長引く下痢、血便、腹痛の原因を探る
苦痛の少ない内視鏡検査
河村メディカルクリニック
(茨木市/茨木市駅)
最終更新日:2025/05/15


- 保険診療
1週間以上続く下痢や排便後の出血があっても、「日常生活には困っていないから」と受診をしなかったり、「たぶん痔だろう」と自己判断をしてそのまま放置したり、市販の薬でやり過ごしたりする人も多いだろう。しかし、中には大きな病気が隠れている可能性もある。消化器全般の病気、肛門の病気を専門とする「河村メディカルクリニック」の河村英輔院長は、「下痢や便秘、血便、おなかの痛みなどがあれば放置をせず、ためらわず受診してほしい」と呼びかける。先進の機器を備え、年間多くの内視鏡検査を行い、正確な診断と病気の早期発見・早期治療に努めている河村院長に、おなかの病気や内視鏡検査について詳しく教えてもらった。
(取材日2025年4月28日)
目次
下痢や便秘は深刻な疾患のアラームサインかも。早めに受診し内視鏡検査を受けることが重要
- Q1週間以上続く下痢や便潜血陽性の原因と、放置するリスクは?
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A
▲内視鏡検査を行い、症状の原因を調べる
下痢が1週間以上続く状態や便潜血反応が陽性の場合、炎症性腸疾患、大腸憩室症、大腸がんも原因であることが考えられ、当院では積極的に大腸内視鏡検査を勧めています。最近は日本人の食生活の変化に伴い大腸がんの発生率が高くなっているので、潜血反応が2回中1回でも陽性と出た場合、内視鏡検査を受けてもらうことは必須条件です。一方、上腹部の不快感や痛みに関しても胃がんなど重篤な疾患が隠れている場合があるので、その訴えをサインとして胃の内視鏡検査を勧めるケースが多いです。胃がんリスク検査で異常があった人も胃の内視鏡検査の対象。また、家系内に消化器がんになった方がいる場合は胃・大腸の内視鏡検査を受けましょう。
- Qこちらのクリニックの内視鏡検査の特徴を教えてください。
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A
▲患者の苦痛を軽減するためさまざまな工夫を行っている
胃と大腸の内視鏡検査においては、患者さんの苦痛をできるだけ軽減するべく工夫を行っています。まず胃内視鏡検査は、一般的に経口内視鏡と比べて嘔吐感が少なくて済む経鼻内視鏡を用いていることが特徴です。昨年の12月に先進の内視鏡を新たに導入し、疾患の発見率を上げるよう努めています。経鼻内視鏡ですと患者さんの意識がありますので、「今から十二指腸に入りますよ」など状況を細かく説明しながら行うことで、患者さんの緊張の緩和や安心につながるよう心がけています。一方、大腸内視鏡検査では苦痛を軽減するために鎮痛剤を用いて行います。また大腸が非常に長い人の場合はエックス線透視下で行っています。
- Qクリニックでは年間どれくらいの内視鏡検査を行っていますか?
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A
▲術後はリカバリールームで休むことができる
2024年4月1日から2025年月3月31日までに当院が行った検査数は、胃の内視鏡検査312件、大腸内視鏡検査154件です。当院は私の父が1974年に開業し、当時はまだ浸透していなかった内視鏡検査を導入。他院から内視鏡検査を依頼されることも多かったようです。以来、数多くの内視鏡検査を行い病気の発見に努めてまいりました。この4月からは私の息子が入職し、副院長を務めています。彼は大阪大学消化器内科に入局後、市立豊中病院、市立伊丹病院、大阪けいさつ病院の消化器内科で研鑽を重ねてきました。多くの検査のご希望に対応するべく、診療体制の充実と拡充に努めていきたいと思います。
- Q内視鏡と肛門外科の両方を専門とする医院を受診するメリットは?
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A
▲先進の機器を備え、多くの内視鏡検査を実施している
「自分は痔があるから便潜血反応が陽性になる」と訴える患者さんも結構います。できるだけ検査を回避したいという気持ちからそうおっしゃるのでしょうが、中には深刻な病気が隠れていることも。正しい診断のためにも検査は必要ですので、大腸内視鏡検査をお勧めしています。大腸に問題なく、痔と診断すれば適切な治療を行います。また、肛門外科には便秘に悩む方も多く訪れますが、便秘の場合も大腸の内視鏡検査をしてきちんとリスクを探っておくことも大切。当院では、消化器疾患と肛門疾患の両方が専門ですので、おなかもお尻も一貫して適切な診断や検査、治療が行えるのが強みです。
- Q検査で異常が見つかった場合についても教えてください。
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A
▲必要に応じて他院と連携を取り、経過観察の検査を行う
内視鏡検査の前に同意をいただいた上で、検査時に万が一大腸ポリープが発見された場合は適応を見極めた上でその場で切除することも可能です。できるだけ速やかに内視鏡下で処置し、外科的な処置が必要な場合は、連携している病院の消化器内科または消化器外科にお願いしています。連携病院で治療が終わった後は、またこちらのほうへ帰ってきて、年に1回、もしくは治療した病院の指示によって半年に1回の経過観察の検査を行います。常に連携病院の先生と情報を共有して、必要な指示をいただいたり、最近はメールで画像が飛ばせるので、その画像に関して先生方の所見を伺ったりしています。