原因で起こるのですか?
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A
▲たくさんのこだわりを詰め込んだ院内
【神尾先生】例えば尿失禁は大きく分けて、尿道に問題がある腹圧性と、膀胱に問題がある切迫性の2種類があります。腹圧性は妊娠出産を経験し、尿道をしめる骨盤底筋が緩むことが大きな原因です。くしゃみをしたり重い物を持ったりすると漏れてしまうのが特徴ですね。また、赤ちゃんが大きくなると腹圧が高くなるので、妊娠後期になるとかなり多くの方が尿漏れを経験されます。肥満も腹圧が高くなる原因の一つなんですよ。一方、切迫性は加齢に伴い膀胱が過敏になる過活動膀胱などが原因です。糖尿病や高血圧などの基礎疾患、脳神経系の病気やヘルニアなど脊椎の病気が原因になることも。腹圧性と切迫性の症状が併発するケースもありますね。
- Q検査・診察・治療は何をするのか気になります。
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A
▲婦人科疾患と泌尿器科疾患を幅広く診療し、患者の悩みに寄り添う
【神尾先生】まずは原因特定のために尿検査や排尿状況の検査を行います。尿検査では主に膀胱炎かどうかを調べ、膀胱炎ならお薬の処方で済むケースが大半です。膀胱炎が見られない場合は、排尿日誌をつけてもらって1回の尿量や頻尿の程度を把握することもあります。意外にも水分を取りすぎていただけという人もいて、その場合は水分量の調整指導を行って症状の改善を図ります。治療は腹圧性の場合も切迫性の場合も、緩んだ筋肉を鍛える必要がありますから、骨盤底筋体操に取り組んでいただきます。腹圧性の尿失禁ならば、約3ヵ月間ほど体操をしても変化が見られない場合には、尿道をしめる目的のお薬を使うこともあります。
- Q体操を続けるのは根気が必要ですね。
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A
▲「一人で悩まず、勇気を出して一歩踏み出してほしい」と話す院長
【井上院長】骨盤底筋体操は一定期間継続する必要がありますが、ご高齢の方は比較的成果が現れにくいのが難点。そこで当院では、骨盤底筋を鍛えるためのトレーニングを指導しています。自宅でトレーニングする際も、どこをどう鍛えればいいのか、わかりやすくお伝えいたします。また、骨盤底筋体操もコツコツ取り組めば、尿漏れやお湯漏れの予防につながります。膣トレーニングともいわれ、ウェブでも多くのトレーニング情報が出回っていますが、自己判断では骨盤底筋にアプローチできていないことも。専門家に指導してもらうことをお勧めします。
- Qこちらには「ウロギネ」に特化した外来があると伺いました。
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A
▲リラックスしてもらえるように待合室まで案内するようにしている
【井上院長】「ウロギネ」とは、泌尿器科(Urology)と婦人科(Gynecology)の境界領域にある病気を治療する専門分野「ウロギネコロジー」の略称で、この外来では尿トラブルやデリケートゾーンの痛みや不快感、骨盤臓器脱など女性特有の疾患を広くカバーしています。女性の場合、泌尿器科のハードルは高いようですが、当院なら診療科を気にせず受診していただけます。婦人科と泌尿器科でそれぞれを専門とする医師がおり、互いに連携して専門性高く診療しています。また、院内スタッフが全員女性なのも安心できるポイントです。疾患を治療するだけではなく、患者さんの抱える悩みに寄り添うことも大切な役目だと考えています。