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アトピー性皮膚炎の治療の要は
クリニック選びと早めの相談

岡村皮フ科医院

(小金井市/東小金井駅)

最終更新日:2024/07/10

岡村皮フ科医院 アトピー性皮膚炎の治療の要は クリニック選びと早めの相談 岡村皮フ科医院 アトピー性皮膚炎の治療の要は クリニック選びと早めの相談
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小さな子どもに罹患者が多いといわれる「アトピー性皮膚炎」。軽くなったと思っても、すぐにぶり返すやっかいな病気で、多くの親たちを悩ませている皮膚疾患の一つだ。適切な治療を受けながら年齢とともに症状が軽快へと向かう患者もいる一方、治療の成果が見込めずに悪化するケースもある。幼少期の治療がその後の症状を左右することもあるため、信頼できる医師を見つけることが治療の第一歩だともいえるだろう。最近の研究によって、だんだんとわかってきたというアトピー性皮膚炎の原因や、次々と開発されている新たな治療について、日本専門医機構皮膚科専門医である「岡村皮フ科医院」の岡村理栄子先生に聞いた。

(取材日2024年3月27日)

次々と開発される「アトピー性皮膚炎」の薬。早い段階で治療を始めて、子どもたちに楽しい毎日を

Qアトピー性皮膚炎の原因は何でしょうか?
A
岡村皮フ科医院 日本専門医機構皮膚科専門医の資格を持つ岡村院長が診療にあたる

▲日本専門医機構皮膚科専門医の資格を持つ岡村院長が診療にあたる

アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患の一つで、さまざまな他のアレルギー疾患と合併し、喘息や食物アレルギー、アレルゲンとなる物質を食べた後に運動すると、運動誘発性じんましんなどの症状が出やすいとされています。最近では、食物アレルギーなどのアレルギー疾患における「感作」、つまり特定のアレルゲンに対する過剰な免疫ができるのは、皮膚からアレルゲンが入った際だという説が有力です。食物が口の周りなどに付着しているとその口周りの皮膚からアレルゲンが入るので、バリア機能の弱い小さな子どもはアレルギー疾患になりやすい。だからスキンケアが重要とされています。

Qなぜ、皮膚のバリア機能は低下してしまうのですか?
A
岡村皮フ科医院 アトピー性皮膚炎の治療では、日常生活のケアが大切

▲アトピー性皮膚炎の治療では、日常生活のケアが大切

今、研究により関連が指摘されている要因が2つあり、1つは環境変化による腸内細菌叢の乱れ、もう一つは皮膚表面の細菌感染です。つまり、子どもたちの生活環境やストレスが大きく関係するため、アトピー性皮膚炎の治療では、親御さんによる日常生活のケアも大事になります。例えば、冬なのにあせもがたくさんできている子は、朝起きた時に、天候によって着るものを調節してあげなければなりません。しかし経験的にそれが難しい親御さんも多いでしょう。また食物が口の周りについていたら、拭いてあげることも大切。ご高齢の方はアトピー性皮膚炎と聞くとおじけづいてしまいますが、昔から伝わっている生活の知恵が生きてくることが多いのです。

Q正しいスキンケアの方法や薬の使い方について教えてください。
A
岡村皮フ科医院 アトピー性皮膚炎の治療に用いる注射薬と保湿剤

▲アトピー性皮膚炎の治療に用いる注射薬と保湿剤

最も大切なのは、皮膚を清潔にして乾燥を防ぐことです。例えば、大人が使うようなナイロンタオルは皮膚の角質が取れてしまいやすいので要注意。親御さんの手で子どもを洗ってあげるのは良いことですが、手荒れをしていたら子どもの肌を傷つけてしまいます。やわらかい木綿のタオルが良いですね。4~5歳まで注意すれば、皮膚が厚くなってアレルゲンは入りにくくなります。皮膚が乾燥していたら保湿剤を、炎症があればステロイドを塗るのが基本です。症状だけでなく、季節や年齢によっても塗り方が違いますので、医師の指示を守ってくださいね。ただ、生活は多様化しており、私自身も患者さんごとに合った治療を行うように心がけています。

Qアトピー性皮膚炎は完治する病気ですか?
A
岡村皮フ科医院 「かゆみを伴う湿疹ができたら皮膚科の受診を」と岡村院長

▲「かゆみを伴う湿疹ができたら皮膚科の受診を」と岡村院長

アトピー性皮膚炎は良くなったり、悪くなったりを繰り返す病気。適切な治療を受けながら年齢とともに症状が軽快へと向かう方もいる一方、治療の成果が見込めずに悪化する方もいるんです。幼少期にどのような治療を受けるかが大きく関わってきますから、長く任せられる医師を見つけて、気長に病気と付き合っていくことが大切なんですね。近年、子どものアトピー性皮膚炎の治療薬が次々と開発されています。2023年には、皮膚炎を起こす前の段階で抑える目的の生物学的製剤の注射薬が、15歳未満の方にも使えるようになりました。子どもにかゆみを伴う湿疹ができたら決して放置せず、信頼できる医師に相談してください。

Q化粧の低年齢化もアレルギー疾患が増加する一因でしょうか?
A
岡村皮フ科医院 金属アレルギーからアトピー性皮膚炎になることもあるという

▲金属アレルギーからアトピー性皮膚炎になることもあるという

今は早ければ小学生でビューラーも使えば、化粧もしますので、金属アレルギーを起因としてアトピー性皮膚炎になる子は少なくありません。アトピー性皮膚炎にはIgE抗体値の高いタイプと低いタイプがあり、後者はほとんどが金属アレルギーで若い女性に多いです。安価な化粧品には微量の金属が含まれる場合が多いですね。そもそも子どもは大人より皮膚が薄いので、かぶれたりアレルギー症状が出たりしやすいのです。頭ごなしに「化粧は駄目」と言っても反発するでしょうから、その理由をきちんと説明してあげてください。ビューラーもプラスチック製なら金属アレルギーは避けられるでしょう。化粧品は見本品でテスト後に買うようにしてください。

ドクターからのメッセージ

岡村 理栄子院長

アトピー性皮膚炎の治療はスキンケアと日常生活の注意が必要です。当院では血液検査だけでなくスクラッチテストも併用し、早めの検査でアレルギーの原因を突き止めることをお勧めしてます。原因物質がわかれば、それを避けて生活することも可能になります。生物学的製剤の注射薬が15歳未満の方にも使えるようになり、子どもたちとご家族にうれしいニュースではないでしょうか。症状の軽減がめざせれば、家族で旅行に行ったり、海で遊んだりしやすくなるでしょう。また、現在良い状態でいるということが、将来の皮膚の状態を良くすることにつながります。子どもたちが症状を気にせず楽しい毎日を過ごせるように、早めに治療に取り組みましょう。

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