榎本 康宏 院長、榎本 一成 理事長の独自取材記事
榎本内科
(豊田市/保見駅)
最終更新日:2024/10/17

愛知環状鉄道線の保見駅から約徒歩2分の場所にある「榎本内科」は、糖尿病などの生活習慣病の治療を中心に、在宅医療まで行う地域のかかりつけ医だ。日本糖尿病学会糖尿病専門医である榎本康宏先生は、2021年に院長に就任。日本循環器学会循環器専門医である父の榎本一成理事長とともに、2つの領域の専門性を軸にした親子二人三脚の診療を行っている。「地域を支えるクリニックでありたい」と笑顔で語る2人の医師に地域や診療への思い、注力している治療など幅広く聞いた。
(取材日2024年8月5日)
糖尿病を中心に在宅診療まで行い地域医療に貢献する
ご開業からこれまでの歩みを教えてください。

【一成理事長】1993年に開業した後、2009年に思い切って医院を建て替えました。バリアフリー化はもちろん、患者さんの負担にならない動線を一番に考えて通路を広くし、処置室はベッドではなく、リクライニングチェアにしました。点滴の時などは、ベッドに横たわるよりもリクライニングチェアのほうが患者さんの負担が少ないですからね。また、将来、息子とともに診療ができるようにと、診察室を2つ作りました。現在、それが役に立っています。
地域にとってどんなクリニックでありたいとお考えでしょうか?
【康宏院長】糖尿病など私が専門としている治療を中心に診療するのはもちろんですが、地域を支え地域医療に貢献できるクリニックでありたいですね。当院には私の専門である糖尿病の患者さんが多いのですが、幅広い症状でお悩みの方がいらっしゃいます。心臓や肺に関する疾患、物忘れ、日々の体調の変化から、足が痛い、蜂に刺された方までさまざまです。地域のかかりつけ医をめざしている当院は「何かあればご相談ください」というスタンスなので、患者さんも気軽に来てくれているのではないでしょうか。また、地域医療の一環として在宅医療にも注力していきたいと思っています。
在宅医療は今後の課題なのでしょうか?

【康宏院長】そうですね。これからさらに地域の方の高齢化が進み、足腰が悪くなるなどの理由で通院ができなくなってしまう方も増えるでしょう。そうなった場合に健康の問題を相談したいけどできないという状況を避けるためにも、しっかりサポートできる体制を整えたいですね。住み慣れた家で過ごしたいと思っている方がいたら、それはぜひ支えていきたいなと思っています。また、在宅医療に関しては一つのクリニックで完結するには無理があるので、近隣のクリニックとも連携を取りながら、進めていきたいです。
生活習慣病を患っても適切な治療で一病息災をめざす
康宏院長は、いつからこちらの診療に加わったのですか?

【康宏院長】私は名城病院や大垣市民病院、トヨタ記念病院などでの勤務を経て、2016年の春から当院での診療を始め、2021年に院長に就任しました。父が体調を崩したのがきっかけで開業医として道を歩むことになりましたが、この数年で父から多くのことを学び、地域医療の大切さも再認識しました。一緒に診療を始めて感じたのは「父が患者さんに愛されている」こと。それを患者さんを通して教えられました。父は「わかりやすい言葉」と会話しやすい雰囲気を大切にして、患者さんの話を丁寧に聞き取ります。それは私も大いに見習いたいですね。また、父は昔ながらの基本に忠実な診察である、聴診・打診・触診・視診を大切にしています。検査機器が限られている開業医にとっては非常に大切なことなのだと、改めて気づかされました。
お二人のご専門を教えてください。
【一成理事長】私の専門は循環器で、開業前は加茂病院(現・豊田厚生病院)の内科に勤めていました。勤務医時代は、専門の循環器疾患だけでなく、腎疾患や透析も担当しました。その頃の経験が開業医となった今、たいへん役に立っています。学生時代は、得意ではないところを一生懸命勉強しよう、挑戦しようという気持ちもあって循環器内科を選びました。循環器内科というのは全身を診る診療科ですから、結果として良かったと思っています。
【康宏院長】私も内科ですが、専門は糖尿病や内分泌疾患です。糖尿病は患者さんに長く寄り添っていくことが治療の基本。そんな点が自分に合っていると考えました。患者さんの悩みを聞くことが治療に結びつくケースは少なくありません。
注力している治療はありますか?

【康宏院長】糖尿病、高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病の治療です。いずれの病気もあまり自覚症状がないので、放置してしまう方や治療に対して前向きにならない方も多いですが、きちんと治療をすれば将来的に大きなメリットにつながります。そのため、当院ではしっかりと治療の必要性をお伝えして、健康寿命を延ばすための治療と予防を重視しています。糖尿病の場合、一度発症すると完治させるのは難しいですが、一つ病気があってもうまく付き合って健康に長く生きることも望めます。単純に寿命を延ばすよう導くのではなく、健康寿命を延ばすために促すことが本当の課題だと思っているので、当院では「一病息災」をめざしています。
こちらでは、AGAやEDの診療にも対応されているそうですね。
【康宏院長】生活習慣病とも共通する話なのですが、AGA(男性型脱毛症)や、糖尿病の合併症でもあるED(勃起障害)は、かかってしまうと日常生活の中で気をつけなければいけないことが増えて、「生活の幸福度」が下がってしまう病気です。生活の幸福度が下がってしまうのは、とても悲しいことですよね。ですから、そういったところに少しでも寄り添いたいと思い、診療を始めました。AGAもEDも血流障害が原因の一つとして挙げられますが、その場合、改善のためにはお薬だけではなく運動も大切です。私の診療が運動習慣を取り入れるきっかけになったらうれしいですね。
患者を主体とした治療でモチベーションを継続
患者さんと接する時はどんなことを大切にしていますか?

【康宏院長】皆さんが日々の生活で頑張っていることを見つけて、努力を認めることを大事にしています。自覚症状がない病気の方なら、毎月もしくは2ヵ月に1回通院してくれるだけでも本当に素晴らしいです。そういうところをしっかりお伝えして、治療を継続してもらえるように心がけています。その上で治療の必要性と、治療する目的も患者さんと共有します。治療の主役は患者さんで、私はサポートする立場。私が提案する治療法に対してどのような思いを抱いているのかもお聞きします。こちらからアドバイスをする時は、命令口調にならないようにすることも意識していますね。患者さんと話し合いながら治療方針を一緒に考えていくようにしています。「医師に言われたから取り組む」のではなく、治療が私事になることが生活習慣病に限らず治療で大事なことではないでしょうか。
大規模病院との連携についても教えてください。
【康宏院長】豊田市は病診連携が取りやすい地域であり、基幹病院とのやりとりはインターネット上で可能なので、当院での治療を継続しつつ基幹病院で定期的な精密検査を受けていただくと、より安心かと思います。生活習慣病は自覚症状が出てからでは負担が大きいため、予防が大事ですが、患者さんは、なぜこの薬が必要なのか、なぜ毎月通院しなければいけないのかという疑問を少なからずお持ちではないでしょうか。精密検査を受けることで、病態の視覚的な確認につながるので、症状が深刻化していないかを見つけることだけでなく、患者さんが現在受けている治療の重要性をご自身の目で見て再確認できると思います。患者さんにとっての「転ばぬ先のつえ」と「治療の意識づけ」となる精密検査も、必要に応じて受けていただくよう声がけしていきたいですね。
最後に今後の展望と読者へメッセージをお願いします。

【康宏院長】当院は生活習慣病のサポートをしているので、これから食事指導をさらに手厚くしていきたいです。生活習慣病は付き合い方によって、10年20年先、あるいはもっと先の未来が大きく変わることにつながります。生活習慣病との適切な付き合い方をお伝えしたいと思っていますので、お悩み事や不安なことがあればいつでもご相談ください。生活習慣病は自覚症状がないので、健康診断を受けていただくことも重要です。「最近、健康診断を受けていない」方がいれば、何はともあれ来院していただければと思います。「自分は大丈夫かな」と気になった時が受診のタイミングです。来院していただいて何も異常がなければ、それはとても良いことですので気軽に相談してください。
自由診療費用の目安
自由診療とはED診療/1100円~、AGA診療/6000円~