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外科処置から看取りまで
人生に寄り添う在宅医療の在り方

くまい医院

(春日井市/勝川駅)

最終更新日:2021/10/12

くまい医院 外科処置から看取りまで 人生に寄り添う在宅医療の在り方 くまい医院 外科処置から看取りまで 人生に寄り添う在宅医療の在り方
  • 保険診療

足腰が弱くなって移動に不自由が出たり、病気やケガから寝たきり状態になってしまったりと、何らかの理由からクリニックに通うことが難しくなった際、選択肢に挙がる在宅医療。医師や医療スタッフが患者の生活の場に足を運ぶため、通院に関する負担の大幅な軽減につながる。ただ、一昔前は自宅で最期を迎えるのも珍しくなかったが、現在はそんな機会も減ったため、ともに生活する家族が「自分に“患者”のお世話ができるだろうか?」と不安に感じるケースも少なくないだろう。そもそも在宅医療では、どんなことができるのだろうか。地域のホームドクターとして在宅医療に取り組み、春日井市において長年にわたり患者とその家族に寄り添う「くまい医院」の隈井知之院長に、在宅医療の在り方について話を聞いた。

(取材日2019年5月9日)

地域住民の生活を守るホームドクターとして、24時間体制で患者やその家族に寄り添う

Q在宅医療の特徴やメリットを教えてください。
A
くまい医院 在宅医療で使用する道具

▲在宅医療で使用する道具

在宅医療は、患者さんの生活の場に入って医療を行うため、「患者さん寄りの医療」だと思っています。病院やクリニックは、どれだけ医療環境が充実していても、患者さんにとっては勝手のわからない場所です。一方ご自宅は患者さんが自分らしくいられるフィールドですから、自然とリラックスできるというメリットもあるんです。例えば、入院中にせん妄などの症状が表れていた認知症患者さんが自宅に戻ると、症状が治まるケースもあるんです。医療を行う上で“最適”といえる現場は、必ずしもクリニックや病院だけではない、ということですね。

Q在宅医療の対象となるのはどのような方でしょうか?
A
くまい医院 在宅医療について話す院長

▲在宅医療について話す院長

特に制限などはありません。しいていえば、何らかの理由で「通院が難しい」という方ですね。足腰が弱っている、寝たきり状態であるなどの身体的な理由に加え、認知症や、知的障害や外に出られない精神障害、身体障害など、通院に際してご家族などのサポートが必要な場合も、これに該当します。対象となる病気も限定されてはいませんから、当院でもさまざまな疾患の患者さんを、看取りも含めてサポートさせてもらっています。また、在宅医療の他にも訪問看護や訪問リハビリテーション、デイサービスなどの看護・介護側の提供資源もうまく活用しながら、患者さんやご家族が安心できる医療の提供をめざしています。

Q在宅医療を希望する場合、まず誰に相談すべきでしょうか?
A
くまい医院 在宅医療のためのエコー

▲在宅医療のためのエコー

基本は、普段お世話になっているかかりつけの医師ですね。かかりつけの医師が在宅医療に取り組まれていたらそのままお世話になれれば安心でしょうし、たとえ行っていなくても、在宅医療に取り組む医師や専門のクリニックとの橋渡し役を担ってくれるはずです。当院の在宅医療の患者さんも、外来診療から移行された方だけでなく、他院からのご紹介がきっかけの方も多いです。在宅医療を希望するが、かかりつけ医がいない場合は、在宅医療に関して専門的な知識や経験を持つ医師に相談してみましょう。また現在入院中で、退院後から在宅医療を希望する場合は病院に設けられている入退院支援部門に相談するのもよいかと思います。

Q貴院が行う在宅医療の特徴について教えてください。
A
くまい医院 家族が相談しやすい雰囲気もつくってくれる

▲家族が相談しやすい雰囲気もつくってくれる

いくつかありますが、対応できる疾患を制限していないこと。ご自宅であっても検査や処置が行えるよう機器を充実させていること。あとは当然ですが、24時間365日いつでも連絡が取れるようにしていることですね。在宅医療には「専門外」という概念はありません。何でも診ますし、できる限りのことをしていきます。例えば当院では、褥瘡の外科処置や胃の内視鏡検査、超音波検査にも対応していますし、胃ろう用の内視鏡も備えています。在宅だからできることが限られる、なんてことはなく、クリニックの環境を携えて患者さんのご自宅に訪問するイメージです。現在は私と事務員の2人体制で診療時間の合間を縫って患者さんのもとへ通っています。

Qご家族に対して、アドバイスなどございますか?
A
くまい医院 アドバイスをくれる院長

▲アドバイスをくれる院長

何かに悩んだり不安に思ったりした時、決して抱え込まないでください。ご自宅でご家族を看取る場合、最初は些細なことにも動揺してしまいます。当然のことですよね。でもそんなとき、まずは私に連絡をしてもらえれば、話を聞き、時には往診に出向いて必要な処置を施せます。それを繰り返すことで、ご家族の不安もだんだんと解消されていき、自然と覚悟できるようになっていくんですよ。ご家族が不安にならないようにサポートするのも大切な役目。ご家族に「何かあったらすぐに私の携帯電話に連絡して」と伝えているのも、そのためなんです。それに、その場ですぐ相談できるのも、在宅医療のメリットの一つだと思いますから。

ドクターからのメッセージ

隈井 知之院長

病院で最期を迎えることが主流となり、「自宅に医師が訪問する」「家族の最期を看取る」といった機会が減り、いつしか「生活」と「医療」の間には距離が生まれました。しかし、人生を全うするための方法として在宅医療があることを、ぜひ多くの方に知っていただきたいです。日頃から気心の知れたかかりつけ医に、患者さん自身から「将来はお願いね」と話しておいたり、ご家族が患者さんのケアに関して相談したりするのも良いでしょう。小さい頃からこの町で生活してきた私にとって、在宅医療に取り組むのは地域への恩返しなんです。一人でも多くの方の人生を支えられるよう、医師としてできることに力を尽くしていきたいです。

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