症状・気持ちを理解して
患者に寄り添うリハビリテーションを提供
百万遍クリニック
(京都市左京区/元田中駅)
最終更新日:2025/04/10


- 保険診療
「リハビリテーション」の語源は、再び適した状態に戻す、再び人間らしく生きるという意味を持つラテン語であるといわれる。単にケガや疾患からの回復や痛みの軽減を促すだけでなく、その後の生活を患者が望む状態により近づけるために、体を動かす運動療法などが提供されるのがリハビリだ。それだけに、体の状態だけでなく、「患者さんのリハビリに対する思いや要望を理解することが欠かせません」と話すのは、「百万遍クリニック」の理学療法士である島浩人さん。同院では理学療法士が常駐し、患者に寄り添ったリハビリを提供している。同院のリハビリの特徴や流れ、希望者が増えているというスポーツリハビリなどについて島さんに聞いた。
(取材日2025年3月17日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q通常のリハビリとスポーツリハビリの違いを教えてください。
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A
当院のリハビリでは、理学療法士が患者さんの体を動かしながら、筋力を高めたり関節の可動域を広げたりすることを促し、運動能力の回復・向上をめざします。通常のリハビリの場合は、変形性膝関節症、変形性股関節症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などにより膝や腰の痛みを訴えて受診される方が中心です。骨折などケガをされた方のリハビリも提供しており、若い方からご高齢の方まで幅広い年齢の患者さんが来られます。一方、スポーツリハビリは、スポーツの練習や試合でケガをして、医師の診断でリハビリが必要とされた方が対象です。大学が近いこともあり、捻挫、膝の十字靱帯損傷、半月板損傷、野球肩など、さまざまな理由で受診されます。
- Qこちらのリハビリにはどのような特徴がありますか?
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A
一人の患者さんのリハビリにかける時間が40分と長いことが大きな特徴です。基本的に担当制を採用しており、担当の理学療法士が家庭環境や普段の行動などを聞いた上で、適したリハビリメニューを提供するようにしています。スポーツリハビリでも、患者さんの目標をきちんと理解した上でのリハビリの提供を心がけています。体が思うように動かない、ケガをしてしまったという場合、落ち込んでしまうことも多いため、話を親身に聞くなど、メンタル面でのケアを大切にしていることも当院の特徴です。丁寧なリハビリを実践するためには人材が必要で、当初1人で始めましたが現在は3人の常勤スタッフに非常勤のスタッフも加わって対応しています。
- Q運動機能の回復がリハビリの目標ですか?
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A
筋力など運動機能の回復が図れたからといって、すぐに動きが良くなるわけではありません。筋肉には「特異性の原理」があり、リハビリの成果を発揮するためには、実際の生活上の動作やスポーツの種目に合わせたトレーニングや動作訓練を行う必要があるからです。例えば、歩行能力を向上させるためには歩行動作のトレーニングが欠かせません。ご高齢者の場合は、立ち上がりが厳しくなるケースが多く、こうした場合も理学療法士が介助しながら立ち上がり動作の練習を行い、生活上のアドバイスも行うこともあります。スポーツリハビリでも、まずはスムーズに体が動かせる状態をめざしながら、負担がかかりにくいフォームや動作の指導も行います。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1医師による診察・検査
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リハビリを受けるためには、事前に医師の診察を受ける必要がある。医師が診察や検査の結果をもとに診断を行い、診断に基づいてリハビリが提供される。同院は急患にも対応しているが、診療は基本的に予約制なので、パソコンやスマホから予約を取ろう。院内には、エックス線検査装置のほか、MRIや超音波(エコー)診断装置なども備えられており、より詳しい検査・診断に対応できる体制を整えている。
- 2理学療法士よる評価とリハビリプログラムの作成
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医師の診断に基づき、リハビリを担当する理学療法士が患者の体の動きなどを評価する。さらに、ゆとりのある時間枠を生かして、患者と担当の理学療法士がしっかりとコミュニケーションを取りながら、一般のリハビリなら、どのような動きに支障があり、どのような状態をめざしていくのか、スポーツリハビリならリハビリに対して何を求めているのかなどを明らかにした上で、一人ひとりに合わせたリハビリプログラムを作成していく。
- 3担当の理学療法士によるリハビリ開始
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リハビリは完全予約制となっており、初回は医師の診察後、2回目以降はリハビリが終了した後に予約を取る。毎回のリハビリは基本的に担当の理学療法士が行う。頻度は週1回が基本だが、患者の状態によっては週2回のリハビリが望ましいケースもあるそうだ。期間は医師の診断を受けてから150日間以内と決められているものの、介護認定を受けている場合以外は、その後も1ヵ月あたりトータルで260分までリハビリが受けられる。
- 4チームワークを生かした経過観察
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リハビリの期間中は定期的に医師の診察があり、症状などを確認。診察の結果は、理学療法士と共有され、患者から聞き取った意見や要望なども踏まえて、より現状に即したリハビリプログラムの提供に活用される。同院では、月に1回、整形外科の医師を交えたカンファレンスも行われており、患者の状態などについて理解を深めているそう。マッサージやけん引、温熱療法といった物理療法も週に4回提供されている。