龍岡 達子 院長、龍岡 穂積 理事長の独自取材記事
龍岡クリニック
(富里市/京成成田駅)
最終更新日:2025/10/03
富里市の住民に信頼されながら、30年以上地域医療に貢献してきた「龍岡クリニック」。龍岡穂積理事長は、法人開設の中心人物である母の思いを大切に、現在は龍岡達子院長とともに幅広いサービスを提供している。さらに、患者と職員のために病児・病後児保育も実施し、同院に関わるすべての人の生活をもサポートしている。穂積理事長は認知症の専門家として高齢者を診療し、早期発見のための予防にも尽力。小児科医師である達子院長は、子どもの成長も見守りながら、小児特有の症状・疾患に丁寧に向き合う。地域医療をけん引する2人に、その人柄にふれながら、クリニックの取り組みや医師としての志などについて尋ねることにした。
(取材日2025年8月12日)
子どもから高齢者まで、専門的かつ幅広く対応
はじめに、クリニックの成り立ちについてお聞かせください。

【達子院長】当院の前身となるクリニックが1989年に誕生し、その後1992年に、穂積理事長のお母さまと私とで法人化したのが始まりです。理事長のお母さまは保健所長を長年務めており、高齢者医療に関わりたいという思いが強い人でした。そこでクリニックを併設する形で介護老人保健施設を開設し、老健は理事長の母、クリニックは私がそれぞれ担当する形で運営を開始した次第です。老健は病院と特別養護老人ホームの中間施設のような位置づけで、介護だけでなく医療もある程度介入します。退院後すぐに在宅生活を送るのが難しい方などにリハビリを行い、最終的にご自宅に戻っていただくのが最大の目的です。現在、当院併設の老健でもリハビリをメインにご提供しており、理学療法士をはじめ多数の専門職が活躍しています。
法人内の介護施設と連携し、幅広いサービスを提供できるのは強みですね。
【穂積理事長】患者さんのほぼ一生の支援を法人全体で実施できるように、老健の他、当院から徒歩数分の距離にある介護つき有料老人ホームとも連携しています。また、私は認知症の患者さんを適切な医療・介護サービスへつなげるサポートも行っており、認知症初期集中支援チームによるご自宅訪問にも対応しています。富里市から事業への協力もよく依頼されますね。ご家族にとって、認知症の方の長期間介護は体力的・精神的、さらに経済的にも大変ですので、その負担を最大限減らしたいと思っています。
クリニックではどのような症状を診てもらえるのですか?

【穂積理事長】内科、小児科、循環器内科、呼吸器内科、消化器内科に対応しており、特別な症例以外は全般的な診療が可能です。血液検査や感染症の抗原検査なども院内で迅速に行っています。地域連携を大切にし、近隣の大きな病院と密にコミュニケーションを図っているのも特徴といえますね。病院からは循環器内科や消化器内科などの先生が診療に来てくださり、心臓のエコー検査やホルター心電図検査、また内視鏡検査も当院内で実施しています。
【達子院長】私の専門分野である小児科では、中学生までのお子さんに対し、感染症・アレルギー疾患・喘息などの治療を行っています。小児循環器を専門とする先生も定期的にいらしていますので、学校健診で心雑音の指摘を受けたりと心配なことがあれば、いつでもご相談くださいね。
お二人のご経歴も簡単に教えてください。
【穂積理事長】千葉大学を卒業後、最終的には医療工学という研究分野の関係で、医師の傍ら工学部の教授も務めました。2010年からは理事長として法人のサポートに専念しつつ、予防医学に注力しています。
【達子院長】幼少期に海外の医療ドラマで見た「医師」という職業への憧れが、この道に進んだきっかけです。日本医科大学を卒業してからは小児科の道に進み、大好きな子どもたちを日々診療しています。
働く患者や職員の子育て・介護の悩みを支える
こちらでは病児・病後児保育も行っていると聞きました。

【達子院長】病児保育は念願の夢だったんです。私自身も子育てをしながら働き、子どもが病気の時の大変さを実感して以来、ずっと携わりたいと思っていました。お子さんの急な発熱などがあれば、まずはご連絡ください。富里市にお住まいかどうかで条件や必要書類などが多少変わりますが、どなたでもご利用可能です。
【穂積理事長】はしかやインフルエンザなどの感染症の場合と、それ以外の体調不良の場合とでは、入り口も部屋も分けています。できるだけ楽しく過ごしていただけるように、おもちゃを豊富に用意しました。もちろん、ゆっくりお休みいただけるブースも備えています。保育士・看護師・小児科医も常駐しているのは、預ける親御さんにとっても安心していただけるのではないでしょうか。
職員の方が病児保育を利用されることもあるのだとか。
【達子院長】はい。職員のためにも病児保育は必要です。職員のお子さんも利用されます。職員はその大半が女性ですので、働きやすさを考え設置しました。さらに職員用の院内保育所も設けています。
【穂積理事長】当院の職員一人ひとりがかけがえのない存在です。女性の場合、子育てと仕事の両立に悩むケースも多いでしょう。当院で働く皆さんには、ご家族を大切にしながらキャリアを存分に生かしてほしいと思っているんです。お子さんに限らず、親や親戚の介護について職員から相談を受けることも。そうした面からも多くの人との結びつきを感じます。
子育て世代は家族の介護に悩む世代でもあるのですね。

【穂積理事長】何歳になっても心身ともに健康であれば理想的なのですが、残念ながら必ずしもそうはいきません。ご家族が高齢になり体力や認知機能が衰えて、介護に疲れてしまう方がとても増えています。生活背景や金銭的な問題もあり、「こうするのがベスト」と一概に解決策を出せないのがもどかしいのですが、行き詰まる前にご相談ください。必要に応じて連携を行いますし、介護保険や行政のサポートについて知るだけでも状況が変わるかもしれません。
情報発信にも力を入れて、より良い医療の提供をめざす
その他、患者さんに知っておいてほしいことはありますか?

【穂積理事長】喫煙中の方には、タバコが及ぼす影響を知っていただきたいですね。喫煙を20年ほど続けると有害物質が肺に残り、60代以降に肺気腫という形で現れる恐れもあります。タバコは本人だけでなく、受動喫煙から周囲の方々にも悪影響をもたらしますので、禁煙を強く呼びかけていきたいです。
【達子院長】以前から、子宮頸がんなど予防接種率の向上に取り組んでいます。子宮頸がんの予防接種は小学校6年生から高校1年生までの間に受けることを推奨しており、小学6年生の2種混合ワクチンの接種時に親御さんにお話ししています。子宮頸がんは毎年約1万人が罹患し、そのうちの約3000人の女性が亡くなってしまうともいわれる病気。予防接種についても正しく知ってほしいと思います。
診療で大切にしていることをお聞かせください。
【穂積理事長】病気を心配して受診する方ほど大きな問題がなく、逆に自分は何も心配ないと思っている方に病気が隠れているケースは珍しくありません。だからこそ、自覚症状がない患者さんに「薬をきちんと飲んでください」とお伝えしても、実践できる方は少ないんです。しかし、重大な病気ほど明確なサインがなく、症状が現れる頃には病気がある程度進行していることも多いです。そう考えるとやはり予防が重要ですので、早期発見・治療のために患者さんと根気強く対話を重ねています。
【達子院長】子どもというのはとても正直で、さまざまな形で重症度を表してくれます。そのため、まずは診察室に入ってきたお子さんの顔をよく観察し、同時に親御さんのお話にも丁寧に耳を傾けるように心がけています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【穂積理事長】自覚症状はないものの、健康診断で異常値が出る方は何かしらのリスクを持っています。それが将来的に病気につながらないよう、認知症も含めてなるべく早めに治療したいという思いがあります。認知症を早期に発見するには、ご家族など周りの方の「気づき」が必要です。当院では認知症初期集中支援チームによる集中的な支援も行っておりますので、おかしいと感じたらすぐにご連絡ください。
【達子院長】ご家庭でも、お子さんと親御さんとで会話を楽しむ時間を取ってもらえるとうれしいですね。親子のコミュニケーションが、お子さんの不調や違和感にいち早く気づくきっかけになるかもしれません。当院では今後もさまざまな情報を取り入れながら、より良い治療をめざしてまいります。

