伊藤 哲志 院長の独自取材記事
伊藤クリニック
(足立区/梅島駅)
最終更新日:2024/04/15
東武伊勢崎線の梅島駅から徒歩3分、足立区梅田の交差点近くにある「伊藤クリニック」。ワンフロア全体が同クリニックのスペースという広々とした院内で、地域のかかりつけ医として幅広い診療を行っている。伊藤哲志院長は、東京慈恵会医科大学附属病院やその関連病院で研鑽を積んできた日本循環器学会循環器専門医。内科や循環器内科、皮膚科、アレルギー科、消化器内科の診療から、呼吸器分野や生活習慣病、睡眠時無呼吸症候群の治療、インフルエンザ・帯状疱疹・肺炎球菌などのワクチン接種まで、患者のさまざまなニーズに対応している。明るく穏やかな人柄が魅力的な伊藤院長に、同院の診療についてたっぷり話を聞いた。
(取材日2024年2月28日)
感染予防対策を徹底した院内。早期発見のために受診を
院内の広さと空気清浄機の数に驚かされました。
このフロアはもともと2つに区切られていましたが、ビルのオーナーさんに交渉して壁を取り払いました。患者さんに安心してゆっくりと過ごしていただきたいなと。内装はやわらかく温かい薄ピンクやクリーム色に仕上げ、患者さんの緊張を少しでも和らげるように配慮しています。診療室は2室用意し、第2診察室では主に喘息の発作など緊急の患者さんに対応しています。以前、理学療法室として使用していた部屋は、今は隔離室です。点滴用の個室や検査後に休憩できるリカバリー室なども用意しました。採血や各種検査、ワクチン接種が行われる処置室もスペースが広く、ベッド3台を完備しています。空気清浄機は随所に10台以上設置し、最近さらに増台しました。機種によって機能が異なることもあるので、多様なメーカーのものをそろえ、クリーンな環境の維持に努めています。
感染予防対策を徹底しているのですね。
自動消毒機器を設置し、受付では必ず非接触型検温をしています。また、診察室のドアの開け閉めは看護師が行い、患者さんがなるべくあちこち触らなくていいように工夫しています。もちろん患者さんごとに診察室の椅子やベッドなども消毒しています。患者さんの中には、今はあまり病院には行きたくないと思っている人も多いでしょう。定期的な検査や人間ドックを控える方も多く、とても危惧しています。例えば、検査を控えている間に、本来なら早期で発見できたであろうがんが進行してしまうことも考えられます。何の病気であっても、早期発見・早期治療が大切です。早い段階でわかれば、適切な治療につなげられます。当院では徹底した感染予防策を講じていますので、ぜひ安心していただきたいですね。
先生の診療のモットーを教えてください。
出身大学の建学の精神である「病気を診ずして病人を診よ」を大切にしています。診察室に入って来られた時の目つきや顔つきで、その人のわずかな変化を見逃さないようにしています。それから「何かありましたか?」と声をかけることで、症状について話しやすいよう促し、その訴えに耳を傾ける。そして一人ひとりに合った治療を提案するというのが私のテーマです。気ぜわしい雰囲気のまま診ても気持ちは通いませんし、正しい診断はつきませんので、ゆっくり落ち着いて話しかけるようにしています。
ホルター心電図検査をはじめ、充実を図った検査体制
患者層や主な症状について教えてください。
お年寄りに加え、小さな子どもたちや若い夫婦の患者さんも増えてきました。多い症状としては、風邪や熱、おなかの症状などですね。風邪や熱症状のある方は、事前に電話してもらい一般診療とは別の時間に診察したり、来院して発熱があったらすぐに隔離室で待ってもらったりしています。春先は花粉症を訴える方も多いです。花粉症の治療では、その方のライフスタイルや仕事内容に応じて適切な投薬を行います。また、最近では消毒液による手荒れで困っている人や、年齢を問わず、予防接種を希望される人が増えました。今はインターネットで簡単に調べられますので、患者さんから「ホルター心電図検査をしてください」などと言われることもあります。
こちらでは、いろいろな検査が受けられるそうですね。
私の専門である心臓疾患の早期発見には、特に力を入れています。全身に血液を巡らせるポンプである心臓の故障は、即時に命に関わります。そのため、早期発見と治療が重要です。当院では一般的な心電図検査をはじめ、24時間連続して記録できるホルター心電図検査、自転車型の装置でペダルをこいで運動時の心電図を測るエルゴメーター検査、心エコー、動脈硬化検査などに対応しています。また、睡眠時無呼吸症候群の検査や治療にも熱心に取り組んできました。就寝時に指と鼻にセンサーを着けるだけの簡易検査を導入し、必要に応じてマウスピースを用いた治療に加え、重症の場合は睡眠中の無呼吸を防止するためのCPAP療法を行います。ほかにも、骨密度検査やピロリ菌検査などにも対応しています。
心臓疾患について、詳しくお聞かせください。
動脈硬化による狭心症や心筋梗塞のほか、動悸や息切れを起こしやすい不整脈は心不全へと悪化したり、生活の質低下につながったりするため、注意が必要です。不整脈とは脈が速く、またはゆっくりと、あるいは不規則になる状態です。一般的に加齢で頻度は高くなりますが、疲労やストレス、カフェインの過剰摂取も原因となるため、働き世代にも関係のないものではありません。高血圧も原因になり得ます。動悸や息苦しさ、めまい、立ちくらみ、失神などが気になる方は、精密検査をお勧めします。検査の結果、心臓に問題があった場合は一般的に投薬治療となります。血管の中にカテーテルを通して、不整脈の原因となっている部位を焼灼するカテーテル治療や、ペースメーカーなどの機器を体内に埋め込むデバイス治療が必要な場合、大学病院や総合病院をご紹介します。当院では治療後のフォローアップも行い、患者さんの健康を継続的にサポートしていく方針です。
どんなことでも気軽に相談できる地域のかかりつけ医に
先生が循環器内科の医師をめざした理由は何でしょう?
私は実家の隣で整形外科を開業していた父の姿を見て育ちました。患者さんは近所のお年寄りが多く、一人ひとりに優しく接していた姿が目に浮かびます。小学生の頃「将来は医師になる」と作文に書いていたそうです。私が進学した東京慈恵会医科大学では、当時すべての科を回るプログラムがあり、各科の症例にふれましたが、最終的に外科系を志望しました。その矢先、家族の一人が心臓の痛みに襲われたのです。幸い大事には至らなかったのですが、改めて循環器の重要性を知りました。兄も伯父も整形外科の医師で、身内に内科の医師がいなかったので、自分だけでもその道に進もうと循環器内科を専門にしたのです。同大学附属柏病院や、静岡にある社会保険桜ヶ丘病院(現・独立行政法人地域医療機能推進機構桜ヶ丘病院)で心臓だけでなく血液疾患、肝臓病、消化器疾患、睡眠時無呼吸症候群、ペースメーカー手術などについて学びました。
医師として強く印象に残っている出来事はありますか?
以前、呼吸が苦しいという女性の方が来院されました。適切な対応を行い、速やかに提携先の大きな病院にご紹介しました。約2ヵ月後、突然その女性が来院されて、実は今まで入院していてようやく退院したのだと話されたのです。医師として、適切な治療につなぐことができたのだと、本当にうれしかったですね。その日は折しもバレンタインデー。その女性の患者さんがチョコレートを持ってきてくださったのです。もちろん妻からもらうチョコが一番ですが、あの時の味は忘れられないですね。
ところで、プライベートはどのようにお過ごしですか。
ゴルフが好きで、今度ひさしぶりに友人と行く予定です。あとは妻と一緒に過ごす時間も楽しいですね。誕生日や結婚記念日などには、プレゼントを贈り合っています。妻がソムリエの資格を持っていますので、週末はワインを開けます。もともと2人とも旅行好きなのですが、私もワイン好きに影響されて、フランスのブルゴーニュまで足を伸ばしたこともあるんですよ。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
当院は地域のかかりつけ医として、幅広く診療しています。女性特有の不調や不定愁訴、足がむくむ、足がつるといった症状には漢方処方も行います。また、私は足立区医師会で健康診断の啓発活動にも従事しています。自覚症状のない若い世代の方に、がんや心臓疾患が見つかることも少なくありません。当院では感染予防対策も徹底していますので、何か不安な症状や健康診断での指摘があれば、ぜひ受診してください。