喉の違和感や長引く炎症に
上咽頭擦過治療(Bスポット療法)
横山耳鼻咽喉科
(各務原市/市民公園前駅)
最終更新日:2022/02/08
- 保険診療
3代にわたり地域の信頼に応えてきた「横山耳鼻咽喉科」。同院で行っているという上咽頭擦過治療(Bスポット療法)とは、鼻と喉の間にある上咽頭に薬を直接塗り、喉の炎症を抑えていく治療法だ。喉と鼻の奥に綿棒や器具で触れるため決して楽ではないそうだが、慣れてくれば定期的な治療を求める患者は多いそう。急性期から慢性期の喉の痛みへの対応が可能だ。またこの治療法は、喉の炎症以外のさまざまな症状に応用できるのではないかと研究が進んでおり、腎臓内科の分野からも見直されているという。自身の経験を踏まえ、事前の説明にしっかりと時間をかけて患者が納得した上で治療に進むことを心がける横山院長に、注目されつつある上咽頭擦過治療について詳しく話を聞いた。
(取材日2021年1月8日)
目次
患部に塩化亜鉛を塗布する上咽頭擦過治療で喉の炎症の早期改善をめざす。子どもから高齢者まで幅広く対応
- Q上咽頭擦過治療とは、どのような治療ですか?
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A
上咽頭は鼻と喉の間の神経が豊富なところで、そこに塩化亜鉛という薬剤を直接塗って炎症を抑えていきます。当院では初代院長の祖父の頃から喉の炎症を鎮める目的で患部に直接薬を塗る治療法を行っていました。その後、前院長の父親が上咽頭擦過治療法の提唱者である堀口申作先生の論文を読み、取り入れるようになりました。私も子どもの時に喉の炎症があった際、薬を喉に塗ってもらっていましたね。また、IgA腎症や掌蹠膿疱症などの病気が喉の炎症と関わりがあるということがわかってきており、この治療法が腎臓内科の分野からも注目されるようになってきました。加えて最近では、自立神経の調節にも影響するのではないかともいわれています。
- Qどのような症状の人が対象でしょうか?
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A
治療自体は喉の炎症を抑えるためのものなので、風邪のひき始めや風邪をこじらせたなどで喉に細菌感染を起こしているという方、喉に違和感を感じている方、鼻水が喉の奥に流れていく症状の後鼻漏の方にお勧めです。直接患部に薬剤を塗るため、内服薬を飲むだけよりも早く改善につながると考えています。また、慢性的な症状の場合にも、何回か治療を繰り返すことで、症状の軽減を図ることが可能です。喉はとてもデリケートなところなので、それでも気になるという方もいらっしゃいますが、少しでも症状の緩和につながればと思っています。
- Q痛いというイメージがありますが、どんなメリットがありますか?
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A
口の中に自分の指を入れると、誰でも嘔吐反射が起きますよね。この治療もそれと似ていて、綿棒や器具で喉に触れますので必ず反射は起きます。反射の強弱は人それぞれで、強く出る方は途中でやめてほしいと言われたりもします。喉の炎症が強い場合は、薬剤を塗った後にしみて痛みや出血があることも。ただ、2、3回塗っているうちに変化を感じていただけることは多く、そういう人ほど予後が良いと判断できることがほとんどです。他のクリニックで薬を処方されたけれど、喉の違和感や痛み、痰が絡むといった症状がなかなか治らないという方には、ぜひ一度ご相談いただきたいですね。
- Qどのくらいの頻度で治療を受けるのがいいのでしょうか?
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A
喉に激しい炎症や痛みがあれば、こまめに来ていただくといいですね。家が近所であれば毎日、もしくは2、3日に1回でも薬剤を塗ることで、急性期の炎症であれば早期の改善が期待できます。慢性期の場合には、1~2週間に1回のペースでスタートし、調子が良くなれば間隔をあけるなど、人によって調整していきます。咽頭は喉と鼻の奥にあり、患部の状態がわかりにくいことも多いので、患者さんが来院するごとに症状を確認しながら進めていきます。
- Q治療においての先生のこだわりを教えてください。
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A
「最初におえっとなりますよ」「効果は人それぞれですからまずは試してみましょう」と、事前の詳しい説明をしてから治療を進めています。また、口や鼻から綿棒などで薬を塗るのですが、塗っている時間があまり長いとつらいでしょうから、中咽頭を塗ってから向きを変えて上咽頭にと、塗るのに数秒というスピーディーさが最も大切だと考えています。薬なども調節しながら、個々の患者さんに合わせて最適と思われる治療の進め方を提案しています。