全国のドクター8,993人の想いを取材
クリニック・病院 161,449件の情報を掲載(2020年2月20日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 渋谷区
  4. 代々木公園駅
  5. よよぎ女性診療所
  6. 中村 浩 所長

中村 浩 所長の独自取材記事

よよぎ女性診療所

(渋谷区/代々木公園駅)

最終更新日:2019/08/28

40815 df 1 main 1401348113

千代田線代々木公園駅から徒歩1分、小田急線代々木八幡駅から徒歩2分で着く、緑豊かな遊歩道沿いに、2014年4月、「よよぎ女性診療所」が開院した。所長の中村浩先生は、大学病院やがんセンターなどで腫瘍を専門に診療を行ってきた産婦人科医だ。腫瘍のエキスパートが町の診療所を開院するというケースは少ない。がん検診に強く、助産師とともに産前産後のケアにも力を入れ、女性の一生をトータルでサポートしたいと願っている。女性が元気になるように、また落ち着いて診療が受けられるようにと内装にこだわった医院には、驚くほど広いトイレや、各種相談に利用する和室の指導室など、こだわりの設備がいっぱいだ。「そのため、所長室は2畳になってしまいましたよ」と笑う中村先生に、診療への思いからプライベートまで、たっぷりと伺った。
(取材日2014年5月1日)

腫瘍の診療にあたって20年以上。病気の発見・治療に加え、病気にならない身体づくりにも力を注ぐ

4月に開院したばかりとか。オレンジを基調にした明るい院内ですね。

40815 df 1 1 1400548154

オレンジ色は私の大好きな色で、女性が元気になる色だと思い、これを医院の基調カラーにしたんです。このビルはもともと事務所仕様のため、真ん中に太い柱があるのですが、それをうまく利用して、積木が積み重なったような内装にしました。そこに、女性が年齢とともにステージを上がっていくという意味も込めたんです。当院のロゴが角張っているのにも同様の意味が込められていて、「ヨヨギ」と「YOYOGI」の、両方の文字が読める楽しいデザインになっています。後から気づいたのですが、このロゴは妊婦さんの姿にも見えるんですよね。当院は代々木公園にも近く、メインの商店街からそれた遊歩道沿いにあるので、婦人科には入りにくいという方でも安心して寄っていただけるのではないかと思っています。

どのような医院にしたいと思われていますか?

どんなささいなことでも相談していただける場にしたいです。「診療所」と名づけたのも、「レディースクリニック」では、特にお年寄りが入りづらいのではないかと思ったからなんですよ。だれもが気軽に足を運べて、様々な年齢の女性たちがコミュニケーションをとれる場になり、そのなかで少しずつでも健康について意識してもらえたらうれしいです。診療所は病気を治すところですが、私は当院を、健康な人が将来病気になりにくい体作りをする場にもできたらと願っています。日本は、健康寿命と平均寿命との差が大きく、10年以上の開きがあります。健康で生きられる期間を、できるだけ平均寿命に近づけるような診療を実現したいんですよ。そのため当院では、女性特有のがん検診だけではなく、筋肉や内臓脂肪の量、血管年齢や骨密度なども測る機器を備えました。その検査結果を見て、栄養指導や運動療法、体にいいとされるサプリメントなどのアドバイスをしていきたいと思っています。それに必要な食品保健指導士の免許もとり、氾濫するサプリメントや健康補助食品の中から、その方にふさわしいものを選別して提案する知識も身に付けました。これからの医師には、こうした知識も必要なのではないかと思っています。

ご専門は腫瘍だとお聞きしています。

40815 df 1 2 1400548154

子宮がん検診は、一次検診の細胞診であればほとんどの女性クリニックで行っているでしょうが、当院では、一次検診で引っかかった場合の二次検診まで受けることができます。町の診療所は珍しい、コルポスコープという膣拡大鏡を導入していて、怪しい部位を狙って組織を採ることができるんです。この検査は、ふつうは大学病院などの大きな病院で行い、混んでいると3〜4ヵ月待ちということもあります。疑いがある状態で長期間待たされたら、患者さんは不安ですよね。町の医院で二次検査が可能というのは、患者さんにとってはもちろん、大学病院側にもメリットが大きく、当院には、私の出身大学から患者さんが紹介されてきます。コルポスコープ検査は、狙った場所を採る技術が大事ですし、一次検査の細胞診も、採った細胞の数が規定量に達していないと判定不能になるため、そうならない医師の腕が必要です。最新の検査機器に加え、20年以上婦人科のがん治療にたずさわってきた経験も、当院のがん診断の精度を強めていると思います。

母乳相談やベビーマッサージから、胎児を失った人のグリーフケアまで、助産師が手厚く指導

産前産後のケアにも力を入れていると伺いました。

40815 df 1 3 1400548154

はい。当院では、まだ珍しい4Dエコーを導入しています。これを目的に来院される方もいらっしゃいますよ。赤ちゃんの様子が立体的な動画として映るので、父親と母親どちらに似ているかわかる場合もありますね(笑)。その動画データはサービスとして妊婦さんにお渡ししています。産後は、母乳相談や育児相談、ベビーマッサージやマタニティ・産後ヨガの指導などを行っています。当院には、常に助産師がいて、例えば乳房が急に張って痛む時などは、彼女たちがマッサージを行っています。こうしたケアのために、院内に「指導室」という部屋を設けました。落ち着いた6畳の和室で、おっぱいが飛び散ってもいいように防水性の畳を使っています。部屋の狭さが幸いし、1〜3人の方が対象となって、わかりやすい指導が可能になりました。相談の中で必要だと思ったら、すぐに薬の処方ができるのも婦人科ならではです。また指導室は、お母さんが受診されている間、赤ちゃんをお預かりする場にもなっています。

流産などを経験された方にも、手厚いケアを行うそうですね。

流産や死産を経験された方は、実はとても多く、表には出さないけれど心に傷を抱えていることが少なくありません。当院では、そうした方のために、グリーフケアに力を入れている看護師や助産師が担当となってケアを行っています。赤ちゃんを失った悲しみから立ち直れるよう、ゆっくりと思いを吐き出していただくとともに、次の妊娠につなげるため体の快復を助ける生活指導も行っています。ただのカウンセリングとは違う、婦人科ならではグリーフケアにしたいと考えました。当初は、流産や死産を経験された方が幸せな妊婦さんと一緒になってつらい思いをしないようにと、できれば待合室を別にしたかったのですが、スペースの都合上そこまでは厳しくて……。でも、グリーフケアで受診された方はなるべく早く指導室にお通しするなど、配慮は手厚く行っているつもりです。

診療の際に気をつけていることは何ですか?

40815 df 1 4 1400548154

患者さんの話をよく聞き、言いたいことは全部言っていただいて、疑問を残してお帰しするようなことはしません。内診の際には、「これから〇〇をしますよ」「痛みはありませんよ」などと必ず声をかけ、患者さんの不安を取り除くようにしています。また、小さなこだわりですが、内診の際に患者さんの体にかけるひざかけは、お一人一枚で、使い回しはしていません。プライバシーへの配慮にも気をつけ、受付での問診にはタブレット型コンピュータを使って、「今日はどうしましたか?」などの質問はしないようにしています。婦人科の症状の中には、人には聞かれたくないこともありますからね。もちろん高齢の患者さんにはスタッフがつきそって操作方法をお教えしています。 

プライベートでは3人の子の父。つわりのひどかった妻を見て、妊婦に優しい医師に

先生はなぜ産婦人科医を選ばれたのですか?

40815 df 1 5 1400548154

私はもともと手術に興味があり、外科志望でした。産婦人科にはお産のイメージしかなかったのですが、大学時代の部活の顧問が産婦人科医で、その先生から、婦人科にはがんに苦しむ患者さんが多いことや、産婦人科医がとても不足していることを聞かされたんです。考えてみると、人の誕生に関わり、がんの手術も行える医師は、産婦人科医しかいないんですよね。そう気づいて、この診療科に進みました。長年腫瘍の分野にたずさわって思うのは、どんなに医療技術が進み、医師の腕が上がっても、がんの患者さんは増え続け、それが原因で亡くなる人が多いということです。治療のための開発費や医療費は莫大で、このまま少子化が進めば、国民皆保険制度はやがて破たんしてしまうでしょう。だったら、がんを治すよりも、がんにならない身体づくりをしていくことのほうが大事だと思うんですよ。早く発見し早く治すということも含め、皆さんの生活の質を落とさずに健康寿命を延ばすお手伝いをしていきたい。そんな産婦人科医でありたいと思っています。

診療を離れたプライベートも教えてください。

私は昭和の時代が大好きで、最近は映画『男はつらいよ』を見て、昔をしみじみ想っています。寅さんはハチャメチャな行動をするけれど、心はとても温かで、その人のためと思ったら、何でもやるんです。そういう姿勢は見習うべきだと思っています。私自身、東京の下町育ちで、昔は隣の家に醤油を借りにいったり、おかずをおすそ分けしたりする近所づきあいが日常的なことでした。そんな話をすると、子どもにはばかにされちゃうんですけどね(笑)。うちには中2・小5・小3と、3人の子どもがいます。出産には立ち会いましたが、自分では取り上げませんでした。何かあったら冷静を保てないと思ったので、信頼できる先輩医師に任せたんですよ。妻は妊娠中つわりがひどく、入院したこともあります。それを間近で見ていたので、今まで以上に妊婦さんによりそえるようになりました。当院で産前を診ている妊婦さんには私のプライベート電話番号をお教えし、休日などの緊急時に対応しています。救急病院にかかるとしても、いきなり知らない病院へ行くのは不安でしょう? 間に私が入って受診しやすくしています。

医院の今後の展望や、読者へのメッセージをお願いします。

40815 df 1 6 1400548154

当院は、最新設備と高い技術をそなえていますが、診療は気取らずにやっていますので、心配事や相談があれば、どんなささいなことでもぜひ来院して話してください。それは婦人科の症状に限りません。「私はこういう症状だから消化器かな」と診療科を選ぶことは、一般の方にはとても難しいことです。専門分野外でも見極めはつけられますし、当院で治療できなければ信頼できる適切な医院をご紹介していますので、困った時のかかりつけ医として利用していただけたらと願っています。また、産前産後は全力で応援し、特にこれからは働く女性の妊娠のサポートに力を入れていきたいと考えています。私は産業医の資格も持っていますが、たいていの産業医は内科医のため、例えば働く妊婦さんに出血があった時など、すぐに仕事を休ませたりして必ずしも適切な対応がとれていないケースもあるのです。それがかえって働く女性に妊娠を躊躇する結果になることもあると思うんですよ。妊娠は病気ではありません。今後はそうしたことも啓発し、働きながら子どもを産める人が増えるよう、力を尽くしていきたいです。

Access