守島 亜季 院長、藤井 詳也 さん、友野 晴元 さんの独自取材記事
守島医院
(江戸川区/小岩駅)
最終更新日:2024/11/26

小岩駅から徒歩5分の場所にある「守島医院」。守島亜季院長が2010年に先代から引き継ぎ、2016年にリニューアルを行った。内科、整形外科、リハビリテーション科を標榜し、リハビリテーション室に加え、運動型健康増進施設のコンディショニングセンター37を整備。生活習慣病の予防・治療、運動機能の改善などに注力し、在宅医療にも力を入れるなど地域医療に貢献してきた。今回は守島院長をはじめ、理学療法士の友野晴元さん、健康運動指導に関する専門知識を持っている藤井詳也さんに、同院の特徴について話しを聞いた。
(取材日2024年9月5日)
プライマリケアを提供し地域の総合医療を担う
クリニックの特徴を教えてください。

【守島院長】当院は整形外科医だった父が1980年に開院し、私が2010年に引き継いだ後、バリアフリーと高齢者への対応強化のため2016年に建て替えました。1階がリハビリ室、2階が診療室、そして3階には、医療法42条に基づいて厚生労働省の基準を満たした運動型健康増進施設「コンディショニングセンター37」があります。先代からの患者さんも多いですし、内科出身の私の強みも生かし、何でも相談できる地域の総合医療を行っていることが特徴です。専門外の疾患に関しては連携している専門医療機関を紹介しています。
地域のかかりつけ医として親しまれていると聞きました。
【守島院長】当院の目標は、プライマリケアを通じて多角的な面から医療をサポートし、地域に貢献することです。親子一緒であればお子さまも診ますし、皮膚科系の相談にも乗ります。また女性特有の症状や、がん検診などの相談にも対応しています。検査が必要であれば婦人科や泌尿器科などの専門機関を紹介することもできます。さまざまな症状に対して、気軽に相談できる体制を整えています。
診療で大切にしていることは何ですか?

【守島院長】「生まれてから亡くなるまで見守ること」を目標に、総合医療の観点から患者さんの人生に寄り添うことですね。そのために多職種連携を重視し、看護師や理学療法士といったさまざまな専門職でチームを組むのに加え、時には外部の機関とも協力しながら患者さんのケアにあたっています。専門家であるスタッフがそれぞれの経験や知識を生かすことのできる環境を整え、定期的にカンファレンスや勉強会も実施し、全員で共通の目標に向かって取り組んでいます。
在宅医療に注力するのも目標を実現するための一環なのですね。
【守島院長】そうですね。当院には長く通われている患者さんが多く、通院が困難になった方のために、私の代から訪問診療を始めました。患者さんの自宅を訪れることで、生活環境や家族との過ごし方など、外来診療では見えなかったことを知ることができました。日常生活での本来の姿を見ることができますので、よりパーソナルな対応が可能です。訪問リハビリテーションも行っており、理学療法士が自宅を訪れ、日常生活を支えるための身体機能訓練や日常生活動作訓練などを行っています。
院内には運動療法が受けられる専用施設を設置
リハビリテーションについて特徴はありますか?

【守島院長】日常生活を送るにあたり、必要な運動機能や動作能力の回復を図るための運動器リハビリテーションと、介護認定で要支援1と2の方が対象になる介護予防のための通所リハビリテーションを提供しています。前者では医師の診断・指示に従って、運動療法や物理療法を行い、後者では理学療法士が患者さんの生活環境を詳しく聞き、医師の指示のもとで計画書を作成して訓練を実施しています。
【友野さん】当院には、慢性的な関節痛に悩む高齢の方を中心に、骨折など急性の外傷や捻挫による靭帯損傷などを患った若い方など、幅広い層の患者さんが通院しています。リハビリ室では、最終的にご自身で体の自己管理ができることをめざし、自宅でできる体操の指導にも力を入れています。リハビリ終了後も運動する習慣を続けたいと、3階にあるコンディショニングセンター37の利用を希望される方もいらっしゃいますね。
運動型健康増進施設とはどのような施設なのですか?
【守島院長】健康増進や機能改善を目的に、運動療法を行う運動施設です。生活習慣病は脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす可能性があるので、それらを未然に防いだり、また、元気な方でも健康維持のためにご利用いただけます。また、生活習慣病があり一定の要件を満たしていれば利用料が医療費控除の対象になります。
【藤井さん】設備に関しては一般のスポーツジムと大きく変わることはありませんが、医療と連携し、医師が監修した運動指導が受けられることが特徴です。運動中に何かあれば、すぐに診療が受けられるような環境であることも強みですね。当院では8人までのグループ形式とパーソナル形式の運動指導を実施しており、グループの場合は主に下肢筋力を鍛えるための体操教室も行っています。
生活習慣病の予防・改善にも運動を推奨されているのですか?

【守島院長】はい。当院の場合、内科の患者さんの多くは生活習慣病を患っていますので、その予防・改善には特に力を入れています。心がけているのは「言いっぱなしにしない治療」です。運動指導の他に栄養指導も取り入れ、外部の管理栄養士が来院して定期的に患者さんを個別指導するなど、総合的な観点からアプローチしています。
【藤井さん】膝痛で来院されても、医師の診療の過程で生活習慣病が判明する可能性も考えられます。その場合はまずはリハビリを受けてもらい、それが終了してからご希望に応じてコンディショニングセンター37で運動していただくことが可能です。診療、リハビリ、予防が院内で対応できる体制があるのが当院の特徴ですね。
より幅広い医療サービスを提供できる地域のハブに
患者さんとのコミュニケーションで気をつけていることは何ですか?

【友野さん】リハビリは患者さんと二人三脚でゴールをめざす姿勢が欠かせません。わかりやすいように丁寧に説明し、納得していただいた上で取り組んでもらうことを大切にしています。患者さんのことを知るために話す時間をなるべく取り、日常生活のこともよくお聞きしています。
【藤井さん】私たちは知識はあるものの、患者さんの疾患を経験しているわけではないですし、痛みやつらさの感じ方も一人ひとり違います。ですから、私たちが認識している痛みと患者さんが感じている痛みになるべく差異がないように意識し、同じ目線に立って指導するよう努めています。
患者さんのモチベーションアップに工夫していることはありますか?
【友野さん】活動量を保ちにくい状況だと、結果に影響することもあるでしょう。でもそんなときも小さな変化を見逃さないことです。少しでもできることが増えていないか、逆にできないことは増えていないか、目配りし、次はここをめざしましょうといった具合にスモールステップを大事にしています。中には本人が自覚されていない変化もあり、その点を指摘することでやる気にもつながります。
【藤井さん】運動を継続していれば、やがて変化は現れるでしょう。その時に適切に評価しつつ、続ければ良くなると伝えることを心がけています。併せて、目先の目標だけでなく、半年後や1年後といった中長期の目標も提示して、その先のめざすべきものを意識していただくようにしています。
今後力を入れていきたいことはありますか?

【友野さん】整形外科の患者さんは多いものの、実はリハビリテーションは受けたことがないという方は少なくありません。気軽に相談しやすい環境をつくることができればいいなと考えています。
【藤井さん】前職のフィットネスクラブでは、運動を始めたくても疾患があったことで入会をお断りしなければいけないケースがありました。しかし、本来はそのような人たちにこそ運動が必要です。より多くの人たちに運動の大切さや面白さを伝えていきたいです。
最後に守島院長から今後の展望を聞かせてください。
【守島院長】高齢化はこの地域でも進んできており、今後は在宅医療の需要がさらに高まると思います。通院できない患者さんを含め、一人ひとりを丁寧にサポートし、がん患者さんへの対応も細やかに行っていきたいと考えています。また、健診やワクチン接種などの予防医療にも力を入れたり、精神科との連携で働き盛りの方々の精神面の健康相談も強化したりしていきたいですね。当院を地域医療のハブとして、「地域の頼れる町医者」であり続けたいと考えています。