高野 範之 院長の独自取材記事
高野外科胃腸科
(小平市/小川駅)
最終更新日:2023/12/06
1988年に開業した「高野外科胃腸科」は、閑静な住宅街にある。父の代から、何世代にもわたり地域住民の健康を支え続けてきた同院を、2代目院長として2022年に引き継いだのが高野範之先生だ。「医学のほかにも見識を深めたい」と、医学部へ入学する前に理工学部を卒業した異色の経歴を持つ高野院長。内視鏡検査を中心とする消化器系のスペシャリストでありながら、専門分野にとらわれず、「どのような症状でも診る」というポリシーを掲げる、患者にとって心強い存在だ。同院は、内科・外科・胃腸科・肛門科を診療し、新型の内視鏡やデジタルエックス線装置を導入して、重大な病気の早期発見に尽力している。「家族のように患者さんに接したい」と優しさをにじませる高野院長が、診療のモットーやクリニックの特徴について熱く語ってくれた。
(取材日2023年7月11日)
理工学部から医学部へ。多角的な視点を診療に役立てる
クリニックでは、どのような診療を扱っているのですか?
内科・外科・胃腸科・肛門科を診療しています。内科と胃腸科の患者さんが中心ですね。内科は、高血圧、高脂血症、糖尿病をはじめとする生活習慣病のほか、風邪、鼻炎、喘息など、あらゆる症状を診ています。外科は、学校や職場でのケガや体の痛みなど。胃腸科は、便秘、下痢、吐き気、腹痛、血便、食欲不振などの症状が多い印象です。また、肛門科は、痔や便通異常などがあげられます。当院は、1988年に消化器外科の医師である父が開院しました。35年の年月がたち、何世代にもわたって家族ぐるみで来院される患者さんがたくさんいらっしゃいます。そのほか、埼玉県、神奈川県、山梨県といった遠方へ引っ越した方や、海外赴任中に一次帰国したタイミングで通ってくださる方もいるんですよ。
先生は、医学部へ入学される前に、理工学部を卒業されているのですね。
1996年3月に慶応義塾大学理工学部を卒業後、1997年4月に昭和大学医学部へ入学。2003年3月に医学部を卒業しています。高校3年生で進路を考えていた時は、すでに医師になる道を視野に入れていました。父や担任の先生に相談すると、アメリカでは医師になるために、メディカルスクールに入って一般教養や理系などのプログラムを学び、医学だけでなく広い教養を身につけるシステムが整っていることを知りました。また、1987年に、マサチューセッツ工科大学教授の利根川進さんがノーベル生理学・医学賞を受賞し、「医師でなくても医学に貢献できるんだ」と感銘を受けたことも理由の一つです。それらのことがきっかけとなり、まず理工学部で学び、見識を深める決断をしました。患者さんの症状に対する原因を丁寧にひもといて、メカニズムを分析するといった理工学的な視点は、診療に大いに役立っていると感じます。
昭和大学医学部を卒業したあとの経歴について、教えてください。
東京大学医学部附属病院の内科に研修医として1年間、国立病院機構災害医療センターに2年間勤務。その後、2006年から、東京大学大学院で内視鏡の臨床や研究を重ねながら、当院で非常勤の医師として働き始めました。昨年、父から院長を引き継ぎ、父は名誉院長として私の診療をフォローしてくれています。そもそも私が医師をめざしたのは、父を尊敬していたからです。父は、休日でも「急な体調不良で診てもらえませんか」と来た患者さんを快く招き入れていました。「誰も断らない」「患者さんには何かあったら来てほしい」という父の姿を間近で見ながら、「医師になりたい」という気持ちがより強くなりました。地域の患者さんからも、「体調が悪くなったらとりあえずここに行けば大丈夫」と思われているようです。父が培ってきた精神が、地元の患者さんからの信頼につながっているんでしょうね。その信頼を大切にしながら、日々患者さんと向き合っています。
内視鏡を専門とする傍ら、幅広い症状にも対応
先生は、数多くの専門医資格をお持ちですね。
日本内科学会の総合内科専門医、日本消化器内視鏡学会の消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会の消化器病専門医、日本肝臓学会の肝臓専門医という4つの資格を取得しています。地域の皆さんに幅広い医療を提供するとともに、父のように、どのような症状にも対応したいと思ったからです。内科だけでなく、消化器の病気も満遍なく診られることが当院の特徴であり、強みとなっています。消化器は、食べ物の通り道である口から、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門、肝臓、胆嚢、膵臓まで多岐にわたります。その上、外科や肛門科もあるので、たいていの症状には対応できます。「なんとなく気分が悪い」「最近なぜかおなかが痛い」など、体調面で不安があればお気軽にご来院していただけたらと思います。
幅広い症状を検査・診断するために、設備も充実しています。
上部消化管内視鏡である胃カメラと、下部消化管内視鏡である大腸カメラを装備し、胃がんや大腸がんなどの早期発見に取り組んでいます。胃カメラでは、胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、ポリープの有無などを、大腸カメラでは、大腸がん、直腸がん、ポリープ、大腸炎、クローン病の有無などを調べることができます。そのほか、胆がん、膵臓がん、腎がん、胆石、胆嚢ポリープの有無などがわかる腹部超音波検査装置、骨折の診断や骨密度の測定などに役立つデジタルエックス線カメラ、エックス線透視撮影装置がそろっています。胃カメラと腹部超音検査装置があれば、たいていの消化器疾患の診療ができます。さらに、デジタルエックス線カメラやエックス線透視撮影装置で診断の精度を上げることが可能です。
先生の専門とされる内視鏡に対しては、「苦しそう」「怖い」という方がいると思いますが……。
苦手意識が強い方はいらっしゃいますね。そのハードルを下げることを一番に考えて、検査の際は鎮静剤を使用しています。副作用に配慮して、意識を完全になくすものではなく、ウトウトした中で苦しさだけを軽減させることをめざしています。ただし、内視鏡検査による苦痛は、医師の手技による影響も少なくありません。私は、東京大学大学院で消化管グループに所属し、胃カメラ、大腸カメラ、小腸のカプセル内視鏡やバルーン内視鏡などを用いた小腸疾患の臨床と研究に携わりました。内視鏡による検査と治療の技術を身につけ、技術と診断には自信があります。内視鏡を用いたレベルの高い消化器内科診療を提供しているので、安心して検査に臨んでいただけたらと思います。
家族と接するように親しみを込めて患者と向き合う
クリニックでは地域病院との連携体制を築いていますね。
公立昭和病院、国立病院機構災害医療センターをはじめ、6施設と連携しています。当院が入り口となり、さらなる検査が必要と判断した患者さんには、MRIやCTなどの設備のある地域病院へ速やかにご紹介し、精密検査や治療を受けられるように手配いたします。連携している病院には、かつて私がお世話になった教授も数多くいらっしゃるので、直接入院のお願いをしたり、患者さんの様子を伝えたりして、やりとりが密にできることも特徴となっています。患者さんの治療が終わったら当院でまた診察にあたるなど、地域病院との協力で患者さんを診ていく体制が整っています。
診療でのモットーを教えてください。
「目の前で困っている方が自分の親だったら?」という視点を持ち、家族と同じように、親しみを込めて患者さんに接するということです。この精神は尊敬する先輩医師から教えていただき、ずっと心に残っています。そのため、患者さんと向き合うときは、専門用語などを使わず、わかりやすい言葉で説明することを心がけています。また、患者さんとコミュニケーションを取ることを大切にして、ただ薬を渡して終わりではなく、なぜ症状が現われたのか原因を探り、同じことを繰り返さないようにするためのアドバイスも含めた丁寧な診療を行っています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
新型コロナウイルス感染症が流行して以来、健康診断を控える方が増化し、重大な病気の早期発見の遅れが目立つようになっています。まずは、年1回は自治体の健康診断を受けましょう。近年、日本人に増えてきているのが大腸がんです。大腸がんの便潜血検査で陽性が出ても、内視鏡検査を受けない方がいらっしゃいます。大きい病院まで行かなくても、当院では内視鏡の検査や、大腸がんの初期なら検査中に切除をすることも可能です。そのほか、困った症状があれば何でもご相談を。専門知識と経験豊富な医師が、充実した設備でお待ちしています。