痔を放置するのはなぜ危険なのか
その理由と検査・治療について
茅ヶ崎信愛クリニック
(茅ヶ崎市/茅ケ崎駅)
最終更新日:2026/07/15
- 保険診療
肛門の痛みやかゆみ、もしくは排便時の違和感や出血を少しでも経験したことがある人は多いだろう。だが、医師のもとできちんと治療を受けている人はどれだけいるだろうか。痔を放置すると痛みが増すこともあり、治療が困難になることもある。そればかりか、排便時の出血を「いつものこと」と軽視していると、いざ便潜血検査で陽性となった際も「痔だから」で済ませてしまい、重い病気を見逃しかねない。今回は「茅ヶ崎信愛クリニック」の小島正之院長に、日本人の成人の多くがかかるという「痔」について、さまざまな角度から教えてもらった。
(取材日2026年7月3日)
目次
痔には種類があり、似た症状を引き起こす病気もある。原因を探り、適切な治療につなげることが大事
- Q痔はどのような人がなる病気なのでしょうか?
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A
▲患者ごとの発症要因を丁寧に見極めると話す院長
痔は日本人の成人の3人に1人が持つといわれる身近な病気です。自分は大丈夫と思っていても、実はそうではないことも珍しくありません。排便のときに強く息む方、便秘や下痢を繰り返す方は肛門に負担がかかりやすく、痔になりやすいといわれています。妊娠・出産を経験された方は「いぼ痔」ができやすく、産後に気づく方も少なくありません。長時間の立ち仕事やデスクワークなども、同じ姿勢が続いて血の巡りが滞るため、痔が起こりやすくなります。身近な病気なので放置されがちですが、早期ならばコントロールできても、悪化すると治療が大変です。違う疾患の恐れも否定できません。気になる症状は、一度受診するサインだと考えてください。
- Q痔の種類と、放置することのリスクについて教えてください。
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A
▲相談しやすい環境づくりに注力
いぼ痔(痔核)は肛門内側の歯状線を境に、奥側の内痔核と肛門側の外痔核に分かれます。内痔核の部分は痛みの神経が少なく、主な症状は排便時の出血や脱出です。腫れや血流障害を起こすと強い痛みが生じる恐れも。また、裂肛(切れ痔)は硬い便などで肛門の皮膚が切れるもので、排便時の激しい痛みや出血を伴います。一方、痔ろうは肛門の内側の小さなくぼみから細菌が入り、膿がたまる肛門周囲膿瘍ができた後、膿の通り道である管が残った状態。自然治癒は少なく、炎症や膿瘍を繰り返します。放置すると直腸がんや炎症性腸疾患などを見逃す恐れもあります。市販薬は症状を一時的に和らげることが期待できますが、治りきらない場合もあります。
- Q痔を疑う場合、どのような検査を行うのですか?
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A
▲必要に応じて大腸内視鏡検査を行い、病気の有無を確認
肛門外科を受診するきっかけには、肛門の痛みやかゆみ、腫れ、排便時の違和感、便に血がつく、便潜血陽性がありますが、原因は痔とは限りません。まずは症状やお通じの状況について伺い、視診や肛門指診、必要に応じて肛門の内側を確認する肛門鏡検査を行います。いずれも短時間で強い痛みは伴いません。なお、肛門鏡では大腸全体の検査はできないので、症状の経過や年齢、貧血の有無、排便の性状などから大腸の病気が疑われる場合は大腸内視鏡検査を行います。便潜血検査での陽性も注意が必要です。痔のせいではなく大腸がんが隠れている恐れがあります。症状だけで見分けることはできないため、場合によっては大腸内視鏡検査をお勧めします。
- Q「いぼ痔」の治療の流れを教えてください。
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A
▲診察で使用する肛門鏡。症状の進行度に応じた治療を提案
内痔核は脱出程度に応じゴリガー分類という4段階をよく使用します。グレード1は痔核が肛門内側にあり、外に出てこない段階。排便時出血の恐れや自覚症状はないこともあります。便を硬くしない、トイレで長く息まないなど排便習慣の改善を基本に、内服薬や軟膏、坐薬を検討します。グレード2は排便時に痔核が脱出し、排便後は自然に戻る段階。排便習慣の改善や薬物治療を行い、繰り返す方には注射療法も検討します。グレード3は痔核が自然に戻らず、指で押し戻す必要がある段階。痔核の形や外痔核の有無を確認し、ALTA療法、ゴム結紮術などをします。グレード4は痔核が常に脱出し、指で押しても戻らない段階。積極的に手術を検討します。
- Q先生はどのように「痔」の治療に取り組まれていますか?
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A
▲丁寧な説明を通じて、患者の不安の軽減に努めている
治療で大切なのは「日常生活にどの程度困っているか」です。医師が一方的に治療方針を決めるのではなく、患者さんの生活スタイルやご希望を丁寧に伺い、症状に合った選択肢を複数ご提案します。私は大学病院で消化器外科、肛門外科診療や消化管の緊急手術に携わり、痔だけでなく大腸疾患や炎症性腸疾患なども数多く診てきました。その経験を生かし、内視鏡検査も活用しながら症状の原因を総合的に見極めています。痔は決して珍しい病気ではありませんが、放置によって悪化したり、別の病気が隠れていたりすることもあります。お尻の悩みは相談しづらいものですが、当院ではプライバシーへの配慮をしていますので安心してご相談ください。

