河村 英輔 院長、河村 浩輔 副院長の独自取材記事
河村メディカルクリニック
(茨木市/茨木市駅)
最終更新日:2025/05/30

プライマリケアを担うかかりつけ医として、この地で約60年、地域に根差した診療を行う「河村メディカルクリニック」。内科、胃腸内科、外科、肛門外科、皮膚科、泌尿器科、放射線科と多くの診療科を標榜し、胃・大腸内視鏡検査を含む各種検査や、日帰り手術、訪問診療も行い、一つの場所で包括的な医療を提供。優しい笑顔が印象的な河村英輔院長は、「地域のかかりつけ医として患者さんに寄り添い、どんな訴えにも耳を傾けて可能な限り当院で対応するとともに、必要に応じて速やかに専門の医療機関へとつなぐことを大切にしています」と話す。この4月より息子の河村浩輔先生が副院長として診療に加わり、体制がパワーアップした。そんな同院で現在力を入れていることや、今後の展望について、院長と副院長に話を聞いた。
(取材日2025年5月1日)
診療科の垣根を越えて、切れ目のない医療を提供
こちらのクリニックの歴史を教えてください。

【英輔院長】始まりは、1964年に先代の父が開業した「河村外科医院」です。より診療の幅を広げたい、救急の患者さんも受け入れたいという父の思いがあり、1974年からは「河村病院」として、外科手術や救急医療にも対応してきました。そして、2002年に今の名称に変更しました。現在は、内科をはじめ、胃腸内科、外科、肛門外科、皮膚科、泌尿器科、放射線科と、幅広い領域の診療に対応しています。患者さんが複数の疾患を同時に抱えていたとしても、診療科ごとに別の場所へ通っていただく必要がありません。診療科の垣根を越えて、迅速かつ適切に、切れ目のない医療を提供できることが、当院の強みであると自負しています。
クリニックの指針をお聞かせいただけますか。
【英輔院長】高水準の医療を維持しながら、地域の中核医療の一部の役割を果たしていきたいというのが指針の一つです。診療にあたっては専門性を持ちながらも、総合的に診られるオールラウンダーでもあります。そして、当院で治療が可能な疾患にはしっかりと対応し、精密検査や高度医療が必要だと判断した場合は速やかに専門の医療機関につなぐということを大切にしています。大阪医科薬科大学や北摂総合病院、大阪府済生会茨木病院、大阪大学医学部附属病院などさまざまな医療機関と連携しております。患者さんを適切な道へと導くかかりつけ医としての役割を全うしていきたいですね。
クリニック内でさまざまな検査が受けられるのですね。

【英輔院長】患者さんのために可能な限り当院で対応したいという思いから、CT検査をはじめ、エックス線検査、超音波検査、ホルター心電図検査、骨塩定量検査など、各種検査を行える環境を整えています。そのため、当院ではタイムラグなしに次のステップへ進めることができ、即座に診断し、適切な治療に結びつけられるのが大きなメリットです。ちなみに臨床検査技師が常駐しているので、緊急の検査にも対応可能です。そしてエックス線検査機器は、AI診断補助機能が搭載されているので確信度が高いほど赤く表示される仕組みです。さらにCT画像や超音波画像については、私が読影するだけでなく、信頼できる診断技術を持った放射線科の医師に来てもらい、必ずダブルチェックを行って複雑な臓器内の微細な病変も見逃さないよう努めています。
親子2人体制の診療で地域に寄り添う医療を
新たに副院長が加わり、よりパワーアップされましたね。

【浩輔副院長】私は、阪大消化器内科入局後、市立豊中病院、市立伊丹病院、大阪けいさつ病院の消化器内科で研鑽を重ねて、この度当院に入職、副院長に就任しました。医師が2人体制になることで、例えば、外来の患者さんですぐに胃の内視鏡検査をしないといけないと判断した場合でも2人が連携して、検査と診察を分担し、迅速な検査をして診断をつけて適切な対応ができます。外来の方をお待たせする時間も少なくなるのではないかと思います。
副院長が医師をめざされたのは、やはりお父さまである院長の影響でしょうか?
【浩輔副院長】院長の姿を見て育ったことは大きいですね。社会で生活していく上で元気であれば人間らしい生活を送ることができますので、その礎となるような仕事をしていきたいと考えた時に、そばで見てきた医師という道はまさにそこに直結する部分だと感じました。また、病気を治療することだけではなく、社会的サポートという面でも医師はライフラインとして重要な役割を担えるという点も非常に魅力的に感じましたね。そして私が消化器内科を専門に選んだのは、内視鏡診断や内視鏡で行える治療技術が進歩し、早期発見・早期治療に大きな役割を果たしていると感じたからです。加えて、多くの方が病院に来る理由としては、「おなかが痛い」「気持ち悪い」とおっしゃる方は非常に多いので、それに対して消化器という分野がダイレクトにアプローチできると思いました。
副院長が診療で大切にしていることは何ですか?

【浩輔副院長】大きな病院での診療は、ある程度診断がついていて、その病気に対してダイレクトにアプローチしていくのが基本的なスタンス。ですがクリニックでは、腹痛が主訴としても別の疾患が隠れている場合や、実はおなかではなく心臓が問題であるというケースもあります。ですから最初に広く診て、精確な診断をつけていくが強く要求されていることだと感じています。
【英輔院長】当院が果たす役割はゲートキーパーだと思っています。ここで疾患をある程度見極めて、当院で対応可能だと判断すれば治療を行い、必要であれば専門の病院へ迅速につないでいくことが重要。そのため今後、副院長がオールラウンドな診断、治療ができるようサポートしていきたいですね。
専門的検査、日帰り手術、痔の各種治療などにも対応
日帰り手術も対応されています。また痔や便秘の悩みも多いそうですね。

【英輔院長】私は日本外科学会外科専門医で、外傷の縫合処置をはじめ、皮膚や皮下にできた腫瘍の摘出などにも対応しています。肛門疾患では、痔ろうの手術、肛門周囲膿瘍の切開や肛門ポリープ切除などの外科的治療も行っていますよ。また、イボ痔を切らずに薬物を注入して治すことをめざすALTA療法(4段階注射法)を実施していることも特徴の一つです。ALTA療法や痔核手術、肛門ポリープ切除には日帰りで対応していますので、お仕事やご家庭の都合で入院が難しい方でも受けていただきやすいのではないでしょうか。また便秘で悩んでいる人も多く訪れています。お尻の悩みは人に相談しづらいこともあってか、適した薬を使わないと悪化してしまうこともあります。当院では、複数の治療法の中からその方に合った方法を選択することを重視しています。適切な排便習慣についてもお伝えしているので、痔や便秘にお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
訪問診療も行っているそうですね。
【英輔院長】私が小学生だった時から通ってくださっている患者さんの中には、お年を召して通院が難しくなった方もいます。そういった方に関しては、月に2回程度訪問診療に行うことが可能です。今後もこういった要望は増えていくかと思いますので、これまでの信頼関係を大切にして、患者さんやご家族のご要望に応えていきたいです。
このクリニックで実現していきたいことは?

【英輔院長】日々の診察では、診察室に入ってくる時の患者さんの表情や歩き方、声や話し方、咳の種類や呼吸の仕方など、一つ一つのことが健康状態を把握や病気の発見のヒントになってきます。ですから今までもこれからも、患者さんとの会話を大切にしていきたいですね。そして病気の話だけではなくて、患者さんの身の上話をしてもらえることが、医師として信頼してもらっている、気持ちを開いてもらっている証かなとも思います。
【浩輔副院長】一つは患者さんの負担を減らしていくこと。当院で一通りの検査をして、診断がついて、ここで治療して病気を抑え込めていけるのであれば、入院や大きな病院での待ち時間がなくなり、患者さんの負担が少なくなると思います。もう一つは、医療が必要な人が取り残されない状況をつくること。訪問診療がその一つの手段ですが、いろいろな人を受け入れられる間口の広いクリニックであり続けたいと思っています。