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全身をぐるりと見回す診療
オーダーメイドの治療を漢方で

たまがわクリニック

(横浜市旭区/二俣川駅)

最終更新日:2021/10/12

たまがわクリニック 全身をぐるりと見回す診療 オーダーメイドの治療を漢方で たまがわクリニック 全身をぐるりと見回す診療 オーダーメイドの治療を漢方で

日頃から漢方を愛用している人も少なくないだろう。ただ、「徐々に効いてくるから時間がかかるのでは?」「保険がきかないのでは?」といった固定観念を持ったままの人もまた、少なくないだろう。まだまだ知らないことも多い奥深い漢方の魅力について、日本東洋医学会漢方専門医である「たまがわクリニック」の玉川葉子副院長に伺った。

(取材日2014年10月27日)

健康保険適用の漢方エキス製剤は148種類。これらをうまく使いながら漢方薬を体質作りに役立てよう

Q漢方治療の特徴や、西洋医学との違いはどのような点ですか?
A
たまがわクリニック 症状に合わせてオーダーメイドで漢方薬を処方してくれる

▲症状に合わせてオーダーメイドで漢方薬を処方してくれる

まず、同じ病名であっても、その人の体質に合わせ、いくつかの処方の中から適切なものを選んで使う、オーダーメイド的なところが一番大きな特徴です。例えば同じ「月経不順」という病名でも、のぼせがあり便秘がちな人と冷え症で血色が悪く下痢しがちな人とでは、処方内容が異なります。漢方は一つの症状だけでなく、身体全体を評価して処方を決めるので、最も困っていた症状以外の不調も一緒に改善する可能性があります。また、西洋医学では疾患として取り扱わないような症状、例えば検査では異常が認められない動悸や胸痛、胸やのどのつまり感、冷え症や肩こり・だるさに対する治療を得意とすることも西洋医学との違いだと認識しています。

Q診療の仕方も、西洋医学と漢方では違うのですか?
A
たまがわクリニック 漢方内科と神経内科の専門的な治療が受けられる

▲漢方内科と神経内科の専門的な治療が受けられる

漢方医学の診察には「四診」といって望診、聞診、問診、切診の4種類の診察法があります。望診は視覚による診察で、体格や顔色、皮膚や爪の状態などを観察します。舌もみせていただくのでびっくりされることも多いですね。また聞診は聴覚や嗅覚を用いた診察です。問診は西洋医学の問診と共通する部分も多いのですが、どんなときに悪化するか、どうすると調子が良いかなど、漢方医学的な考え方に沿って質問していきます。例えば同じ関節痛でも冷やして良くなる痛みと温めて良くなる痛みでは使う漢方薬が違うからです。次に切診ですが、これは患者さんの身体に触れて行う診察です。主に脈診と腹診をさします。これら4つの診察法で得られた情報を総合して処方を決めていきます。血液データや画像診断の技術がない時代に、人間の五感を使い、より適切な治療をしようとした先人の努力には日々敬服するばかりです。

Q一般の方の漢方に対するイメージにギャップを感じることがあるそうですね。
A
たまがわクリニック 漢方治療についてわかりやすく解説してくれる玉川葉子副院長

▲漢方治療についてわかりやすく解説してくれる玉川葉子副院長

患者さんからよくお聞きするのは、「漢方には即効性がない」「漢方には副作用がない」というイメージです。風邪症状で来院された方に漢方薬を処方しようとすると「すぐ効く方がよいので」と断られてしまうことがあります。とくにひきはじめの風邪症状には、皆さんがご存じの葛根湯など免疫力を高める薬を早めに飲むことで、こじらせずに治癒する場合もあります。実際、漢方が専門ではない先生方も風邪の初期には積極的に漢方薬を処方されています。また、「漢方には副作用がない」と思って来院される方も多いのですが、残念ながら漢方薬にも胃腸障害、肝機能障害、低カリウム血症などの副作用が発現する可能性があります。特に長期にわたって服用する場合、適宜血液検査を行う必要があります。市販の漢方薬も例外ではありませんので、必ず医師や薬剤師に相談してください。それと費用の面で、「漢方治療は高い」というイメージです。確かに保険適用にならない漢方薬局や自由診療の場合、1ヶ月で1.5万〜2万円程度の費用がかかることが多いようですが、保険適用で漢方治療を行っている医療機関であれば、お薬にもよりますが、1ヶ月5千円位までです。この点でも、もう少し漢方を身近に感じていただければと思います。

Qあまり知られていないけどこんな症状にも有効というものはありますか?
A
たまがわクリニック 院内は木の温もりを感じる優しい空間

▲院内は木の温もりを感じる優しい空間

頭痛やしびれなどの神経内科疾患の他、膝痛や腰痛などの整形外科疾患、頻尿や繰り返す膀胱炎などの泌尿器科の症状に対しても漢方は用いられます。また、ストレスに関連する疾患、例えばストレスでお腹が痛くなる、アトピーがひどくなるといった心身症の方にもよい適応となります。西洋医学的治療では、このような患者さんに抗不安薬や抗うつ薬などを処方するのですが、非常によくなる方がいる一方で薬の影響で眠くなってしまう方もおられます。こういうときには是非、漢方治療を検討していただきたいです。

Q西洋医学と漢方医学を併用することのメリットを教えてください。
A
たまがわクリニック 院長は神経内科の専門医。お互いの専門分野を連携している

▲院長は神経内科の専門医。お互いの専門分野を連携している

得意分野が違いますので、併用することで“いいとこ取り”してよいと思います。例えば神経内科に片頭痛治療でかかられた場合、その方が冷え症で天気の悪いときに発作を起こす傾向があれば、発作時の西洋薬の頓服を使いながら、冷えや体内の水の巡りを改善する漢方薬を使って頭痛を起こしにくい身体作りを行うこともあります。関節リウマチの方も、西洋薬と漢方薬を併用することで痛みのコントロールが良好になることもありますし、不妊治療においても婦人科治療と並行して漢方で血の巡りを整え妊娠しやすい身体作りをサポートするケースもあります。各科の主治医ときちんと連携し、漢方のいいところを治療に活用していけたらと思っています。

ドクターからのメッセージ

玉川葉子副院長

これまでお話ししたように、漢方治療はその方の体質や生活状況などを総合的に判断して処方を選ぶ「オーダーメイド」的な要素があり、思いもよらぬ効果があったと喜ばれる患者さんもたくさんいらっしゃいます。ですが一方で、そうした利点を実感しながらも、漢方外来をやっている病院が遠方であったり、自由診療による経済的な負担が大きかったりして、十分に症状が改善する前に治療を中断してしまうケースも珍しくありません。当院では町の一内科医院として、漢方薬を皆様の日々の健康づくりに取り入れていただくお手伝いができればと考えております。

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