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渡辺 敏樹 院長の独自取材記事

ワタナベ眼科

(多摩市/聖蹟桜ヶ丘駅)

最終更新日:2021/10/12

渡辺敏樹院長 ワタナベ眼科 main

「ワタナベ眼科」は、聖蹟桜ヶ丘駅の西口を出て左手にあるショッピングセンターの5階にあるクリニック。ドアを開けると、たっぷりとスペースをとった待合室が広がっている。院長の渡辺敏樹先生は、同院で幅広い症状の患者を診る一方、母校である杏林大学の医学部付属病院において、神経眼科という目の奥の診療に力を注いできたドクター。かつて自身が病気になった経験から、患者の不安を払拭するため対話とわかりやすい説明を大切にしているという。「話は上手じゃないけど、丁寧に気持ちを込めて伝えることが大事だと思っています」という言葉に、渡辺先生の誠実な人柄を感じた。インタビューでは、専門分野である神経眼科のことや診療に対する思い、今後の展望などを聞いた。

(取材日2016年2月22日)

地域の目のかかりつけ医として、気持ちを込めた診療を

来院する患者さんは、どのような症状が多いですか?

渡辺敏樹院長 ワタナベ眼科1

ドライアイ、弱視、緑内障、白内障、糖尿病などで目に異常がある方から、定期検診を受けに来る方までさまざまです。特に緑内障は、自覚症状がないまま過ごしている方が本当に多いですね。初期段階では視野検査をしても気づかず、症状が中期に進んでからわかることが多いのです。しかも、他の症状で受診した時に、緑内障と診断されるケースは少なくありません。緑内障は、日本における失明原因の第1位であり、患者数は40歳以上の20人に1人の割合であることがわかっています。症状が進んでしまうと治療が難しくなるので、早期発見・早期治療がとても大切です。ただし、患者さんにしてみれば、自覚症状もないのに「詳しく検査しましょう」といわれても、受け入れられないこともあるでしょう。そこが難しいところです。

そんな時はどうするのですか?

様子を見ながら時間をかけて説明することになるでしょう。私の考えを押し付けることはしたくないですが、言わなくてはいけないこともある。地域の皆さんの健康を守る立場としては、伝える必要があると思っています。ですから、日頃から患者さんとのコミュニケーションは大切にしたいですね。私は、話すことはそんなに得意ではないんです。だけど、丁寧にというか、気持ちを込めて話すことが大事なんじゃないかと思っています。流ちょうな話し方ではないかもしれないけど、誠意を持って話をすれば伝わるのではないかと。いつもそんな気持ちで診療しています。

これまでで、印象に残っている患者さんを挙げるとしたら?

渡辺敏樹院長 ワタナベ眼科2

側頭動脈炎といって、血管の中で炎症が起きるという珍しい病気の患者さんがいました。その患者さんは、一時的に目が見えなくなる発作を何回か起こしていたそうです。発作の症状から考えると、まずは脳梗塞の前兆を疑いますので、脳神経外科で検査を行いましたが、特に問題はなかった。それなのに発作は治らず、そのうちに片目が見えなくなって、当院を受診したのです。その際に詳しくお話を聞き検査をしたところ、側頭動脈炎の疑いがあったため大学で診ることにしました。するとやはり、目の奥の血管に炎症があったのです。そこで炎症を抑える薬を投与して、もう片方の目に関しては、失明を防ぐことができました。放っておいたら、数日間でもう片方の目も見えなくなっていたでしょう。非常に珍しい症例であるがゆえに、より一層気を引き締めて診療にあたらないといけないと強く感じました。

身近な症状から目の奥の病気まで、幅広く対応

渡辺先生は、眼科の中でも神経眼科が専門と聞きました。

渡辺敏樹院長 ワタナベ眼科3

はい。開業前は母校の杏林大学の医学部付属病院で、神経眼科の分野を中心に診てきました。神経眼科というのは、目と脳をつないでいる部分、つまり視神経や眼球運動を制御している神経などを扱う分野です。外側からは見えない部分なので、診断にはMRIをはじめ高度な機器を必要とします。そのため、当院では緑内障や白内障など一般眼科の診療を中心に行っていて、神経眼科の病気が疑われる場合には、杏林大学医学部付属病院と連携して治療を行うこともあります。現在も週に1回、大学で神経眼科の外来を担当しています。

神経眼科を専門にしようと思った理由は?

医師になった当初は、網膜剥離などの網膜硝子体の手術に実績がある教授のもとで学んでいました。しかし3年を過ぎた頃、私自身が病気になったのです。病気は克服しましたが、体力的な負担を考慮して神経眼科に移ることにしたのです。神経眼科は眼科の中でもマニアックな分野といえるでしょう。眼科の知識だけではなく、脳神経外科の知識や、MRIの画像を診断する力も必要になってくるので、いろいろ勉強しましたね。患者の症状に対して簡単に答えを出せませんから、順番に検査をし、よく考えて、パズルをつなぎ合わせるように診断をしていきます。そこにやりがいを感じました。しかし、目の奥の病気は難しい病気が多く、診断がついても治せないケースがあったり、眼科でなく脳神経外科の治療が必要になったりするため、この分野を専門にする眼科医は少ないのが現状です。だからこそ、こういう医師がいてもいいんじゃないかと思いました。

日々の診療において、どのようなことを重視していますか?

渡辺敏樹院長 ワタナベ眼科4

医療事故や投薬ミスを絶対に起こさないように、とにかく安全第一を徹底しています。医師が安全に注意することは、患者さんにとっても安全ということ。薬の副作用のチェックなども入念に行います。そして、治療において無理をしないこと。科学的に認められた治療を中心に、安全な治療をするというのが私の方針です。また、当院では手術を行いませんので、その分、患者さんの話を聞くことに重点を置いています。特に神経眼科では、一般的な眼科検査では異常がない患者さんに対し、問診を通じて原因を丁寧に探っていく必要があります。もちろん、すぐに診断がつく病気もありますが、基本的には、どのような症状の患者さんに対しても、じっくり話を聞くというスタンスでいます。

定期的な検診が大切。気軽に相談を

医師として、これまでに影響を受けた方はいらっしゃいますか?

渡辺敏樹院長 ワタナベ眼科5

大学の神経眼科で師事していた先生には、多大な影響を受けていると思います。医師として多くのことを学んだことはもちろんですが、先生は勉強一辺倒ではなくて、趣味なども大事にするところがあって、人生を充実させているなあと感じていました。私はというと、今はまだ40代なので仕事にまい進している感じですが、昔病気になったこともあり、健康には注意していますね。健康オタクといってもいいかもしれない。水泳やウォーキングは欠かせませんし、食生活にも気を配っています。お昼ごはんは妻がつくってくれたお弁当を食べているんですよ。通勤用のバッグに入るスリムなお弁当箱にしてもらって、量は少なめに、よく噛んで食べるようにしています。

自分が患者になったという経験から、考え方などが変わったところもありますか?

変わりましたね。病気になると、やはり不安ですから。まず、わからないことが不安ですよね。医師から説明を受けても言葉の意味がわからない。自分は医師ですが、専門以外の分野となれば、わからないこともあります。医師である自分さえこうなのだから、一般の患者さんはもっとわからないでしょう。ですから、診療では説明をより丁寧に行うようになりました。治療が始まる前に一度だけ説明するのではなく、治療を開始してからも、その都度説明が必要だと思っています。症状によって治療の内容も変わっていきますし、特に慢性疾患の場合、時間がたてば忘れてしまうこともありますから。もちろん、患者さんの状況やご希望にもよりますが、継続的に説明をすることの重要性は感じています。

最後に、今後の展望についてお聞きします。

渡辺敏樹院長 ワタナベ眼科6

認知症の方や高齢者の在宅医療については真剣に考えていきたいと思っています。ずっと通ってくださっていた患者さんが、高齢のため外出できなくなった、ということも実際にありますから。地域の医師会の活動で知り合った、他の科の先生ともよくそんな話をしています。また、これはすべての患者さんに対してですが、少しでも目に不安があれば、気軽に受診していただきたいと思っています。診療の中でいろんな話ができると思いますし、当院ですべてを診られない場合でも、しかるべき病院を紹介できます。検査では異常が見られなかったけれども、目に何らかの症状が残っているような場合にも、ご相談していただけたらと思います。一般的な検査ではわからなくても、目の奥に問題があるかもしれません。まずは1年に1回、検診を受けることをお勧めします。

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