短時間の検査で負担を軽減
気軽に受けたい内視鏡検査
加藤クリニック
(名古屋市中川区/日比野駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
これまで「苦しそう」「時間がかかりそう」というイメージの強かった内視鏡検査だが、経鼻内視鏡の登場によりそのイメージは少しずつ変化が見られるという。名古屋市では2016年10月より胃がんのワンコイン検診を開始するなど、気軽に検診を受けられる制度が整えられる反面、「自分はまだ大丈夫」と考え検査に踏み出さない患者も少なくない。また体への負担が軽いと考えられている経鼻内視鏡による内視鏡検査にもデメリットがあるという。経鼻・経口内視鏡をそろえ、2016年現在も年間を通して250件以上の内視鏡検査を行う「加藤クリニック」の加藤政隆院長は「それぞれの特徴を理解し、使い分けることが重要」と語る。加藤院長に内視鏡検査の流れの紹介とともに、検査を受ける重要性について話を聞いた。
(取材日2016年10月3日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q内視鏡検査ではどのような病気がわかるのでしょうか?
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A
一般的に「胃カメラ」と呼ばれる上部消化器管内視鏡では、咽喉から食道、胃、十二指腸第二部までとらえることが可能で、内視鏡検査を受けることで、がんやポリープといった腫瘍、潰瘍や炎症の発見・診断に有効とされています。内視鏡の進歩は現在もめざましいもので、内視鏡は今では検査機器としてだけではなく、治療機器としても力を発揮しています。当院では内視鏡を用いて検査をし、病変を見つけることまでですが、紹介した医療機関でも内視鏡を使って腫瘍を切除する、なんてことも当たり前となってきました。
- Q経鼻内視鏡、経口内視鏡の違いは何ですか?
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A
最も大きな違いは口径の太さです。経鼻内視鏡は経口内視鏡と比べ口径が約半分のため、鼻の中といった細く入り組んだ部分から挿入でき、違和感が少ないのが特徴です。しかし細いということは見える範囲も狭くなるということ。画質は経口内視鏡には劣ります。また水分がレンズに付着すると視認性が落ちてしまい、レンズの小さい経鼻内視鏡だとより顕著になってしまいます。アレルギー性鼻炎を患っている場合は出血の恐れもありますね。経口内視鏡は患者さんによっては違和感がある場合もありますが、解像度も高く視認性も落ちにくいというメリットもあるため、当院ではできる限り経口内視鏡の使用をお勧めしています。
- Qどんな方が検査を受けるべきなのでしょうか?
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A
長きにわたり症状が続く、薬を飲んでも症状が治まらないという方は、どの年代であっても検査を受けるべきです。当院では10代の患者さんに対しても希望があれば検査を行っております。一言に“胃痛”と言ってもその原因はさまざま。訴える症状だけでは、大きな病気が潜んでいないとは言い切れないのです。それに、患者さん自身も「もしかして大変な病気なのでは?」と不安が募るばかりですよね。それならまずは検査をしてみましょう、とお話しします。異常がないとわかったら安心して、症状が治まったなんてことも珍しくありませんので。他にも健康診断でバリウム検査を省略して内視鏡検査を自身で受けに来る、という方もいらっしゃいますね。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診で気になる症状をチェック
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受付を済ませたら待合室で問診票に項目を記入。問診時はその内容をもとに、どんな症状がいつ頃から続いているのかを詳しく話し、検査で診るべきポイントを定める。同院では基本的に経口内視鏡で検査を行うが、経口内視鏡に対し苦手意識を持つ患者もいるため、気になる場合は問診時に舌圧子で舌を押さえ、嘔吐反射をチェック。吐き気を感じなければ経口内視鏡での検査を勧められる。もちろん経鼻内視鏡を選ぶことも可能だ。
- 2喉に麻酔をかけ、検査中の患者の負担を軽減
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検査前日の夜20時以降は絶食しなければいけないこともあり、検査は原則午前中に行う。同院では検査着に着替える必要もなく、普段通りリラックスした状態で検査へ臨める。また、検査中刺激を受ける喉に麻酔をかける。麻酔にもいくつか種類があるが、中には検査後、車の運転を控えなければいけないものもあるため、同院では経口内視鏡の場合、患者の負担も軽く最小限必要な効果が期待できるゼリー状の麻酔を用いる。
- 3短い時間で的確に状態を確認
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検査時間はおよそ5~7分程度。時間をかけすぎると患者の負担も大きくなってしまうため、的確に診るべきポイントを押さえ、短時間で終えることが検査において最も重要だという。また緊張のあまり体がこわばってしまう患者もいるため、リラックスできる空気作りも欠かせない。緊張をほぐすため、検査中に医師や看護師が声をかけることも。腫瘍などが見つかった場合はその場で患者に伝えられ、精密検査用の生検を採取する。
- 4検査後は体調が回復するまで体を休める
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短い時間とはいえ、検査中は緊張してしまうもの。検査後は麻酔薬を洗い流すためうがいをし、そのまましばらく横になったまま体調が回復するまで安静にする。人によって差はあるが、ほとんどの場合およそ5~10分程度で回復するそうだ。中には2~3分と短時間で回復してしまう患者もいるという。
- 5撮影した画像を見ながら検査を振り返る
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体調が回復した後、撮影した画像を見ながら検査の内容を振り返る。検査で病変が見つかったとしても、気持ちを落とすことなく治療へつなげるため、あまり重々しい空気にはしないというのが同院のスタンスだ。検査時採取した生検は専門の検査機関にて良性か悪性かを調べ、およそ1週間程度で結果がわかる。悪性だった場合は、患者だけでなく家族も交えて今後の治療について説明し、より専門性の高い治療を行える医療機関を紹介する。