重富 博之 院長の独自取材記事
百万遍クリニック
(京都市左京区/元田中駅)
最終更新日:2025/04/10

京阪本線・叡山電鉄叡山本線の出町柳駅より徒歩10分。京都大学吉田キャンパスのほど近く、寺社が点在するエリアにある「百万遍クリニック」。地域に根差し、専門的な医療の提供に力を注ぐ同院には、子どもから高齢者まで幅広い世代の患者が足を運ぶ。2020年10月より新たな診療体制を整え、重富博之先生が院長に就任。長年、整形外科を専門に総合病院などで経験を積んできたベテラン医師だ。同院では整形外科、乳腺外科、内科、放射線科にリハビリテーション科、それぞれ専門の異なる医師が在籍。MRI、超音波骨密度測定装置といった先進機器を駆使し、質の高い診断・治療をめざしている。今回は、重富先生にクリニックの特徴や診療方針、新たに導入した検査装置のメリットなど、整形外科の話を中心にじっくり語ってもらった。
(取材日2022年6月10日/情報更新日2022年10月20日)
先進機器を駆使し、質の高い検査・診断をめざす
最初に、こちらのクリニックの特徴を教えてください。

当院では、整形外科、乳腺外科、一般内科と幅広い診療を提供しています。整形外科を専門とする私の他、京都大学医学部附属病院との連携のもと、各科の専門医師が多数在籍しています。最近では、スポーツ整形を始め、スポーツをする学生さんなどでも来院される方が増えましたね。また、地域のクリニックでありながらMRIなど先進機器を備えているのも大きな特徴といえるでしょう。エックス線検査では診断が難しい場合には、MRI検査はもちろん、さらにピンポイントで超音波検査も実施できます。地域のクリニックからのご紹介や当院のホームページをご覧になった方など、MRI検査を目的に来院される患者さんは多いですね。予約状況によっては当日の検査も可能です。また、2022年5月末には、エックス線を使用せず、超音波により腰椎および大腿骨の骨密度を測定するREMS法による検査装置を導入しました。
検査設備の充実に努めておられるのですね。
そうなんです。例えば、過去にエックス線検査でヘルニアなどの病気であると診断されたものの、その程度や原因がよくわからず、「もやもやした思い」を抱えていらっしゃる患者さんも少なくありません。そのような方にMRI検査を行い、現状を詳しくご説明することで「もやもや」を解消していただきたいと考えています。また、当院は検査設備が充実しているだけでなく、放射線科を専門とする医師による精密な画像診断を行っているのも特徴です。しかし、検査はあくまでも手段でしかありません。診断後には、患者さんお一人お一人に合った適切な治療を提案させていただいています。経験豊富な医師が担当しますので、安心してお任せいただけるとうれしいです。
新たに導入された超音波骨密度測定装置について教えてください。

医療施設の多くは、エックス線を照射し骨密度を測るDEXA法を導入しています。精度の高さが見込めますが、被ばくがあり専用検査室と大規模設備が必要で誰でも受けられる検査ではないのです。当院ではREMS法を導入し、DEXA法と同等の精度で測定可能で非常に小型のため訪問診療にも利用可能。エックス線を使用しないので被ばくの心配がなく、乳がん手術後の方や妊娠中の方、そして金属を取り除く必要もないためどなたでも検査が受けられます。また大きなメリットとしては骨粗しょう症の早期診断と、治療に役立つこと。DEXA法だと加齢に伴う骨棘の影響で正しく骨密度の値が測れないことがあり、治療の開始が遅れてしまう場合もあります。REMS法ではその影響を受けず精密な数値にて診断がしやすいので、適切な治療を適切なタイミングで開始することができます。費用もDEXA法と同程度ということもあり、60~90代の患者さんにお勧めです。
訪問診療など、地域の人々の幅広いニーズに対応
REMS法での骨密度検査について、もう少し詳しく教えていただけますか。

骨粗しょう症の治療には骨吸収抑制剤や骨形成促進剤を使用することがありますが、こうした薬を使用し始めるのにも、ある程度骨密度が必要ですので、早期に介入できるほうが望ましいのです。そのためにも精密な検査ができる環境を整えたいと思い、REMS法による骨密度検査を採用しました。例えば「この患者さんはそこまで骨密度が高くないだろう」と予想していても、意外と高いということもあります。またその反対もあり得ますので、治療方針の決定に役立ちますね。また、診断の他にも、骨形成促進剤を使用している患者さんなどには、経過の確認で約4ヵ月に1回のペースで受けていただきます。検査結果については、レポートをお渡ししていますが、各項目について患者さんも理解しやすいように、説明をつけ加えているんですよ。
どのような患者さんが来院されますか。
当院には、小学生からご高齢の方まで幅広い世代の患者さんがいらっしゃいます。ご高齢の女性に多いのは、加齢に伴う腰痛や肩凝りですね。ご高齢の男性には膝や関節、足首の痛みなどを訴える方もいます。一方、お子さんに多いのはケガです。近隣には小学校などもありますので、運動会でケガをしたり、骨折したりした患者さんが来院されます。
訪問診療も行っていると伺いました。

グループホームなど介護施設への訪問診療を行っています。意外に思われるかもしれませんが、グループホームは医療過疎になってしまっていることが珍しくありません。介護スタッフの人数には限りがあり、またご本人の状態によってはご家族が付き添って受診するのも難しく、なかなか医療を受けづらいのではないでしょうか。当院では基本的に内科の医師が訪問診療を行いますが、必要に応じて私が足を運び、骨粗しょう症で圧迫骨折の疑いがある患者さんなどを診察することもできます。圧迫骨折と診断された場合には一度当院へお越しいただき、画像診断や血液検査を行った上で、さまざまな治療のアプローチを検討していきます。訪問診療においても、前述のREMS法による骨密度測定装置を積極的に活用しようと考えています。普段はなかなか病院に行きづらい環境にいらっしゃるからこそ、訪問診療をきっかけに早期に必要な治療を受けていただければうれしいですね。
診療体制のさらなる強化により適切な治療につなげる
ところで、先生が医師をめざしたきっかけは何だったのでしょうか。

医師である父の背中を見て育ちましたので、私も自然と医療の道を志すようになっていました。父は一般外科の開業医でしたから、その影響で、私も最初は一般外科を志望していたんです。しかし研修医時代、当直に行くと一般外科よりも整形外科のほうがニーズが高いことに気づき、研修終了後、整形外科に入局しました。これまで数多くの患者さんとの出会いがありましたが、ご高齢の患者さんの手術は特に鮮明に記憶に残っています。100歳を超えた元気なご老人の手術を行ったこともあり、とても印象深かったですね。
クリニックの今後の展望をお聞かせください。
当院は、2020年10月に新たな診療体制を整えました。今後、当院が所属する武田病院グループをはじめとした医療施設との連携をさらに強化し、より専門的な治療の提供に取り組んでいきたいと考えています。婦人科の診療もスタートしますので、世代によって移り変わっていく女性の多様なお悩みに寄り添っていきたいですね。整形外科に関しては、前述の超音波骨密度測定装置を活用し、多くの方に安全性に十分配慮した検査を受けていただける体制を整えていきます。また、2022年10月にはリハビリテーション室を開設し、MRIでの精密な診断から、理学療法士による治療まで当院で完結して行えるようになりました。これにより、さらなる痛みの軽減が期待できますので、ぜひ多くの患者さんにご利用いただきたいです。
最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします。

現在治療中の病気やケガがあり、ご自身の症状や治療について不安や疑問を抱えている方がいらっしゃるかもしれません。わからないことやご心配なことなど、遠慮せず何でもお気軽にご相談ください。もちろん、健康相談のような形でも構いません。皆さんのお悩みに向き合い、できる限り対応させていただきます。また、当院には大学病院などで活躍する医師が多数在籍し、初診の時点から専門家による診断・治療を受けられるのが強みだと自負しています。充実した検査設備のもと、病気の早期発見に努め、早期に適切な治療につなげていきますので、一貫してお任せいただければと思います。ぜひ当院をご活用ください。