先進のロボットスーツを用いた
リハビリテーションについて
松岡整形外科・内科リハビリテーション
(岐阜市/名鉄岐阜駅)
最終更新日:2023/01/20


- 保険診療
患者の健康的な生活に向けてリハビリテーションを重視する「松岡整形外科・内科リハビリテーション」。医師、理学療法士、看護師がチームとして患者を支える医療体制を大事にしており、松岡佑嗣院長は、「手術をする方、しない方、どちらにとってもリハビリは大切です」と語る。さらに質の高いリハビリをめざし、同院が導入したのがロボットスーツだ。患者の下半身に装着するもので、立つ、歩くなどの動作をロボットが補助し、継続した訓練で機能回復につながることが期待されるという。ロボットスーツの仕組みや使用の仕方などについて具体的に話を聞いた。
(取材日2019年3月2日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qこちらで扱っているロボットスーツとはどのようなものですか?
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A
両下肢に装着するもので、脚を曲げる、立つ、歩くなどの動作をアシストします。装着の前に、膝の筋肉の前と後ろ、股関節の前、臀筋、さらに基準電極となる、大転子という股関節の横の付け根のところのそれぞれ左右、合計10ヵ所に電極パッドを貼ります。人が歩こうと考えると、脳から神経を通じて筋肉に生体電位信号が発せられ、それをパッドが感知してモーターが動き、関節や筋肉の動作を補助するという仕組みです。当院には、身長150~170センチの方を対象とするMサイズの両下肢タイプのものと、ひじ関節・膝関節だけに装着する単関節タイプがあります。
- Q両下肢タイプの対象となるのはどのような方ですか?
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A
もともとはALS(筋萎縮性側索硬化症)など神経・筋難病の方を対象としたもので、当院では主に脳卒中などで後遺症のある方、脊髄不全損傷の方、パーキンソン病の方、整形疾患で下肢の筋力が低下し歩行困難な方などのリハビリに使用しています。適用ができないのは、ペースメーカーなど能動型埋め込み医療器具を使用されている方、妊娠中の方、意思疎通の難しい認知症の方、また生体電位信号が読み取れない完全麻痺の方などです。
- Q痛みや重さ、疲れはどうですか?
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A
脚はベルトで固定し、腰の部分も専用のドライバーを使って固定するのですが、ロボットスーツが腰に当たって痛みを感じることを防ぐために、あらかじめ腰にコルセットを巻きます。それでも歩行中にずれることがあるので、その場合はタオルをあてがいます。機械の重さは約12キロで、装着直後は重さを感じるかもしれませんが、アシストが始まると、むしろ脚が軽く上がると感じられると思います。痛みや疲れも、無理はせず、随時声かけをしてご本人の様子を確認しながら進めますので、心配しなくても大丈夫ですよ。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1メニューを患者に合わせて設定
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両下肢タイプの場合、靴のサイズ、身長を確認。医師の診断に基づき、理学療法士が足の曲がり具合など可動域や筋肉の状態を改めて評価し、リハビリテーションのメニューを決める。本人がどのような動作までできるのか、ADL(日常生活動作)もメニューを決める要素となる。
- 2ロボットスーツを装着
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動きやすい服装に着替えて、下半身の決められた部位に電極パッドをつける。女性患者には女性の理学療法士や看護師、クラークが対応。医師も含め、皆、ロボットスーツについての講習を受け、運用方法を習得している。座った状態で腰にコルセットを巻き、脚、腰ともにベルトでロボットスーツに固定していく。座位がとれない人は、スリングで吊ることもある。 理学療法士がしっかり体を支えてくれるので安心して訓練に臨めるだろう。
- 3立つ、座ることから練習を始める
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パソコンで、生体電位レベル、つまり筋肉の収縮の状態を見る。大抵、収縮が弱い状態なのでそのままでは脚が上がらない。スイッチを入れ、慎重に状態を見ながら、ミニマムからマックスまで4段階あるアシストのレベルを決めていく。膝、股関節が動くこと、痛みがないことを確認し、ゆっくりと立つ。その後、再び座り、「立つ」「座る」の動作に慣れることから始める。
- 4実際に歩いてみる
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「立つ」「座る」の次は、脚を曲げる練習をし、左右の脚を順に踏み出してみる。それができたら、歩行訓練だ。ゆっくり歩を進め、部屋を出て、廊下を歩いて戻ってくる。初回の歩行訓練は20分ほどで、2回目からは装着10分、歩行訓練40分、外すのに10分と、合計1時間程度になる。ロボットスーツをはずして同じような動作をしてみると、フィードバックによって体が動きを覚え、歩きやすくなることが期待できるそう。
- 5継続通院で機能改善をめざす
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日にちがたつと元に戻るので、定期的な通院が肝心だ。人によるが、週1回の訓練を半年ほど続けると、徐々に歩き方のペースが上がったり歩幅が大きくなったり、転びにくくなったりしていくことが期待でき、モチベーションの向上につなげているという。同院の理学療法士は男性7人、女性2人。原則、女性患者は女性の理学療法士がサポートする。