加齢などが原因の変形性膝関節症
老後を楽しむため早めの予防を
古賀整形外科
(荒川区/熊野前駅)
最終更新日:2023/04/03
- 保険診療
人間誰しもが「いくつになっても自分の足で歩きたい」と思うもの。旅行やスポーツなど、老後も趣味を楽しみたいと考えている人も多いだろう。そんな人たちに知ってもらいたいのが「変形性膝関節症」という疾患。老化によって膝関節の軟骨がすり減り、歩く際やしゃがんだ時に痛みを感じるようになる。年齢だけでなく、遺伝や肥満、過去の外傷によっては発症の可能性がさらに高まるという。重症化すると、日常生活や外出に影響を及ぼすほどの痛みが伴うことも。「古賀整形外科」の近藤泰児院長は「膝の痛みがひどくなってからの受診では遅い。軽い痛みや違和感を感じた時点で診察を受けてもらいたい」と訴える。近藤院長に、変形性膝関節症の原因や症状、予防のためにできることを教えてもらった。
(取材日2023年3月17日)
目次
大切なのは膝に負担をかけないこと。整形外科受診は、治療だけでなく適切なトレーニング方法を知る機会にも
- Q変形性膝関節症とはどのような疾患ですか?
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A
膝関節のクッションの役割を果たしている軟骨が、加齢などによってすり減ることで起こる疾患です。痛みや歩行障害を引き起こすだけでなく、減った軟骨のそばの骨が変形し、O脚になってしまいます。加齢により太ももの筋力が低下し、それに伴って膝にかかる負担も増えるため、60歳を過ぎて症状が出始める人が多く見られます。そして、70代前半から急速に症状が進行していきます。加齢のほかにも、遺伝による生まれつきの骨の形や軟骨の質が影響している例があり、さらに肥満や過去の靱帯や半月板のけがが原因で引き起こされることもあります。
- Qどのような症状が現れますか?
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A
ごく初期には、しゃがんで立ち上がったときやジョギング中などに痛みが出ることが多いです。少し進行すると、階段を下りる時や、椅子から立ち上がる時に痛みが現れます。進行期になると、平らな道を歩くときにも痛みが出て、途中で休むようになります。末期になると、痛みが強く、О脚が目立ち、歩くときに体が左右に揺れ、転倒しやすいなど、日常生活への支障が大きくなります。
- Q検査を受けるべきタイミングについて教えてください。
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A
膝に違和感や痛みを感じるようになったら病院で診察を受けてください。最初は軽い症状でも数年で進行する可能性もあり、早期に予防や治療を始めることが大切です。初期の段階では、膝にかかる負担を減らすために、日常生活、趣味、スポーツ活動などを見直し、太ももの筋力を強くする訓練を指導します。肥満の方には減量をお願いします。進行期の治療には、それらに加え、薬の服用や注射、リハビリテーションを行います。重症の場合には手術が必要なこともあり、軽い痛みの段階で相談してほしいです。家族に変形性膝関節症がいる人や肥満の人、膝にけがをしたことがある人は特に注意が必要です。
- Q放置するとどのようなリスクがあると考えられますか?
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A
進行期には、治療をしないと膝の痛みのために、ジョギングや山歩き、旅行、買い物などが制限されます。痛みの程度が強くなると、外出は自宅と病院の往復だけになってしまう患者さんもおられます。外出ができなくなると、気持ちもふさぎがちになりますよね。末期になると、薬やヒアルロン酸の注射、リハビリでは痛みが取れなくなり、歩行障害も強いため、手術が必要になることもあります。なるべく早い段階で治療を行って、そういった事態を防ぎたいと考えています。
- Q予防のためにできることはありますか?
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A
当院では、「膝に負担をかける日を何日も続けないように」とお伝えするようにしています。動けば動くほど健康にいいと思われがちですが、決してそういうわけではありません。いつもより多く運動した日の翌日に、今度は買い物でたくさん動き回るなどの膝を酷使する過ごし方をしないようにしてください。予防のためには、歩くだけでなく下半身のウエートトレーニングも重要です。60代で症状がほとんどない人であれば、スクワットやジムでのパーソナルトレーニングがお勧めです。筋力増強と膝を酷使しない、まずはこの2つを意識してもらいたいですね。次に大切なのが体重管理。糖質の摂取を抑えバランスの良い食事を心がけてください。