大蔵 隆一 院長の独自取材記事
おおくら内科
(中野区/東中野駅)
最終更新日:2024/12/02
JR中央・総武線東中野駅より徒歩1分、モール3階にある「おおくら内科」は、働き盛りの若者から中高年、高齢者まで幅広い患者層に対応しているクリニック。大蔵隆一院長は大学病院に在籍中、当時はまだ新しいとされていたピロリ菌の検査・診断方法や小腸カプセル内視鏡の研究に努めてきた経験豊富な医師だ。院内の内視鏡室が勤務していた大学病院と同じ面積を有しているという点に、質の高い医療を提供したいという大蔵院長のこだわりが感じられる。クリニックでは「気軽に相談できるかかりつけ医」をめざし内科一般の患者を広く診療し、胃内視鏡検査のスペシャリストとしても苦痛の少ない検査と正確な診断を心がける。優しく穏やかな語り口が印象的な大蔵院長に、詳しく話を聞いた。
(再取材日2024年4月23日/情報更新日2024年11月29日)
内視鏡検査と技術を極めるべくクリニックを開業
先生はなぜ医師をめざされたのでしょうか?
実は私の父も、下町で内科のクリニックを開業していたのです。その姿を身近に見てきた影響ですね。「医者というのはなりたい人がなればいいのだ。なりたくないやつがなる必要はない」が口癖でしたが、そう言われると逆に挑戦したくなるものです。結果的に医師の道を選びました。父の後を継いだ弟も、きっと私と同様に刺激されたのではないかと思います。今思えば、知らず知らずのうちにうまく誘導されていたのかもしれませんね。
開業前は関東信越厚生局に勤務されていたそうですね。
はい、厚生労働省の外局である「厚生局」に所属していました。医療の現場とまったく違う世界に引き抜かれた形でしたので、驚くこともたくさんありましたね。しかしそれ以前は大学病院で長年胃内視鏡検査に携わってきましたので「再び自分の手で内視鏡検査をやりたい」という思いが日に日に強くなり、医師の仕事に戻る意味も込めて2013年の9月に開業しました。「つらくない検査」をモットーに研鑽を積んできた分野ですので、このクリニックで誰もが不安なく受けられる検査を提供していきたいと思っています。
こちらのクリニックでも胃内視鏡検査に力を入れているのですね。
開業の動機の1つが「どうしても胃内視鏡検査をやりたい」という点にありましたので、こだわりがありますね。従来の口からカメラを入れる方法と、どうしてもつらい、怖いという方のために鼻から入れる経鼻内視鏡も取り入れました。経鼻内視鏡が登場した当時は病院勤務時代だったのですが、実際に私も自分の鼻に入れてみてその検査のしやすさに感動しましたね。当院では8〜9割の患者さんが経鼻内視鏡を選んでいます。また、鼻からでも抵抗があるという方は静脈麻酔を施して眠っている間に検査を行うこともできますが、車や自転車でお越しの場合はお勧めしていません。内視鏡検査は設備だけでなく、医師の技量も検査のつらさに影響します。当院では、患者さんが抵抗なく検査を終えられるよう最大限に配慮していますが、もっと気軽に検査を受けていただくために、私も技術の研鑽に努めたいと思っています。
内視鏡検査は病気の早期発見・早期治療に役立つ
内視鏡検査の重要性はどのような点にあるのでしょうか。
胃内視鏡検査については、やはりピロリ菌と胃がんの早期発見です。今はピロリ菌が胃がんの原因の1つだと広く知られるようになりましたが、私が大学病院の内視鏡室長を務めていた当時は名前も検査法も、ましてやがんの原因になることもわかっていませんでした。また、ピロリ菌は高齢者の感染が多いといわれていますが、検査をしていると若年層の方にも感染者がいらっしゃいます。感染期が乳幼児の頃なので、胃の不調に気づかず過ごしている方が多いのですね。ですから30歳を目安に、一度はABC検診を受けて、結果によって胃内視鏡検査に移行するのがよいと思います。
大腸の検査についてはいかがでしょうか。
大腸は胃と違って、何が原因でがんになるかがあまりよくわかっていないのが怖いところですね。過去から積み上げてきた年齢別の発がん率からすると、40歳を区切りとして検査をしたほうがよいと感じます。特に女性は検査に抵抗を感じやすいため、進行がんになって初めて見つかるというケースが多いのです。大腸内視鏡においては、日本の技術はかなり進んでいるほうだと思います。そうした環境で、大腸がんに苦しむ人が増加の一途にあるというのはもったいないことです。ぜひ検査する機会をつくっていただければと思います。
先生はピロリ菌の除菌治療も長らく続けておられますね。
ピロリ菌の除菌はライフワークのようなもので、これまで多くの除菌を行ってきた実績がありますので、ぜひご相談いただければと思います。また、近年の傾向として、胃潰瘍や胃がんの患者さんが激減したように感じる代わりに、逆流性食道炎の患者さんが増えています。考えられる原因の一つには、肥満症との関連が挙げられます。新型コロナウイルス感染拡大をきっかけとした、食生活の乱れや運動習慣の減少などの可能性も考えられますね。内臓脂肪が増えると胃の周囲に脂肪がついて圧迫され、胃がせりあがって食道裂孔ヘルニアにかかりやすくなります。もしそうなった場合、胃の入り口が閉まりにくくなるため、胃酸が逆流してしまうことがあるのですね。また、肥満症は栄養状態が良すぎるために免疫の働きを暴走させ、花粉症やアレルギー症状を起こす一因になることもわかってきています。
「かかりつけ医」として地域医療に貢献
クリニックでは広く内科一般の診療も行われていますね。
消化器系以外ですと風邪の症状や生活習慣病、また各種検診などで来院される方が多いですね。診察の際には「上から下へ」の態度にならないよう、患者さんと向き合うことを心がけています。私は診察の際、インターホンで患者さんを呼び込むのではなく、自分で待合室と診察室の間の扉を開けて、患者さんの顔を見てお呼びするという習慣を大学病院の頃から続けているのですが、大学病院時代からの患者さんに「これは“大蔵スタイル”ですね」と言われたことがあります。診療の腕だけでなく、そうしたコミュニケーションや雰囲気の面からも、患者さんが通いやすくなるようにと思っています。
花粉症や生活習慣病に対してはどのような診療を心がけておられますか?
スギ花粉とダニのアレルギーに関しては舌下免疫療法を行っています。逆流性食道炎に関しても胃酸を抑制するための薬がありますし、肥満症や高血圧症、糖尿病の治療に役立つ薬がありますから、状態に応じてご紹介しています。多くの患者さんは「一度飲み始めたらやめられなくなってしまう」と思い込んでいるようですが、それは誤った認識です。薬はあくまでも、一線を越えて危険なレベルにある人が飲むべきものであり、そこから生活習慣を改めて、いかに薬から離脱していくかということが重要だと私は考えています。例えば一定の基準を越えていない肥満症の患者さんに私がよくお勧めしているのは、生活習慣を3ヵ月間見直して痩せる努力をすること。それでも数値が改善されない場合に投薬を検討し、治療の進み具合に応じて離脱の時期を検討します。むしろ「薬を飲んでいるから大丈夫」だと思って食べすぎてしまう患者さんのほうが問題だと言えるかもしれません。
通院にあたって、留意してほしいことなどはありますか?
風邪や急性の症状などで受診されて、1回目に試した治療で改善されなかったとき、通うのをやめてしまうのでなく続けて来院していただければと思います。仮に最初に使った薬が効かなかったとしても、効かなかったというその情報自体が生かされて、2回目に適切な治療方法が見つかることはよくあるものです。しっかり治すためにも、継続して通院してほしいと思います。
最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします。
心配でいらした方々が笑顔で帰ることができるよう、しっかりと事前説明をし、納得していただいてから治療に入ることを心がけています。どのようなことでも相談できる「かかりつけ医」と思って気軽にいらしてください。また、胃内視鏡検査をより多くの皆さんに受けていただけるよう、技術を研鑽していく所存です。ピロリ菌が直接がんに結びつくのではなく、ピロリ菌により慢性胃炎が引き起こされ、その慢性胃炎ががんのもとになると考えられます。特に慢性胃炎は、ピロリ菌がいなくなっても治療を終えるまで数年を要し、その間に胃がんになってしまう可能性があるので、除菌後も定期検診を受けるようにしましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とは内視鏡検査/胃:1万7600円、ピロリ菌検査/9000円~、ピロリ菌除菌処置/1万4000円~