全国のドクター9,189人の想いを取材
クリニック・病院 158,628件の情報を掲載(2024年4月30日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 葛飾区
  4. 京成立石駅
  5. 医療法人社団清修会 高橋眼科医院
  6. 専門施設で早期に適切な受診を視機能低下ももたらす甲状腺眼症

専門施設で早期に適切な受診を
視機能低下ももたらす甲状腺眼症

高橋眼科医院

(葛飾区/京成立石駅)

最終更新日:2024/04/11

高橋眼科医院 専門施設で早期に適切な受診を 視機能低下ももたらす甲状腺眼症 高橋眼科医院 専門施設で早期に適切な受診を 視機能低下ももたらす甲状腺眼症
  • 保険診療

甲状腺機能の異常に伴って、あるいは甲状腺機能に異常がなくても、目の周囲の筋肉や視機能に異常を来す「甲状腺眼症」。耳慣れない病名だが、何らかの原因で甲状腺や目の周囲を攻撃する抗体が作られるために起こる自己免疫疾患の一種だという。目の腫れに始まり、次第に目を見開いたような顔つきに変化してくるなど、外見の変化でより一層強い不安感を募らせる患者も多いが、専門的に治療できる施設が少ないため、発見が遅れてしまうケースもめずらしくないという。「高橋眼科医院」では、甲状腺眼症を専門とする伊藤直子院長が、患者の不安に寄り添いながらじっくり時間をかけて症状を精査し、治療が必要な場合には専門施設へ紹介し患者がスムーズに治療が受けられるようサポートしている。甲状腺眼症の概要について、伊藤院長に話を聞いた。

(取材日2024年3月25日)

初期症状は目の腫れ。アレルギー症状やむくみと区別できず、見逃されることも

Q甲状腺眼症とはどのようなものですか?
A
高橋眼科医院 目の腫れが続いたら、甲状腺眼症の可能性も

▲目の腫れが続いたら、甲状腺眼症の可能性も

一般にはあまり聞き慣れない病名だと思いますが、甲状腺眼症は自己免疫疾患の1つです。遺伝的要因など何らかのきっかけで甲状腺と目の周囲を攻撃してしまう抗体が体内に作られ、目の周りの腫れや、顔貌に変化をもたらすような目やまぶたの異常、視機能の低下などを引き起こします。同じ自己免疫疾患で、甲状腺ホルモンに関連する疾患として知られるバセドウ病などの甲状腺機能亢進症、橋本病などの甲状腺機能低下症の合併症として起きるケースのほか、甲状腺機能に異常がない場合に単体で発症することもあります。

Q症状について教えてください。
A
高橋眼科医院 患者の不安な気持ちに寄り添い、丁寧な診察を行う

▲患者の不安な気持ちに寄り添い、丁寧な診察を行う

初期症状で見られるのは、起床時などのまぶたの腫れですが、一般的に眼科で見られるアレルギー症状による腫れやものもらい、浮腫みといったものとの区別が難しく、見逃されるケースも多いようです。典型的な症状としては、驚いたときのように目が見開いた状態になって以前と顔つきが変わったり、まぶたが下がりにくくなって、下を向いてうつむいた状態でも白目が露出してしまうようになります。症状が進むと、物が二重に見える「複視」や、眼球の突出が見られる他、さらに重症になると視力低下や視野欠損など視機能自体にも影響が出始めます。早期に治療しないと視機能が戻らなくなる恐れがあるため、この段階になると入院治療が必要となります。

Qかかりつけの眼科で治療をするのは難しいのでしょうか?
A
高橋眼科医院 甲状腺機能の異常が疑われる場合は、眼科を受診しよう

▲甲状腺機能の異常が疑われる場合は、眼科を受診しよう

現在日本国内では、甲状腺眼症を専門的に診られるドクターが少なく、治療できる施設も限られます。当院でも治療までは行っておりませんが、私が甲状腺眼症を専門的に学んできており、現在も当院での診療の傍ら、甲状腺眼症を専門に手がける都内の眼科病院でも診療しています。大学病院でさえ、必ずしも甲状腺眼症に詳しいドクターが在籍しているとは限らないというのが現状のようです。どんな病気にも共通することですが、甲状腺眼症についても早期に適切な治療をすることが重要になります。内科で甲状腺機能の異常を指摘された方は特に、眼科への受診を必ず行ってほしいと思います。

Q一般的に治療はどのように行われるのですか?
A
高橋眼科医院 各種検査機器を導入し、精密な診断を行う

▲各種検査機器を導入し、精密な診断を行う

血液検査やMRI検査で甲状腺眼症と判明した場合の治療には、目の周囲の筋肉の腫れを緩和するためのステロイド注射や点滴、内服薬、放射線治療などが挙げられます。当院では治療までは行っていませんが、診察で甲状腺眼症の可能性のある方を拾い上げ、私も非常勤で勤務する専門の眼科病院に紹介して治療の道筋をつけるほか、これまで治療を続けて状態が安定している方のフォローを行っています。

Qこちらで診療する上で、心がけていることを教えてください。
A
高橋眼科医院 患者とのコミュニケーションを大切にしており、適切な治療を提案

▲患者とのコミュニケーションを大切にしており、適切な治療を提案

甲状腺眼症は女性に多い疾患ということもあり、目の周りの腫れから始まって症状が進むにつれ、顔つきが変わってくることに対して強い不安を覚える方が多くいらっしゃいます。甲状腺機能の異常と相まって、ホルモンの影響で交感神経が優位になり、落ち着きがなくなったり、感情が高ぶって涙してしまう患者さんも珍しくありません。同じ女性だからこそ、この病気に伴う外見に関するお悩みなど共感できることも多いと思いますから、甲状腺眼症の兆候が見られる方に対しては、特にじっくり時間をかけて話をお聞きした上で、専門病院をスムーズにご紹介するようにしています。

ドクターからのメッセージ

伊藤 直子院長

自己免疫疾患ですから、発症に関連するような環境要因は明らかになっていませんが、症状を悪化させる要因としては受動喫煙も含む喫煙とストレスが挙げられます。治療を始めるにあたっては禁煙と、できるだけストレスをため込まないように意識することが大切です。甲状腺機能異常とも関連するため、眼科と内科を並行して受診することが欠かせませんし、放射線治療を要する場合など放射線科の医師との連携も必要になります。診療科の枠を超えて治療する煩雑さを整理する意味でも、当院のような街のかかりつけ眼科が治療の入口となって、適切な治療に導くガイドのような役割を果たしていければと思っています。

Access