被ばくゼロで全身に使える超音波検査
がん、動脈硬化発見にも有用
加藤クリニック
(名古屋市中川区/日比野駅)
最終更新日:2025/04/15


- 保険診療
超音波検査は高い波長の音波を当て、体内の状態を調べる検査だ。クリニックで導入しているケースも多く、ディスプレーに映る検査画像に見覚えがある人もいるだろう。プローブ(探触子)という器具を体に当てるだけ、と聞くと簡易な検査のように聞こえるが、その実、多様な疾患の発見に有用なのだという。外科領域で研鑽し、超音波検査の経験豊富な「加藤クリニック」の加藤政隆院長は、「超音波検査は、全身のあらゆる臓器はもちろん、筋や骨などの状態まで調べられ、がんの早期発見にもつなげられます」と話す。加藤院長は「見て、聞いて、触る診療」で患者と丁寧に向き合いながら、診察室のベッド脇に置いた超音波検査装置を日々フル活用している。今回は加藤院長に、超音波検査の全般的な特徴や同院の検査の設備のことなどを詳しく取材した。
(取材日2024年6月10日/情報更新日2025年4月8日)
目次
手軽に受けられる苦痛のほぼない検査で、乳腺や甲状腺などのがんも早期発見へ
- Q超音波検査はどのような場合に行われますか?
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A
▲超音波検査は全身に行うことができる検査
問診や触診などで病気が疑われた際に行われることが多く、異常の有無をその場で画像を見て確認します。体に大きな膨らみやしこりがある場合、特定の場所が痛む場合、めまいや頭痛など動脈硬化が疑われる症状がある場合など多様な症状に使います。高い周波数の音波を患部に当てることで、臓器の病変、出血、組織の損傷、胸水や腹水、腫瘍の有無などが調べられ、血液検査やエックス線検査ではわからなかったことが判明する場合も。一方、胃や大腸など内部が空洞、あるいは筒状の臓器や器官の検査では内視鏡検査のほうが、より詳細な結果を得られるといわれます。また、病状の評価や手術時期の見極め、経過観察に活用する場合もあります。
- Qどんな疾患が見つかるのでしょう。
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A
▲「病気ではなく人を診る」の信条を持つ加藤院長
超音波検査は適応範囲が広く全身の検査に用いられ、甲状腺なら甲状腺疾患、頸動脈なら脳梗塞につながる動脈硬化の有無が確認できます。筋、腱、靱帯、神経、血管などの軟部組織や骨の状態もわかり、外科的疾患の検査も可能。乳がん、乳腺炎、肝臓がん、肝硬変、肝血管腫、胆石、胆嚢ポリープ、膵臓がん、尿路結石、腎がん、腸閉塞、大動脈解離、心臓弁膜症、大腸がん、子宮筋腫、子宮がん、卵巣がん、前立腺肥大症、前立腺がん、膀胱がん、肉離れ、靱帯損傷、アキレス腱損傷、骨折、深部静脈血栓症(エコノミー症候群)などの発見にもつながります。ただ、病名の確定が難しい場合もあり、その際はCTやMRIなどを使用します。
- Q超音波検査は体への負担が少ないと聞きました。
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A
▲診療室にある診察台を利用し、超音波検査を行う
そのとおりです。エックス線やCTによる検査と違い、超音波検査には被ばくの心配がありません。検査中の苦痛もほぼなく、患者さんは横になったまま画像を見て説明を受けることもできます。また、検査をする部位にもよりますが事前に準備をせず、その場で検査をすることも可能です。乳がん検診ではマンモグラフィが一般的ですが、検査機器を備えている医療機関が少ないこと、検査に痛みを伴うことから、受診へのハードルが高くなりがちです。一方、超音波検査はかかりつけのクリニックで受けられるケースも多いでしょう。まずは超音波検査で異常がないか確認し、その上でマンモグラフィを併用すれば、より安心できるかと思います。
- Q検査を受ける際の流れを教えてください。
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A
▲超音波検査は苦痛が少なく受けられるのだという
手順としては、問診を終えたら横になっていただき、医師がジェルを患部に塗ります。ジェルを塗るのは、プローブと体の間に空気があると超音波が届きにくいから。プローブを当てて患部の状態を確認し、10~20分程度で検査は終了です。基本的には検査前に準備することはありませんが、検査部位を露出する必要があるので、当日はワンピースなどの服装は避けるようにしてください。また、胆嚢や膵臓を検査する場合は、食事をすると描出困難となるため、直前の食事はお控えいただく必要があります。逆に、膀胱を検査する場合には、排尿をせず尿をためておいていただきます。医師の指示のもと、検査の対象に合わせて体の状態を整えておきましょう。
- Q改めて、こちらの超音波検査の体制について教えてください。
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A
▲近隣の医療機関と連携し、早期発見につなげる
腹部はもちろん、甲状腺、胸部、心臓部に対応できる各種プローブをそろえ、超音波検査を先ほどお伝えしたような広範な疾患の発見に役立てています。検査装置自体も先進のものを導入しているため、検査画像は非常に鮮明です。また、超音波検査で乳がん、甲状腺がんが疑われた場合、針で検体を採取して生検に回しています。長年外科手術に携わってきたことから、こうした対応は得意だと自負するところです。生検の結果は1週間ほどで出ますので、早期に治療へとつなげられるでしょう。より専門的な検査・治療が必要と判断したら、私が信頼する医師や医療機関へと速やかにおつなぎしますので、どうぞご安心ください。