便潜血陽性が出たら内視鏡検査を
早期発見で大腸がんから身を守る
厚木消化器内科クリニック
(厚木市/本厚木駅)
最終更新日:2026/03/09
- 保険診療
大腸がんは、早期の発見と治療によって十分に「治癒が見込める病気」となりつつある。しかし、初期は自覚症状がほとんどなく、症状が現れた頃には進行しているケースも少なくない。健康診断の便潜血検査は、目に見えない出血を捉える重要なスクリーニングの機会だ。ところが、検査で陽性と判定されても「痔だろう」「体調のせいだ」などと自己判断し、精密検査を受けない人もいるという。「厚木消化器内科クリニック」の寒河江三太郎(さがえ・さんたろう)院長は、「便潜血検査陽性でも必ずしも病気があるわけではありません。しかし、大腸の様子を把握する良い機会と捉え、内視鏡検査を受けてほしい」と話す。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医でもある寒河江院長に、便潜血検査陽性となった際に速やかな検査が必要な理由などを聞いた。
(取材日2026年1月29日)
目次
便潜血検査陽性は体からの大切なサイン。放置しないで大腸内視鏡検査を
- Q便潜血検査で陽性になると、どんな病気が考えられますか?
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A
▲便潜血陽性は要注意。内視鏡で安心を
便潜血検査は、便の中に血液が混じっていないか調べる検査です。血液の由来までは特定できず、大腸がん以外にも、大腸ポリープや憩室炎、痔などが原因で陽性となることもあります。しかし、便潜血検査陽性の方の大腸の中を内視鏡で詳しく調べると、約3%に大腸がん、4割から5割の方に大腸ポリープが発見されます。残りの約半数は異常がないケースですが、重要なのは「陽性者の約半分に何らかの病変が隠れている」という事実。自己判断で「痔のせい」と決めつけるのは非常に危険です。わずかな出血のサインを見逃さず、一度しっかり内視鏡検査を受けてみてください。怖い病気が隠れていないかを確認し、なければ安心することができるでしょう。
- Q大腸ポリープから大腸がんになる可能性は、高いのでしょうか?
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A
▲小さなポリープも早期切除が鍵
ポリープとは粘膜の盛り上がりの総称で、すべてががんになるわけではありません。しかし、大腸ポリープの中には放置するとがん化するリスクが高い「腺腫」と呼ばれるタイプが含まれています。大腸がんの多くはこの腺腫が大きくなって発生するため、ポリープの段階で切除してしまえば、将来のがんを未然に防ぐことが望めるのです。最近では、特殊な光を用いた画像診断技術により、内視鏡検査と同時にその場で切除すべきポリープかどうかを精密に判断できるようになっています。5mm以下の小さなものであっても、がん化のリスクを考慮して切除を検討する場合があります。早期発見・早期切除こそが、大腸がん回避のための鍵となります。
- Qとはいえ、大腸内視鏡検査は不安ですし、恥ずかしさもあります。
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A
▲負担の少ない内視鏡で、安心の検査を
「痛そう」「恥ずかしい」と感じる方は多いと思いますが、ご安心ください。鎮静剤を使用すれば、眠っているような状態で検査を受けていただくことも望めます。また、新鋭機器の導入や、軸保持短縮法といった技術により、できるだけ痛みの発生を抑えるようにしています。さらに、検査時には専用の検査着を着用していただき、露出を最小限に抑えるなど、患者さまのプライバシーと羞恥心に配慮した工夫も行っています。検査自体は通常15分から20分程度で終わります。かつてのようなつらいイメージを払拭し、リラックスして受けていただけるようスタッフ一同努めています。ハードルを感じて先延ばしにするよりも、まずは一度ご相談ください。
- Q便潜血検査が陰性なら、大腸がんは心配しなくても良いですか?
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A
▲便潜血陰性でも過信せず、症状に注意
便潜血検査は簡便でメリットの多い検査ですが、万能ではありません。早期のがんやポリープは常に出血しているわけではないため、見逃されて陰性と判定されてしまう「偽陰性」の可能性があります。検査結果が陰性であっても、血便や便秘、下痢、腹部の張りといった症状がある場合は注意が必要です。特に40歳を過ぎた方や、ご家族に大腸がんの既往がある方がいる場合は、リスクが高まるため定期的な内視鏡検査をお勧めします。一度内視鏡検査を受けてリスクが見つからなければ、毎年の便潜血検査と組み合わせて、次は5年後くらいでも問題ありません。便潜血検査はあくまでスクリーニングとして活用し、過信しないことが大切です。
- Q大腸内視鏡検査を受ける際の注意点を教えてください。
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A
▲前日の準備が大切。安心して検査を
検査をスムーズに受けるためには、前日からの準備が重要です。前日は消化の良い食事を心がけていただき、当日は腸内をきれいにするために下剤を服用していただきます。最近の下剤はスポーツドリンクのような風味で、以前よりも飲みやすくなっています。少ない量で済むものなども選択可能です。なお、便秘気味の方は数日前から食事に気をつけていただくなどの調整が必要ですので、事前にご相談ください。また、鎮静剤を使用する場合は、当日の自動車や自転車の運転は控えていただく必要があります。服用中のお薬がある方は、検査前に休薬が必要な場合もありますので、お薬手帳をご持参の上、医師に必ずお伝えください。

