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横山 善至 院長の独自取材記事

横山耳鼻咽喉科

(各務原市/市民公園前駅)

最終更新日:2023/08/07

横山善至院長 横山耳鼻咽喉科 main

名鉄各務原線の市民公園前駅から徒歩2分、JR高山本線那加駅から徒歩4分。桜の名所で知られる新境川のほとりに「横山耳鼻咽喉科」はある。現院長の横山善至先生の祖父が1947年に開院し、3代にわたり、70年以上、地域の健康を支えてきた医院で、初代院長の時代からかかりつけにして通い続けている患者がいるほど、地域の信頼は厚いという。3代目となる横山院長は大学病院や岐阜県内の総合病院で経験を積み、2014年に実家の「横山耳鼻咽喉科」へ。父で先代院長の横山善成先生との二診体制で診療にあたり、上咽頭の炎症に対する上咽頭擦過治療や、耳管通気などさまざまな治療を行っている。高齢者にも子どもにも慕われる気さくな横山院長に、医院の足跡や今後の展望を聞いた。

(取材日2019年8月4日)

3代にわたり地域の耳鼻咽喉科医療を担う

エントランスに展示されている木製プロペラが目を引きます。

横山善至院長 横山耳鼻咽喉科1

ここ各務原市で製造された、1923年製の甲式四型戦闘機の木製プロペラで、当時、蘇原村(現・各務原市)の村長をしていた曽祖父が旧日本陸軍から譲り受けたものです。各務原市は大正時代に陸軍の飛行場が造られ、有名なゼロ戦が初飛行を行った場所でもあります。町の歴史を語る資料として、また当院のトレードマークになればとも思って飾っています。時々、研究者や愛好家の方が「見せてほしい」とおいでになりますよ。

この町で3代続く耳鼻咽喉科だそうですね。

1947年に祖父がこの場所で開業しました。1977年に前院長の父・善成が診療に加わり、2014年には私も加わり、3代目の院長になりました。現在は父と2人で診療にあたっています。私も子どもの頃は風邪をひくと、この医院に連れて来られて鼻をつつかれたり、喉に薬を塗られたりしていました(笑)。そんなわけで、折に触れて祖父と父が診療をしている姿を見ていましたから、いつの間にか後継者としての自覚が芽ばえたように思います。

主な患者層について教えてください。

横山善至院長 横山耳鼻咽喉科2

長年、この場所で開業していますので、地域の皆さんが中心です。年齢を重ねて聞こえが悪くなったり耳鳴りに悩まされている高齢の方、中耳炎や扁桃炎のお子さん、春先は花粉症の方が多いですね。中には「あなたと違っておじいさんはハンサムだったわ」とおっしゃる方もいます(笑)。祖父は背が高くてスマートでしたからね。祖父が亡くなって30年たってもファンが健在なのはうれしいことです。

こちらの院長になるまでの経歴をお聞かせください。

岡山県の川崎医科大学を卒業後、母校の附属病院に入局しました。当時は、新任医師が2年間、複数の科で臨床研修する制度が始まる前でしたが、川崎医科大学附属病院は以前から実施していたんです。私も最初の2年間は耳鼻咽喉科と関係の深い脳外科、小児科、麻酔科、救急科で研修しました。その後、耳鼻咽喉科では風邪や花粉症の方から高度医療が必要な患者さんまで診療しました。喉のがんの治療に放射線科の先生と一緒に取り組んだこともあり、幅広い医療に携わることができました。その後は岐阜大学医学部附属病院、岐阜県総合医療センター、岐阜県関市の中濃厚生病院に勤務しました。いずれも地域の基幹病院ですので、稀少な症例や手術を担当する機会があり、貴重な経験ができたと思います。

喉の炎症にアプローチする上咽頭擦過治療に力を注ぐ

最近多いと言われる、中耳炎の治療について教えてください。

横山善至院長 横山耳鼻咽喉科3

中耳炎にはいくつかタイプがあって、鼻と耳をつなぐ耳管の働きが悪いために鼓膜の奥に水がたまってしまうのが滲出性中耳炎です。飛行機に乗った時のような耳の閉塞感や聞こえづらさを感じます。当院では服薬治療とともに、鼻からカテーテルを入れて耳管に直接、空気を吹き込む「耳管通気」を行っています。お子さんには痛みの少ないポリッツェル球というゴム球を使います。父はこれが得意で、鼻の奥にある耳管の入り口を探し当てるのがうまいんです。近年は治療薬が開発されているので耳管通気を手がけるところは少なくなってきたのですが、希望される患者さんはいらっしゃいます。私も行いますが、まだ父にはかないません。経験を重ねて上達したいと思っています。

上咽頭擦過治療も行っていますね。どんな治療でしょうか。

喉に炎症のある患者さんの上咽頭から中咽頭にかけて塩化亜鉛を塗布するものになります。患部に直接薬を塗ることで、炎症を鎮めることを目的とした治療ですが、しみて痛みを伴うため、この頃はあまり行われなくなりました。私も子どもの頃、祖父や父に塗られましたが苦手でしたね(笑)。しかし最近、IgA腎症や、手足が荒れる掌蹠膿疱症などの病気が咽頭の炎症と関わりがあることがわかってきて、それらの疾患にもこの治療が応用できるのではないかという研究が進み、再注目されているようです。関心のある方はご相談いただきたいです。

花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎にはどんな治療法がありますか?

横山善至院長 横山耳鼻咽喉科4

当院で行っているのは薬で症状を抑えることを目的とした薬物療法と、アレルギーの原因物質を少しずつ体に取り込んで慣らすことを目的としたアレルゲン免疫療法です。薬物療法は、症状の種類や強弱が一人ひとり異なりますから、患者さんに合った薬を処方することが大切です。運転をする方や学生さんには眠気の起きにくい薬を選ぶなど、ライフスタイルも考慮します。また、最近よく取り上げられる舌下免疫療法にも対応しています。これは原因物質を含んだ薬を舌の下にしばらく含んでから飲み込むもので、スギ花粉症用とダニアレルギー用があります。3年から5年、毎日内服しないとなりませんし、中には症状に変化のない方もいますので、十分に説明をし、納得してから始めていただくようにしています。

3代で積み重ねた経験と新しい医療で地域に貢献したい

加齢による聞こえづらさは少しずつ進行するので自分では気づかないことがありますか?

横山善至院長 横山耳鼻咽喉科5

ご家族が先に気づいて、勧められて来院される方もいらっしゃいますね。聴力は年齢とともに徐々に低下していきます。残念ながら良くなることはありません。だからといって高齢の方が聞こえづらいままでいると、外出が嫌で閉じこもりがちになったり、家族と話すのが面倒になったりして、孤独感や疎外感につながることがあります。耳から脳への刺激が少なくなると認知機能に影響することも考えられます。補聴器を検討されるのでしたら相談に乗りますが、中には耳垢が原因で、耳鼻科で耳掃除をすると聞こえが変化するケースもあるんですよ。数ヵ月に一度、耳掃除のために通院される方もいらっしゃいますので耳掃除に自信のない方は気軽に受診してください。

印象深い患者さんのエピソードはあるでしょうか。

以前「喉に引っかかりを感じる」と言われる患者さんの早期の下咽頭がんを見つけて総合病院に紹介したことがあります。その方が元気になられて、今も時々来院されるのはうれしいですね。早く病気に気づいて、重症化する前に専門の医療機関につなぐのも町の開業医の役割ですし、改めて病気の早期発見、早期治療の大切さを感じました。そういう面でも地域の皆さんの健康を支えていきたいと思います。

趣味やリフレッシュの方法はありますか?

横山善至院長 横山耳鼻咽喉科6

10年ほど前から始めたアユ釣りです。夏の解禁期間は休みのたびに板取川に出かけています。耳鼻咽喉科は、春は花粉症、秋冬は風邪の患者さんがたくさん来院されますので、比較的ゆとりがあるのは夏だけなんです。うまい具合に趣味とシーズンが合いました。年中、出かけていたら家内や子どもたちにそっぽを向かれてしまいますので、オフシーズンは家族サービスに努めています(笑)。

地域の医院として、どんな役割を果たしていきたいですか?

子どもの頃から祖父母と暮らしていたためか、医師になった当初から高齢の患者さんとは打ち解けて話ができました。子どもの患者さんも苦手じゃないですね。お子さんたちにとって耳鼻咽喉科は痛いことをされそうで怖いところだと思うのですが、帰り際、手を振ってくれたりします。それは祖父や父が地域の皆さんに信頼していただいてきたことも大きいと思います。祖父と父が続けてきた上咽頭擦過治療や耳管通気の精度を高めながら、新しい知識や治療法も取り入れて、地域に根差した医療を提供していきたいと考えています。

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