金子 開知 院長の独自取材記事
金子クリニック
(江東区/南砂町駅)
最終更新日:2026/07/14
江東区南砂町で、開院から30年以上診療を続けてきた「金子クリニック」。2026年4月、初代院長である金子晴生先生から息子の金子開知先生へと継承された。これまで金子開知院長は、母校である東邦大学医療センター佐倉病院リウマチ膠原病内科の診療部長、及び講師を務め、2018年からはニューヨークに位置する整形外科およびリウマチ科領域に特化したhospital for surgeryで3年間の基礎研究に従事するなど、リウマチ膠原病疾患領域の前線を歩んできた日本リウマチ学会リウマチ専門医だ。「地域の安心感はそのままに、専門性を生かした診療も届けたい」と語る開知先生に、これまでの経歴とクリニックへの思い、そしてリウマチという身近でありながら見過ごされやすい疾患についての考えを聞いた。
(取材日2026年6月10日)
治療の大きな変化に心動かされ、リウマチの道へ
今年の4月に院長を引き継がれたそうですね。

正直に言うと、当初はクリニックを継承するつもりはあまりなかったんです。院長を引き継ぐまで東邦大学医療センター佐倉病院のリウマチ膠原病内科の診療部長を務めており、留学にも行きましたし、もともとは大学で研究や診療を続けていこうと思っていました。ただ、父の体力が落ちてきて、診療を続けるのが難しくなってきていました。このクリニックがなくなってしまったら、長年通っていた患者さんたちの行き場がなくなってしまうことが気にかかりまして、悩んだ末に引き継ぐことを決めました。父が30年以上守ってきたクリニックです。その歴史を大切にしながら、今は覚悟を持って取り組んでいます。
1993年の開院から30年以上続くクリニックです。地域の方にとってどんな場所だと思われますか?
父の代からこの地で長く診療を続けてきた、地域に根づいたクリニックだと思っています。内科と小児科を診療しており、ご高齢の方を中心にさまざまな世代の方が通われています。最近は周辺にマンションがどんどん建ってきたこともあり、若い世代のご家族やお子さんが来院されることも増えてきました。10年以上在籍しているスタッフが多く、中には開院当初からずっと勤めてくれているスタッフもいます。大学病院や大きい病院は受診のハードルが高いと感じてしまうこともあると思います。当院は受診しやすく、何かあったらすぐ来ていただけるような診療体制を整え、お子さんから高齢の方まで幅広く通える、地域の安心できる場所でありたいと思っています。
先生の専門はリウマチです。その道を選んだ決め手はなんだったのでしょうか。

曽祖父と祖父は外科、父は内科と、代々医師の家系で育ちましたから、医師になること自体は半ば自然な流れでした。身近に医療に携わる人が多い環境で育ちましたから、自分も気づいたらこの道を歩んでいたという感覚です。 研修医の頃、リウマチ治療に大きな転換期が訪れたんです。治療を大きく変えるような薬が日本にも登場し、その薬がもたらす治療の変化や、それまで痛みと闘っていた患者さんの治療が進んでいく姿を目の当たりにしました。リウマチは関節だけでなく全身に影響する疾患で、全身を診るという奥深さもある。「これは面白い分野だ」と感じたのがこの分野を選んだきっかけです。現在、日本リウマチ財団の理事長を務めていらっしゃる川合眞一先生のもとで学べたことも財産です。
関節が痛ければ受診を。リウマチは早めの受診が鍵
どんな症状があるときに受診を考えればいいのでしょうか?

一番わかりやすいのは、朝起きたときの手のこわばりです。それに加えて、1ヵ月半、つまり6週間以上にわたって複数の関節が痛む状態が続いているとき。ぶつけたりしたわけでもないのに、あちこちの関節が痛むという場合は注意が必要です。あまり知られていないのですが、口や目が乾く、指先が白くなる、原因不明の熱が続くといった症状も、膠原病という免疫の病気のサインであることがあります。思い当たる節がないのにあちこち痛いなど、気になる症状が長引くようであれば、早めに受診されることが大切です。
リウマチは整形外科に行くイメージがある方も多いと思います。
世界的に見ると、リウマチは内科医が診る疾患です。都内ではその認識がかなり広まってきていますが、患者さん自身はまず整形外科を受診されることが多いのが現状ですね。整形外科でもリウマチの治療をしてくださる先生はいらっしゃいますが、内科の立場からはより全身の状態をきめ細かく診ることができますし、専門性の高い薬物治療にも対応しやすいという面があります。私の専門ということもあり、当院ではリウマチを診ますので、関節の痛みが気になる方にはまず受診していただいて、診察の結果、整形外科の領域と判断した場合はそちらをご紹介するという対応もできます。リウマチに限らず、シェーグレン病や全身性エリテマトーデスなどの免疫疾患にも対応しますので、状態が安定している患者さんであれば、当院で長く診ていける体制を整えています。
リウマチの治療はどのように進めていくのですか。

最近は抗リウマチ薬がどんどん進化しており、そうした薬を使って症状の抑制を図るのが基本的な治療の流れです。めざすのは完治ではなく「寛解」、つまり症状が落ち着いた状態を維持していくことです。リウマチと聞くと不安に感じるかもしれませんが、高血圧や糖尿病と同じ慢性疾患の一つだと考えていただければと思います。定期的に血圧を測ったり、血糖値を確認したりしながら、薬で血圧のコントロールを図るように、リウマチも定期的に痛みや炎症の状態を確認しながら治療を続けていきます。今は症状の改善が期待できる薬がたくさん出てきていますので、早い段階で治療を始めれば、状態の改善が見込める病気です。新しい薬も登場しており、治療の選択肢は広がり続けています。
「いつもそこにある」安心感と専門的な治療を届けたい
先ほど留学とおっしゃっていましたが、留学先ではどういったことをされていたのですか?

2018年から3年間、ニューヨークにあるワイルコーネル医科大学の、提携病院であるHSSと呼ばれる病院で骨代謝に関する基礎研究に取り組みました。スポーツ選手もケガの際に訪れる、整形外科とリウマチ科領域に特化した整形外科病院です。研究の内容は臨床と少しつながる部分もありますが、非常にニッチな領域で、すぐに診療に反映されるというよりは、今後の医療の発展に向けた基礎的なテーマでした。ちょうど滞在中に新型コロナウイルスの大流行と重なり、ニューヨークが混乱の中、帰国もできないまま研究を続けていました。すぐに今の診療に直結するという性質のものではありませんが、未来の医療のための研究をひたすら続けていました。疾患を根本から理解しようとした経験は貴重な時間でした。
院長として、今後の展望をお聞かせください。
まずは今通ってくださっている患者さんが、これまでと変わらず無理なく安心して通い続けられるクリニックを維持していくことが第一です。その上で、父の代から続く地域のかかりつけ医としての役割を大切にしながら、私が大学病院で取り組んできたリウマチや免疫疾患の専門診療も少しずつこの地域に根づかせていきたいと考えています。近くにある大学病院との連携体制も進めているところで、状態が重くなった場合にはそちらにお願いし、安定している方は当院で継続して診ていくという役割分担を整えたいと思っています。日常的な内科診療から専門的な診療まで、地域の皆さんに安心して相談していただけるクリニックをめざしていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージもお願いできますか?

父が30年かけて築いてきた「いつもそこにある」という安心感は、この地域にとってかけがえのないものだったと思います。私はその安心感をしっかり引き継ぎながら、リウマチを専門に大学病院で培ってきた経験を生かし、診療に新たな柱を加えていきたいと考えています。関節の痛みが続いて気になっている方がいらっしゃれば、リウマチを診る内科の立場から診察いたしますし、診察の結果、整形外科の領域であればそちらをご紹介することもできます。また、「どの科にかかればいいかわからない」といった段階でも構いません。日常的な体調不良や生活習慣病のことなど、健康に関する気になる症状があれば、まずはお気軽にご相談ください。専門的な医療と地域に根差したかかりつけ医としての役割、その両方を大切にしながら身近な場所から医療を届けていく。それが、これからの当院のめざす姿です。

