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伊藤 直子 院長の独自取材記事

高橋眼科医院

(葛飾区/京成立石駅)

最終更新日:2024/03/05

伊藤直子院長 高橋眼科医院 main

「高橋眼科医院」は京成押上線京成立石駅から徒歩3分、商店街のアーケードを抜けてすぐの住宅街にあり、どっしりしたれんが造りの建物が目を引く半世紀にわたって地域に親しまれてきた医院だ。外観同様、レトロで重厚なインテリアが設えられた院内は懐かしさを感じさせる落ち着いた雰囲気で、待合室では大きな振り子時計が静かに時を刻んでいる。3代目となる伊藤直子院長は甲状腺眼症を専門とし、東京慈恵会医科大学に所属する他に複数の病院に勤務するなど豊富な治療経験を持つばかりでなく、航空業界をめざしてアメリカの大学を卒業したという異色な経歴の持ち主でもある。そんな伊藤院長に医学に転向した経緯や患者との向き合い方など話を聞いた。

(取材日2024年2月5日)

その人に合わせた診療スタイルで

こちらの医院の特徴と来院する患者層を教えてください。

伊藤直子院長 高橋眼科医院1

長く地域に根差してきた医院で、乳幼児から高齢者まで近隣の方が幅広く来院されます。患者さんの数は比較的多くないので、お一人お一人に時間を取ることができるため、丁寧に診察できることが特徴だと考えています。もちろん、急いでいる方には臨機応変に対応しております。大先生に診てもらっていたという患者さんもいらっしゃいますし、話をしたいから来院したんだよという方もおられて、下町人情とはこういうものなのかなとよく感じます。目の症状以外に心配事があれば時間が許す限りじっくりお話を聞くようにしていますし、こちらからも気になる様子があった場合などはお声がけすることもあります。眼科領域だけでなく、総合的な健康についてお力になれるように心がけています。

どのように診療を行っていますか。

眼科一般に対応し、白内障や緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症などの治療も行っています。先進のOCT検査機器と視野検査機器を導入し、より早い段階での網膜疾患診断や視野の機能評価が行えるようにし、早期発見・早期対応にも力を入れています。網膜剥離や糖尿病網膜症のレーザー治療、小手術も行っていますが、対応できない手術や専門的な治療の場合は、東京慈恵会医科大学葛飾医療センターや地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立東部地域病院などをご紹介しています。また、葛飾区医師会に所属して、昨年は支部長を務めたことから医師会の先生方とのネットワークもできました。眼科領域以外で気になる症状のある患者さんについては、その先生たちとお互いに協力して紹介するなどしています。

先生は甲状腺眼症のご研鑽を積まれてきたと伺いました。

伊藤直子院長 高橋眼科医院2

甲状腺眼症に特化した病院や、東京慈恵会医科大学附属病院などにも勤務していて、専門性の高い治療が必要な場合はそうした病院や医師を紹介することもできますし、他院で私が診療することもできるので、少しでも安心していただけたらと思っています。治療が落ち着いたら、こちらで引き続き診させていただくことも可能です。

治療経験があるからこそできること

どういった経緯で院長に就任されたのでしょうか。

伊藤直子院長 高橋眼科医院3

医局の先輩がこちらでアルバイトをしておられたのですが、その先生が海外赴任されることになり「後を継いでくれないか」と言われたのがきっかけですね。勤めている間に、院長先生が急にお亡くなりになりました。そこで院長をやってもらえないかというお話をいただきました。たぶん、その時には私が一番の古株だったからだと思うのですが(笑)。私が3代目院長として、3人の医師とともに診察にあたっています。

英語での診察可能とホームページにありますが、必要とされる患者さんは多いですか。

けっこう多いですよ。流暢ではないですが、実は中国語もできます。この辺りは、日本の生活は長いけれど言葉はできないという中国語話者の方が少なくありません。不安と緊張の面持ちで来院した方が、私の中国語で安堵した表情に変わるのを見た時は、言葉が通じるということはとても重要だと思いました。こちらも相手の話がわからないまま、間違った治療をしてしまうとたいへんなことになりますから安心ですし、何よりもコミュニケーションできると楽しいです。最近は観光客が受診されることもありますし、医療ツーリズムも盛んになっていますから外国語で対応する必要性は高まっており、プラスになると思います。

どんな診療を心がけておられますか。

伊藤直子院長 高橋眼科医院4

患者さんへの共感を大切にして、少しでも安心して治療を受けていただくことです。私自身が過去に強度近視を治療していて、現在は緑内障の治療中です。自分が経験したもの、例えば近視に対するレーザー治療では、目の奥のほうが振動してけっこう痛いですよとか、今の私はこんなふうですよと伝えられます。きっと医師が健康そのものに見えると、病気に対する知識はあっても不安や苦痛をわかってもらえないのではと患者さんは感じるでしょうが、私は自分も経験していることだよ、このお薬を使っているよと、より共感をもって接することできますし、それが一つの強みになっていると思います。具体的に伝えられると、患者さんの安心感につながるのではないかと思うのですね。

他にご自身の経験が診療に反映されるところはありますか。

私が緑内障の治療を始めたのは、出産して授乳が終わってからでした。妊娠中や授乳中に使えない薬剤が結構あるので、妊婦さんや授乳中のお母さんにはいつから治療が始められるか、それで問題はないのかなど自分の経験も一緒に話します。妊婦さんも小さな赤ちゃんを抱えたお母さんも、子育てと自分の病気で本当に不安でいっぱいですから、どう治療を進めるのがいいかを私も一緒に考えていきます。また、出産直後の人はなかなか外出できませんし、受診するにしてもその間、赤ちゃんを見てくれる人はいるのかなど不便さや苦労などもわかりますから、病状によっては受診期間が空いても問題ないことなど具体的に伝えることで少しでも安心していただければと思っています。お子さんにうまく目薬をさせないというお悩みもよく聞きます。寝かせた状態で目薬を落として、目頭につくだけでもOK、ちょっとでも目薬がしみたら十分とアドバイスします。

いろんな経験をしてきたからこその柔軟な診察が武器

先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。

伊藤直子院長 高橋眼科医院5

父が眼科医で、ここと同じような自宅と一体になったクリニックを開業していました。その影響はあるはずですが、「医者は大変だからやめておけ」とずっと言われていたので、自分が憧れていたパイロットになろうと思っていました。ですが女性がパイロットになることがまだ難しい時代でもあり、せめて航空産業で働こうとアメリカの大学に進学しました。インターンを終えて就職が決まり、ビザも申請したところで9.11テロが発生して外国人はアメリカにいられなくなってしまって。帰国したものの日本の航空産業は厳しい時代でしたから、その道はなくなりました。でも、アメリカにいる間に医学部をめざすルームメートに誘われて、準医学部コースも取っていたのです。それもアメリカで外国人が医師になるのは困難だと言われてしまいましたが……。金沢医科大学医学部が編入学を実施していることを知り、なんとか合格して医師の道に入りました。

眼科を選んだのは、やはりお父さまの影響でしたか。

実は産婦人科か乳腺外科の医師になりたくて研修を積んでいました。それが結婚することになって、いざ家庭との両立を考えると現実には難しいなと。医師という仕事は一生続けたいと思っていましたから、女性が長く続けられて、手術もできる分野はないかと考えたら、眼科っていいなと思ったのです。父が眼球を手術するビデオを家で繰り返し見て勉強しているのを一緒にじーっと見ていましたし、冷蔵庫を開けたらタッパーに入った眼球がこちらを見つめていたこともありましたが、なぜか怖いと思ったことがありませんでしたね。

最後に読者へメッセージをお願いします。

伊藤直子院長 高橋眼科医院6

目に関するお悩み事はもちろんのこと、それ以外のこともお時間が許すようでしたら、ぜひお話を聞かせてください。いろんな回り道をしてきた経験を生かして柔軟に、そして親身になってお力になりたいと思っています。スタッフの中には先々代院長時代から勤めている方もいて、一緒にどうすれば患者さんにとって利用しやすくなるのかなど考えています。古き良き昭和の空間へ、気軽にご来院ください。

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