定期的な検診で早期発見をめざす
発症予防にも役立つ大腸がん検診
わごうヶ丘クリニック
(愛知郡東郷町/日進駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
がんによる死亡数の上位とされる大腸がん。早期発見し治療できれば根治も見込める一方、初期段階では自覚症状が少ないのが特徴で、「気になる症状はない」という段階から定期的に検診を受けることが望ましいといわれる。消化器内科が専門で、数多くの内視鏡検査を手がけてきた「わごうヶ丘クリニック」の三木健司院長は「自治体の大腸がん検診や健康診断で行われる便潜血検査の結果を参考に、大腸内視鏡検査を受けていただきたいです」と訴える。大腸がんは正常な粘膜から発生するものだけでなく、腺腫という良性ポリープががん化するケースがあり、良性ポリープを早くに切除しておけば大腸がん発症の予防につながる可能性もあるそうだ。今回は三木院長に、大腸がん検診のメリットや検査の内容を解説してもらった。
(取材日2019年12月13日)
目次
目立った症状がないままに進行する大腸がん。定期的な検診で早期に病気の芽を摘み取る
- Q大腸がんの特徴や原因を教えてください。
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A
従来、大腸がんはポリープから生じるといわれていましたが、実際にはいろんな発育様式があることが分かってきました。進行すると出血や便秘などの症状が起こりますが、初期段階には目立った症状がないのが特徴です。発症の原因の一つに挙げられるのが日本における食の欧米化により発生率が増加傾向にあります。またポリープは、加齢に伴ってできやすくなるといわれているので、40代以降は定期的に検診を受けることが望ましいです。また、遺伝的要因も指摘されており、血縁者に大腸がんを患った人がいる場合は、若年層でも発症リスクが高いといわれます。早い段階で見つけられれば予後は良いとされるので、定期的な検診を受けることが大事です。
- Qどんな検査をどのように受ければ良いですか?
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A
中年期以降の方は目立った症状がなくても、便潜血検査を受けましょう。この検査は、事前に採取した2日分の便から出血の有無を調べるもので、簡便ながら目視ではわからない微量の血液も確認できます。自治体が行う大腸がん検診、人間ドックや企業の健康診断などで行われる大腸がん検査では、便潜血検査と問診を行い、がんをはじめとする大腸疾患の可能性を評価します。そして検査結果で1回でも潜血が陽性であった場合は、大腸内視鏡検査による精密検査を実施します。なお、長く続く下痢や頑固な便秘、便の狭小化、下血などの症状が既にある場合には炎症性腸疾患、ポリープやがんの可能性も考えられるため、早めに専門の医師に相談しましょう。
- Q大腸内視鏡検査の流れを教えてください。
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A
はじめに検査を受ける医療機関で問診を受けていただき、医師や医療スタッフから検査に関する注意点やおおまかな流れを解説してもらいます。このとき、既往歴や持病、服用薬、家族歴なども併せて共有しておきましょう。検査では、事前に腸内をきれいにする必要があるため、検査前日は指定された時間までに消化の良い食事を済ませ、下剤を服用してから就寝。検査当日も半日かけて下剤を服用します。検査でポリープが見つかった場合は切除し、病理検査によって組織学的診断をします。ポリープ切除によって将来がん化する可能性を未然に摘み取ることができるので、予防的観点からも大腸内視鏡検査を受ける必要性は高いといえます。
- Q大腸内視鏡検査は苦痛が伴うと聞き、不安です。
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A
検査時の痛みは挿入した内視鏡により腸管が過伸展することで起こります。内視鏡の挿入技術や送気の量、そして患者さんの体格、年齢、手術歴等も検査中に起こる苦痛に影響します。しかし裏を返せば患者さん一人ひとりの大腸の形状の個性を捉え、無理な力をかけず、空気量を調整し腸管を過伸展させないよう技術を駆使して検査を進めることができれば、苦痛を軽減できます。麻酔薬などで眠った状態にして検査を行うのも一つの手段ですが、副作用のリスクも否定できません。当院では、安全性には十分配慮して基本的には麻酔薬を用いず検査を行っています。また、ポリープを切除する際も痛みはほとんどありませんのでご安心いただければと思います。
- Qクリニックで検査を受けるメリットとは何ですか?
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A
小回りが利きやすく、日々の診療の延長線上で検査が行えるところでしょうか。例えば大きな病院であれば、麻酔処置などにも対応していますし、経験豊富なドクターによる検査を受けることもできるでしょう。ただ、検査を受けるまでに時間がかかるなど、不便さを感じる場面が見受けられます。当院のように検査に応じるクリニックであれば、予約状況にもよりますが比較的すぐに検査を受けられるのがメリットの一つです。また、他の疾患と合わせて継続的に同じクリニックで診させていただくことで、適切な時期に「そろそろ検査をしましょうか」と提案することもできます。患者さんも検査に対して意識が向きやすくなるのではないかと思います。