福田 信宏 院長の独自取材記事
福田内科医院
(瑞穂市/穂積駅)
最終更新日:2024/11/13

のどかな田園と大規模な団地が共存するエリアに、「福田内科医院」はある。この地で40年以上診療を続け、地域の健康を支えてきたクリニックだ。2014年からは、福田信宏先生が2代目院長となり、親子で診療を続けている。2020年に全面リニューアルを行い、感染症対策や充実した検査体制を整えている同院。特に内視鏡検査には力を入れ、「大規模病院と遜色のない、精度の高さにこだわった検査を行っています」と、福田院長は胸を張る。内視鏡のスペシャリストとしての検査や診療について、また地元を愛する地域医療従事者としての想いを聞いた。
(取材日2023年2月16日/情報更新日2024年5月30日)
近代的で快適なクリニックへとリニューアル
医師をめざしたきっかけを教えてください。

父がこの場所で開業し、地域のかかりつけ医として地域医療に貢献していました。私自身も小さい頃から、父の医師としての姿を見てきて、医師というのはとても身近な職業でした。そのため、自分も医師になってクリニックを継ぐというのは、ごく自然な選択でした。当時は田んぼや畑ばかりだったこの地域も、近年は岐阜市・名古屋市のベッドタウンとして発展し、若いファミリー層も増えています。高齢化が進む昨今ですが、瑞穂市は若い力も感じられる活気のある場所になりつつあると感じますね。自分の故郷がより住みやすい場所へと変わっていく中で、少しでも地域に貢献できているのであれば、うれしい限りです。
消化器内科を専門とされる一方、救急の現場でも経験を積まれたそうですね。
父も消化器内科を専門としていたので、なじみがありましたし、内視鏡を扱うこまやかな手技にも興味があり、消化器内科を専門に選びました。大学病院での勤務はポケットベルを常に携帯し、呼ばれたらすぐに駆けつけるようなめまぐるしい日々でした。ただ、とてもやりがいのある仕事で、そしてやはり好きな仕事だと改めて感じたことを覚えています。一方、さっきまで元気だった患者さんが急変するケースに何度も遭遇し、救急医療の技量が必要だと痛感もしました。自分だけが患者さんの命を救えるという状況になったときに、手をこまねいているわけにはいきません。そこで、救急の現場で救命治療にあたり、多くの研鑽を積みました。ここで得た知見は大きなもので、自分の医師としての基盤の1つにもなっています。
2014年にクリニックを承継し、3年前にはリニューアルもされたそうですね。

いつかは地元に戻ってクリニックを継ごうと考えていましたから、勤務医として20年間の経験を積んだタイミングで戻ってきました。高齢の父を支えたいという気持ちもありましたね。そしてクリニックで働く中で、もう少し便利で近代的にしたいと思う部分も多く、2020年に建て替えてリニューアルしました。感染症対策にも力を入れ、発熱のある方とそうでない方で分けられるよう、待合室を分離できるようにしています。以前から予防接種に来た患者さんと、何らかの感染症に罹患した疑いのある患者さんを分けたいと思っていました。偶然にも感染症が流行し、必要性はさらに増したと感じます。また、もう1つは内視鏡設備の充実です。内視鏡検査部門を併設し、一般診療と入り口を分け、別の動線にしました。内視鏡室も空間を広く取り、コードレス化して検査や治療がしやすいよう環境を整えています。
小さな病変も見逃さない、精密な検査をめざす
内視鏡検査へのこだわりを教えてください。

患者さんがリラックスして過ごせる設備や機器にこだわりました。大腸内視鏡検査では下剤を服用しておなかをきれいにする必要がありますが、その際に気を使わずゆったり過ごせるよう、控室はトイレつきの個室にしています。検査時に患者さんがリラックスしていれば、検査もスムーズに進みやすいです。もちろん鎮静剤を使用して、寝ているような状態で検査を受けることも可能です。検査室は画像視認性の高いブルーライトで照らし、機器を操作しやすく見落としを防げるよう環境を整え、内視鏡自体も精度の高さにこだわった先進のものを導入しました。また専任の内視鏡検査技師が2人在籍していることで、患者さんの安心感につなげたいと思っています。朝日大学病院で後進育成も担っていたベテランで、患者さんからのどんな質問にも応えてくれる頼もしい存在として、前処置から患者さんに寄り添います。また2022年には病変検出支援AIシステムも導入しました。
内視鏡検査のAIシステムとはどんなものでしょう?
内視鏡検査機器のソフトの1つで、どんな小さな病変も逃さず検知できるよう搭載されたものです。患者さんが苦痛を覚悟して受ける検査ですから、どんな小さな病変も見逃すことのないようにしたいと思い、導入しました。一般的に大腸内視鏡検査で判明するのは、大腸がんや大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病など。胃内視鏡検査であれば、胃がんや胃炎、食道がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などです。検査は、短時間で終わることが良いこととは限りません。やはり一番大事なのは、病変を見逃さないことだと思っています。私が内視鏡検査の機器にこだわるのも、負担が少ないよう配慮した検査で、患者さんにも積極的に検査を受けていただくことで、その後は私が責任を持って病気の有無を判断し、早期治療につなげたいと思うからです。
内視鏡検査を受ける意義について、改めて教えてください。

自覚症状がなければ、なかなか検査のきっかけがないかもしれません。また、便に血が混じっていたとしても、ただの痔だろう、と自己判断してしまう人も少なくないのではないでしょうか。そこでキーになるのが健康診断です。大きな病院に行くのは面倒だという方も、近所のクリニックだったら足が向くのではないでしょうか。当院であれば、大規模病院に劣らないレベルの検査を気軽に受けていただくことが可能です。「がん検診は40代以降の話」と思っている方も少なくないのかもしれませんが、年齢にかかわらず、積極的に検査を受けていただきたいですね。早期大腸がんに対しては連携している朝日大学病院に出向き、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の治療も行っています。
地域のかかりつけ医として、生活習慣病の治療にも注力
消化器疾患以外に、力を入れていることは何ですか?

地域のかかりつけ医として、幅広くどんな症状にも対応しています。昨今では生活習慣病で通われる方も多いですね。こういった患者さんの日々の体の状態をしっかりチェックして、健康な状態に近づけていくのも、かかりつけ医の役割だと思っています。特に糖尿病などの場合、糖尿病網膜症の恐れもあり、眼科のチェックも必要ですから、隣にある「ふくた眼科クリニック」と密に連携して、患者さんの健康をサポートしています。患者さんにとっても、必要な検査や治療をひとまとめに受けられたほうが、利便性が高いのではないでしょうか。ちなみに眼科は私の妹が院長を務めています。連携体制もしっかり整えています。
医師としてのモットーを教えてください。
患者さんは痛みや違和感、気分の悪さなど、症状があるから医療機関に足を運ぶのだと思います。たとえ検査をして原因が見当たらなくても、「異常なし」で済ませるわけにはいきません。大きな病気やわかりやすい疾患はなくとも、原因を深掘りしたり、さまざまな可能性を検討したり、なんとか患者さんに応えられるような対応や処置をしたいと考えています。消化器疾患などは特に心因性のものもあるので、そうした気持ちに寄り添うことも大切にしたいですね。患者さんの体だけでなく、気持ちが少しでも明るくなるような診療をしたいと思います。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

このクリニックを、もっと身近で通いやすい場所にしたいと考えています。消化器疾患や内視鏡検査はもちろんですが、生活習慣病や風邪など身近な病気でも、気軽に足を運んでいただきたいですね。健康を維持するためには、定期的に健康診断を受けること、そしてその結果をきちんと理解し、早期治療につなげることが大切です。そのための助言や診療ができる場所として活用してもらえることをめざしています。私は瑞穂市に暮らし、愛犬と一緒に近所を散歩することもしばしばです。故郷で家族と一緒に地域のために尽くせるとしたら、これほどやりがいのあることはありません。地域の皆さんにより良い医療を提供できるよう、これからも精進していきたいです。