多くのがんが治療対象
体の負担が少ない温熱療法
メドック健康クリニック
(名古屋市昭和区/川名駅)
最終更新日:2024/08/07


- 保険診療
長年、日本人の死因一位はがんである。がんの種類やステージに合わせてさまざまな治療が行われているが、もちろん効果が出ない場合もある。効果がなかった場合、新たな治療を模索することになるが、その選択肢の一つが「温熱療法」だ。熱に弱いがん細胞を温めることで死滅させることをめざすというシンプルな治療で、高周波加温装置を用いた治療は保険適応である。一方で温熱療法の設備を導入し治療を行う医療機関は、決して多くはなく、温熱療法を望みながらも受けられない患者も少なくない。「メドック健康クリニック」では、先進の設備を導入し、患者の状態に合わせた治療を展開してきた。吉田亮人院長に、温熱療法のメリットや実際の治療、注意点について聞いた。
(取材日2023年9月20日)
目次
手術後も抗がん剤治療中でも、温熱療法は併用可能
- Q温熱療法とはどういった治療でしょうか?
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A
▲まだまだ取り入れている病院も少ない温熱療法
がん細胞が熱に弱い性質を利用し、加熱することでがん細胞を死滅させることをめざす治療です。がん細胞は42℃ほどで死滅が期待できるため、高周波加温治療装置を使い、患部を電極で挟んで電子レンジのような原理で温めます。がん細胞は影響を受けますが、正常な組織は毛細血管が張り巡らされ、血流が豊富なため、高周波による熱の影響は心配ありません。照射時間はおよそ45分、週2回まで照射が可能です。治療によって体内が温まり発汗しますが、患部をシリコーン製パッドで冷やすので、皮膚表面の熱さや痛みなどはほとんど感じません。副作用もほとんどなく、毎週治療を受けることも可能です。
- Qどのようながんに対応できるのでしょうか?
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A
▲さまざまながんに対応している温熱療法
脳、眼球、血液以外の、幅広いがんが治療対象です。ステージと呼ばれる進行度合いも問いません。体のどの位置にがんがあっても、がん細胞の位置に合わせて、照射の深さや広さを変えることができます。当院が導入している高周波加温治療装置は仰向けで照射を受けるので、体の負担が少ない姿勢で照射を受けられます。がんは進行すると痛みを感じますが、温熱療法によってこの痛みを和らげることもめざせます。
- Q手術後や抗がん剤治療中でも、温熱療法を受けられますか?
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A
▲実際に使用する温熱療法の機器
手術を受けた後でも、抗がん剤の治療中でも、照射が可能です。抗がん剤治療を重ねて選択肢が少なくなった患者さんはもちろん、抗がん剤治療と並行して受けることもできます。一方、体内にペースメーカーやステントなどの金属を入れている場合は、温熱療法を受けられません。整形外科的な処置で体内に金属がある方や、入れ墨を入れている方も対象外になります。また乳房再建を行っている場合、がん細胞の位置によっては照射が難しいことがあります。いずれにせよ、必要に応じて主治医と相談しながら丁寧に治療を計画するので、まずは専門の医療施設にご相談ください。
- Q温熱療法は保険適用の対象ですか?
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A
▲状況に応じた対応をしてくれる
高周波加温治療装置を用いた温熱療法は、健康保険の適用治療です。ただし回数などに制限があるため、これを超えて照射を行う部分は自由診療となります。がん細胞の熱に対する耐性が生まれないよう、週に最大2回までは照射が可能ですが、2週間に1回など調整しながら治療をするのが一般的です。がん治療中は体調が変化することも多く、そうした状況に柔軟に対応しながら治療を進めていきます。
- Q治療を受けるにあたって注意点はありますか?
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A
▲注意点について話す吉田理事長
温熱療法を受けるにあたって、食事や運動などの制限はありません。どんながんに対しても比較的短い時間で、ほとんど副作用なく治療できますが、治療後にある程度の疲労感を感じることがあります。温泉などに長く浸かった時に感じる「湯当たり」のような、だるさを感じやすい治療です。そのため、体調が良くない時は避け、抗がん剤など他の治療の進み方を考慮しながら、照射を受ける必要があります。当院では、患者さんご本人はもちろん、必要に応じて主治医とも連携しながら、治療を進めていきます。