嶺崎 輝海 院長の独自取材記事
みねざき眼科
(国立市/国立駅)
最終更新日:2024/06/20
国立駅南口から「富士見通り」を歩いて約15分の場所にある「みねざき眼科」。住宅街によくなじむこのクリニックは32年前の開業以来、「街のかかりつけ医」として住民の目の健康を支えてきた。2023年4月から院長に就いた嶺崎輝海先生は、「地域に密着しながら、専門的な治療にも取り組んでいきたい」と意欲を見せる。大学病院に勤務していた12年間で角膜やまぶた、涙道に関する手術を数多く経験してきた豊かな実績を持つ。初代院長の母・嶺崎育世先生の代から育んできた患者との信頼関係を大切に守りながら、より幅広い疾患に対応するべく手術室を新設した。2代目院長としての意気込みや眼科医としての思い、そして今後の展望についてたっぷり語ってもらった。
(取材日2023年6月22日)
地域密着の診療スタイルに自身の専門領域を取り入れる
医師をめざした理由と、後を継ぐことになった経緯を教えてください。
医師を志した理由としては、家族の影響が大きかったです。眼科医の母が1991年にこのクリニックを開業し、父は脳外科医でした。親戚にも医師が多く、この職業を身近に感じていました。高校時代から8年間、クリニックの隣にあった祖母の家で暮らしていたのですが、「街のお医者さん」として地域の人に慕われている母の姿を見て「素晴らしい仕事だな」と思っていました。それで、医療を学ぼうと東京医科大学に進学したのですが、当初は眼科医にはまったく興味がなくて、血管外科の道に進もうかと思っていました。でも、3つ上の兄が内科医になると言った時に、「それじゃあ僕が継がないといけないな」と思って、それから眼科を本格的に学び始めたんです。その後大学病院などで勤務しましたが、いつかは後を継ごうと決めていました。2021年から週に1回程度は診察に来るようになり、2023年4月、正式に院長に就任した次第です。
診察内容についてお聞かせください。
一般眼科診療に対応しています。住宅街の中にあり学校も多い地域なので、小学生から高齢者まで、幅広い年代の方が来てくださっています。視力や、コンタクトレンズの相談で来てくださる方もいますよ。「なんとなく目の調子が悪い」といったご相談にも、丁寧に聞き取って診療するようにしています。長くお付き合いいただいている方も多く、初代院長の母がいなくてガッカリする患者さんもいらっしゃいますね。母は院長を退きましたが、週に1回程度は診察に入ってくれています。母が地域密着型だったので、僕もそのスタイルを守っていければと思っています。ただ、大学病院に計12年間勤めたため、僕は自分の専門領域を持っています。その知識や技術を生かした治療には挑戦していきたいですね。
先生の専門領域とは何でしょうか?
まずは角膜です。そこから派生して涙道や眼瞼、白内障など眼球の前部分にあたる前眼部を専門としています。2011年から12年間勤めた東京医科大学病院では、診察とオペの毎日でした。角膜を専門的に扱う医者が少ないため、重症患者への対応は多かったです。失明につながるようなケースを月に1、2件扱っていたので、緊張感があり大変でした。転んだ時に目をぶつけ、角膜裂傷になってしまった2歳の子どものことはよく覚えています。自分の娘の誕生日でしたが緊急手術をすることになり、慌てて駆けつけました。この分野は、術後の管理も大切です。角膜を移植すると拒絶反応が起きることもありますし、時間がたって濁ってくると再手術が必要な場合もあります。経過を見るために患者さんには必ず通院をお願いしていて、今でもたまに大学病院へ診察に行っています。オペして終わり、ではないんです。
丁寧な対応で疾患を見逃さない
眼科医としてのやりがいは、どのようなところに感じていますか。
疾患が日常生活に直結しているので、治療はとても重要だと思っています。痛みや涙目など、不調の原因を取り除くことができれば、一気に楽になり、生活がしやすくなるでしょう。治療後、患者さんにとても喜んでいただけている姿を見ることができたら、やりがいを感じますね。本人が自覚していないケースも多々あります。例えば、角膜の疾患の場合は、コンタクトの調子が悪いだとか目に痛みを感じるとかで感染症が見つかることもあります。「見えづらい」と訴える方や肩凝りに悩んでいる方は、まぶたが下がり気味であることが原因の時もあります。そうした場合は手術で治すことをめざす方法があると提示して、希望があれば処置します。患者さんの「見ること」を預かる仕事なので責任の重さを感じますが、その分やって良かった、という充実感も感じられます。
診察の時に心がけていることはありますか。
疾患を見逃さないように気をつけて、適切な治療方針を立てるように意識しています。また、上から目線だと受け取られないように、説明の時には極力難しい言葉を使わないようにもしています。患者さんが怖がらず、安心して治療が受けられるような環境づくりも大切ですね。地域密着でやってきた母は「患者さんを大切にしなさい」「丁寧に接しなさい」とたくさんのアドバイスをくれます。重篤なケースが多かった大学病院時代と比較すると、さまざまな症状があるたくさんの方にご来院いただいていますが、それぞれ丁寧に対応するよう心がけています。また、当院は予約制を取っていないため、診察時間内に来ていただいた方は全員を診ています。患者さんだけでなく、従業員やクリニック全体のことを考える院長の仕事は大変ですが、非常にやりがいを感じています。
学校医もされているそうですね。子どもの目の健康についてはどのように考えていらっしゃいますか。
母の時代から学校医を担っていて、現在も2校で、年に1回の視力検査を担当しています。よく言われることですが、子どもの近視の割合が増えていて、心配されている親御さんも多くいらっしゃいますね。なので、予防法について最新の知見をお伝えするようにしています。例えば、日光を浴びることで近視を抑制し得ることが近年、明らかになっています。1日に2時間以上、太陽の光に当たるように助言しています。また、近距離で何かを見続ける作業も目に良くないですね。スマートフォンの利用方法については常々気をつけるよう伝えています。
手術室を新設しクリニックでも目の手術を行えるように
お忙しい毎日かと思います。リフレッシュ法を教えてください。
勤務医時代と比べて、時間は取りやすくなりました。以前は緊急で呼び出されることもありましたが、今はオンとオフの切り替えをしっかりしています。小学生の娘が1人いて一緒に遊びに行くことが多いんです。僕の仕事についても理解しているので、目を見せてきたり、質問されたりもしますよ。ペットとして飼っている猫も癒やしですね。仕事終わりに、娘や猫と一緒に過ごしながら、お酒を飲む時間が好きですね。院長になって考えることも増え大変な毎日ですが、プライベートは充実しています。
院長として今後、取り組んでいきたいことは?
2023年の夏明けに手術室が完成し、年末年始にかけて本格的に院内での手術が始動しました。今は大体1日1件ぺースで、白内障や涙道の手術、角膜に付随する治療などに対応できるようにしています。もともと病院時代に手術をたくさん経験してきましたし、いずれは当院内で手術ができるようにしていきたいと考えていたんです。これまで手術が必要な場合には他の病院を紹介していたのですが、僕の専門的な知見や技術を生かして、責任をもって対応していきたいと思っています。術後の管理もできるので、患者さんにも安心していただければと思っています。ありがたいことに「手術もここでお願いしたい」と言ってくれている患者さんもいますし、患者さん同士の紹介でつながるご縁もありますね。いきなり手術というわけでなく、手術が必要な場合かどうかは判断しますので、もし目の健康で何か不安ある場合は、どんな些細なことでも相談していただけたらと思います。
最後に、どんな医師をめざしていきたいか教えてください。
母が大切に30年以上続けてきたクリニックです。これまでずっと来てくれていた患者さんに今後も安心して通っていただけるようにしたいです。さらに、近隣にお住まいで初めて当院を利用される方についても、当院で治療できるものはちゃんと治療して、当院では適切な対処ができないものであれば、信頼できる病院などへおつなぎしたいと思っています。手術室も整えて、さらに幅広く対応していくつもりです。目の健康を通して、地域に貢献していきたいですね。