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安藤 広幸 院長の独自取材記事

安藤クリニック

(多治見市/多治見駅)

最終更新日:2019/08/28

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岐阜県多治見市の土岐川沿い、癒やされる風景の中にある「安藤クリニック」。明治時代に曽祖父が同県旧岩村町(現・恵那市岩村町)に開院し、祖父の代に現在の場所へ移転。4代目の安藤広幸院長は祖父や父の背中を見て育ち、自然と同じ道へ進んだ。同院は県内でも珍しいという「肛門外科」を標榜。おしりのトラブルという、相談しづらい悩みは、女性に多く見られるため、老若男女問わず、県内はもとより県外からも患者が来院するという。名古屋大学医学部出身で茶目っ気のある一面も見せる安藤院長に、痔の怖さや痔になりやすい人、受診すべきタイミングなどを、時に冗談を交えながらも丁寧に語ってもらった。
(取材日2018年8月22日)

明治時代から4代続く町のかかりつけ医

歴史のある医院で、先生で4代目だと伺いました。

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そうです。現在の恵那市にあたる岩村町に初代が開設し、2代目の祖父の時に多治見市に出てきたんです。1985年、ちょうど僕が大学を卒業した年に今の建物になりました。以前の建物は、看護師と医師の家族が一体になっているような感じでしたね。昔の商人の家は、番頭さんも家の一員みたいに近い存在でしたが、それと同じ感じです。自宅と医院が隣りあっていて、僕が小さい時などはちょっと熱を出すと、母に「お父さんところへ行って注射打ってもらっておいで」と言われ、歩いて注射を打ってもらいに行く、といったことも。当たり前のように白衣姿の祖父や父を見て育ち、医療が常に身近にありました。だから、気がつけば僕も医師になっていた感じです。

規模も大きいですが、スタッフは何人おられるのですか?

当院は内科、消化器内科、肛門外科を標榜していて、医師、看護師、受付などを含めて21人です。多いと言われるのですが、1985年の移転時は、今よりさらに大きく、40床ある病院だったんです。2000年頃に病床19床の医院となったので、病院時代よりもスタッフが少なくなったのですが、入院設備があるということは夜勤スタッフも必要ですから、医院にしたらかなり多い人数ですよね。皆さん、特に僕が何も言わなくても自ら動いてくれるベテランぞろいで、むしろ僕が助けられている感じですね。本当に感謝しています。ちなみに事務長と診療放射線技師、そして僕以外は全員女性です。

どういった患者さんが来られるのですか?

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肛門外科という特殊な科があるので、長野県の南木曽や、岐阜県内でも下呂などの遠い地域からも来られます。年齢層はそれこそ1歳から99歳まで。最近は、1~2歳の子の便秘が多いんですよ。それから小学生くらいでも週に2回くらいしか出ないという子も。うんちが出なくて切れ痔のひどいお子さんも実は多いんですよ。朝食抜きなど、やはり食生活に問題があるのかもしれませんね。あと女性でダイエットしている人。食べる量が少ないから出ないんです。腸というのは毎日少し食べると少し便が出るかというと、そうではありません。ある程度のボリュームがないと押し出そうとせず蠕動(ぜんどう)運動が止まってしまうんです。それで便秘になると、今度は排便時に肛門に負担がかかり、痔になって痛みを感じるようになる。そうなるとうんちをしたくないから食べなくなる。食べないとますます便秘になる。悪循環になってしまうんです。

産後やダイエット中の女性に多いいぼ痔や切れ痔

肛門外科の患者さんというと男性のイメージですが、女性も多いのですか?

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僕の中では、むしろ女性が多いイメージです。少なくとも男女の差はそれほどないと思います。「痔」と一口に言いますが、痔核と裂肛、痔ろうといくつかの症状があって、痔核は通称「いぼ痔」で、裂肛は「切れ痔」。この2つに関しては女性がやや多い印象です。特に産後になりやすいんですよね。痔ろう、通称「あな痔」に関しては3対1くらいで男性が多く、トータル的に見るとやはり半々でしょうか。女性の患者さんは、正直「こんな程度なら全然心配ないのに」と思うくらい神経質な方がいらっしゃる一方で、「よくこうなるまで我慢したな」という方もいらっしゃって、本当にさまざまです。

やはり、受診への抵抗感といったものはありますからね……。

なかなか難しいですよね。ただ僕が不思議だなと思うのは、ちょっとおしりから血が出ると、皆さんすぐに「大腸の病気」を心配されるんですね。大腸も肛門も、診察時のポーズはまったく同じですから、おそらく検査に対する抵抗感は同等だと思うんです。でも、がんへの恐怖心から、ほんの少しの出血でもがんを疑ってまず大腸内視鏡検査を受ける、といった考えになるのでしょう。でも、自治体が実施する大腸がん検診で、毎年便潜血が陽性となってしまう方の原因の多くに、痔による出血が多く含まれているんです。つまり、痔を治療してしまえば、出血の不安から解放されるということ。加えて、痔の治療後に便潜血検査が陽性となれば、それこそ大腸内視鏡検査の出番といえます。だって、肛門には出血の原因がないわけですから。そういった意味では、まず肛門外科へ来ると、効率よく原因がわかると僕は思うんですけれどね。

多くの人は痔の治療内容を知らないので、怖いのかもしれないですね。

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決して怖いものではありません。ただ、術後はやはり痛いです。経験した人はわかると思うのですが、ちょっとした切れ痔でもシャワーの水が当たったりするとすごく痛いでしょう? ですので、手術創があれば痛くないといえばうそになります。しかし中には、外に飛び出した痔核をその都度トイレで押し戻すのを何十年も続けている人もおられるわけで、それならやはり早く手術するべきだと思います。手術後は、「術後晩期出血」という出血のリスクがあったり、うんちで傷が不潔になったりすることもありますから、1週間くらい入院していただくのが望ましいです。しかし、仕事や家のことなど個々のご事情もあると思うので、それらを踏まえて入院日数は適宜調整していきます。

痔はポピュラーな病気。重症になる前の受診が大切

痔は他の病気と比べて重要視されていない印象はありますね。

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がんについては皆さん重要視されますが、痔も生活に支障を来す病気です。今は若い人でもひどい痔の人が結構いるんですよ。狭義の痔核ではないのだけど、肛門ポリープ、できる場所によって見張りイボと言いますが、そういったものもあります。これは切れ痔が切れ続けることによってその近辺に形成されるポリープなんですが、ひどい場合はゴルフボールに近い大きさになって、それが出たり入ったりしてすごく痛いんです。そういう症状で苦労している人が、実はいっぱいいるんです。肛門外科へ来れば、スムーズに治療が進められます。解決方法がわからず、やみくもに時間を費やしている人が大勢いると思うと、そういう人に肛門ポリープの存在を啓発する方法を考えなければいけないと感じています。

医院のホームページで「おしりの症状」の、セルフチェックができるそうですね。

こういうものを作りたいと相談して、専門の方と協力して作りました。選択肢形式で答えていくと、疑いがある病名が出てくる形式です。完全に正しい診断というわけではなく、あくまでも参考になるという程度ですが、少しでもスムーズに受診していただけるよう、肛門外科を受診する心理的ハードルが下がるのを期待して作りました。最終的には、受診する・しないといったことは、患者さん自身のお気持ちに委ねるしかないのですが、勇気を出して手術を受ければ、「こんなことならもっと早く来れば良かった」と感じる方はきっと少なくないと思います。

最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

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よくぞここまで我慢したというくらいまで放置されている方が、残念ながら驚くほどおられます。比較的この医院の近くにお住まいなのに、長年受診されずにいて、かなり重症になってから来られた方もいらっしゃいます。恥ずかしいのでしょうが、近くにいて救えないのは本当に残念です。男性も女性も、お年寄りもお若い方も、痔は決して特殊な病気でも恥ずかしい病気でもありません。程度の差こそありますが、日本人の10人中8~9人が痔を持つといわれるほどメジャーな病気です。もちろん軽度であれば、市販薬で対処できる場合もあります。ただ目安として市販薬を2、3日使用しても改善の兆しがまったく見えなかったら、やはり受診すべきだと思います。ましてや排便のたびに押し戻すようなレベルになっているのなら、迷わず受診ほしいですね。

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