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菅 整一 院長の独自取材記事

藤ケ丘レディスクリニック

(名古屋市名東区/藤が丘駅)

最終更新日:2021/10/12

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リニューアルしたばかりの白い壁が美しい「藤ケ丘レディスクリニック」。アーチ型の玄関を入ると、ピンクを基調とした空間が温かく迎えてくれる。菅整一院長は長年にわたって、地域の女性の出産、健康をサポートしてきた経験豊富な医師。妊婦に対しては「赤ちゃんに優しいお母さんであってほしい」と時には厳しいアドバイスをすることもあるという。現在は、妊婦健診やがん検診に加え、更年期のさまざまな悩みに対するホルモン療法にも注力。「健康寿命を延ばすためには、更年期の対応が重要です」と訴える。ホルモンの研究に時間を費やしてきた経験があるからこそ、体の生物学的な仕組みに合わせた治療によって女性の健康を支えたい、と語る菅院長。熱い思いを存分に語ってもらった。

(取材日2019年11月13日)

地域で30年以上、女性の出産、健康を支える

先生のご経歴など教えてください。

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1950年、私がまだ小さい時に、父が千種区の今池で産科のクリニックを開業しました。私はその影響もあって東京医科大学へ進学、最初は消化器外科の医師をめざしました。当時は、開腹と開胸を同時にして胃がんも食道がんも切除するという大規模な一括手術が行われており、学生からすると、すごいことをするなという印象がありました。大学に残ろうかとも考えたのですが、医師になるからには故郷に貢献したいと考え、愛知県がんセンターの研修医募集の記事を見つけて名古屋に戻りました。

産婦人科を専門にしようと思われたきっかけとは?

医学部6年生の夏休みに帰省していた時、父のクリニックで帝王切開が行われることになりました。私は大学の大きな手術室で手術していましたが、父は小さな手術室です。でも、扉1枚隔てた廊下でご家族が待っていて、生まれると、わーっと拍手して「男の子か女の子か」ととても喜んでいる。私は大学病院で重病の症例を多く見ていたので、こんな明るい手術もあるのかと驚き、その時から産婦人科もいいのではないかと思い始めていたんです。

名古屋でも多くの研鑽を積まれた後、開業されたのですね。

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名古屋大学産婦人科教室へ入局し、同大学付属病院、名古屋第一赤十字病院などで勤務しました。大学では基礎の考え方や学び方を、病院では診療や手術の技法を指導してくださる恩師に恵まれました。当地に開業したのは、妻の友人の方から、藤ヶ丘に産婦人科クリニックが少なく困っていると聞いたから。この土地は、偶然にも地主さんが父のクリニックの近くにお勤めの方で、「あの先生の息子さんなら」と即決してくださいました。内装の色をピンク主体としたのは、妻の提案なんですよ。妻は絵を描くことが好きで色にはこだわりがあり、女性や赤ちゃんが安心できるパステルカラーがいいのではないかと。当時はでどこの病院でも真っ白が当たり前でしたから私にとっては冒険でしたね(笑)。

病気の早期発見、早期治療に努めることを第一に

来院されている方について教えてください。

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開業してから30年近く、数年前まで周産期にも関わっていましたが、現在は、妊娠6~7ヵ月まで、遠方に帰省する方はぎりぎりの32週ぐらいまで診ており、分娩はご本人が希望される病院に紹介しています。この地域では「やごと周産期ネットワーク」といって、名古屋第二赤十字病院と地域のクリニックが連携して妊産婦さんを見守る仕組みができており、通常の健診は身近なクリニックで、分娩や緊急時は病院で対応するという体制になっています。妊婦さんの他には、若い方では月経の不調や異常など、また当院でかつてお産をした方が更年期障害や老人期の疾患で来られることも多いです。週1回は女性医師が外来を担当します。子育て経験があり、明るくさっぱりした先生です。

日頃どんなことを心がけておられますか?

常に本質を見極めた対応を、と考えていますので、患者さんの状態や薬、その作用について冷静に考えるよう努めています。特に、妊婦さんには「赤ちゃんに優しいお母さん」になってほしいので、おなかにいる時から赤ちゃんにとって良くない生活をしている人には、何がいけないかをはっきり伝えます。仕事やお母さん自身の都合もあるとは思いますが、それを優先した結果、「おなかが張る」「薬が効かない」「太った」と言っていてはいけないと私は思うのです。守るべきルールはしっかり守り、元気な赤ちゃんを産んでいただきたいと思っています。

診療で注意されていることはどんなことですか?

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私のポリシーは「前方指向型」。病気に前から向き合うということです。病気が大きくなってから治療や手術をしましょうというのは、病気の後ろを追いかけることになりますね。妊婦さんだと赤ちゃんの後遺症や命に関わりますので、病気の後ろではなく前に回って病気が大きくなる前に食い止めたいと考えているんです。病気が潜在的にある時点で早期発見、早期治療につなげるということですね。それは周産期でも更年期でも同じであり、早い時期から関わることが医療者として重要だと思っています。私がいつもお勧めしているのは、基礎体温をつけることです。高温期、低温期の経過観察をしていくとホルモンのバランスがわかりますからね。診察では、必要な場合は時間をかけてじっくりお話を聞くようにしているのですが、その反面、お待ちの方にはいつも申し訳なく思っています。

女性の健康寿命を延ばすためにホルモン療法に注力

更年期の女性に対して行っているというホルモン療法について教えてください。

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今は人生100年時代といわれており、日本人女性の平均寿命も年々延びています。しかし、大抵の方が後期高齢者といわれる75歳くらいで何らかの病気を持ち、看護や介護を受けているのではないかと思います。寿命が延びたからといって、健康寿命が延びているわけではないのです。女性の老化はホルモンバランスが崩れることで進んでいきます。女性ホルモンは、間脳にある視床下部や脳下垂体、そして卵巣などが関連、調整しあって放出されています。それによって排卵や着床の準備がされ、妊娠がなければ子宮内膜がはがれて月経として体外に出ていく、という素晴らしい生体活動が一定の周期で繰り返されています。閉経後は女性ホルモンが減少し、卵巣の活動が衰え、下垂体の機能が低下し、副腎の働きが悪くなる…というふうに徐々に体が老化していきます。この閉経前後の時期にホルモンを補充することは、その後の女性の健康寿命にも有用なことだと考えています。

ホルモン療法については内科との連携も大切にされているそうですね。

ホルモンの分泌にはいくつもの臓器が関わっており、一つの症状が生じた時に婦人科の立場からだけでは適切な診断ができない場合があります。そんな時は内分泌内科の先生と連携をとり、検査をお願いしたり、内科的な立場からの見解を聞いたりして診断に生かしています。甲状腺の異常からくるものなのか、卵巣の異常からくるものなのかによっても、治療の進め方やアプローチは異なります。原因を突き止め、適切な治療法を選択することによって、体の内部から健康ではつらつとした状態を維持することにもつながります。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお聞かせください。

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これからも女性の皆さんの健康の質を高められるように力を尽くしていきたいと思っています。体の不調や老化を感じてから何か対策をするのではなく、生物としての「曲がり角」である閉経前後からご自身の体のことを見つめ直していただきたいです。ホルモン療法については、「副作用が気になる」などの理由でためらう方もいらっしゃいます。しかし、私たち医師はまず「主作用」のことを考え、長い目でメリットがあるからこそご提案しています。無理に押しつけるようなことはせず、皆さんに理解していただけるような説明もするので、気になることは何でもご相談ください。

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