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木村謙介 院長の独自取材記事

きむら内科クリニック

(川崎市麻生区/五月台駅)

最終更新日:2019/08/28

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病は心の状態ともつながっている――。慶應義塾大学病院やその関連病院で培った豊富な臨床経験をもとに、患者の背景にある病気の“本質”に目を向ける「きむら内科クリニック」の木村謙介院長は、循環器内科を専門とする心臓疾患のエキスパートだ。2012年11月にオープンした医院は小田急多摩線五月台駅から徒歩3分。閑静な住宅街の真ん中で地域住民に身近なかかりつけ医として、病気が進行する前に病の芽を摘み取る医療に努める。診療は狭心症や心筋梗塞をはじめとする心臓疾患はもちろん、風邪や頭痛、生活習慣病など内科全般まで幅広い。「心」と「体」の両面から真の健康を考える木村先生を訪ねた。

(取材日2012年11月15日)

循環器内科を専門に、病の芽を早期に摘み取る診療を手がける

まずは開業の経緯からお聞かせください。

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2012年11月にこのクリニックを開業するまで、僕は20年近く慶應義塾大学病院とその関連病院で勤務してきました。大学病院ではすでに進行してしまった病気を治すのが医師の務めで、それはもちろん意義のあることでしたが、もっと早い段階で病気の芽を摘み取ることができないものか、そういう思いが強くなっていったんです。そんな折り、同じ医師である家内が病気をし、自分はこれから何を一番大切にして生きていくべきか、それはやはり家族だろうという結論に至り、仕事の環境を変えることにしたのです。大学では外来医長や病棟責任者を務め、昨年からは循環器内科の専任講師として後進の教育を任されてやりがいを感じていましたが、一度決意したら迷いはありませんでしたね。今はこの五月台で開業し、患者さんとじっくり向き合う診療ができて、本当に良かったと思っています。

ご専門の循環器治療では、どのような経験を積まれてきたのでしょう?

狭心症や心筋梗塞に対するカテーテル治療、心不全や不整脈の治療などを外来、入院、救急外来すべての臨床現場で行ってきました。また、済生会宇都宮病院という宇都宮市の主幹病院で研修医の教育にも携わりました。やる気に満ちた若い先生方と一緒にいると、僕のほうも刺激をもらって実に楽しかったですね。彼らとは今でも深い親交があります。実は家内ともそこで知り合ったんですよ。家内はリウマチ専門医で、当時一緒に診た患者さんに関する論文が『Lancet』誌という英国の超一流医学雑誌に掲載されたことは一番の思い出です。済生会宇都宮病院に移る以前は慶應義塾大学で「自律神経と心臓」をテーマに研究も手がけていました。誰も取り組んだことのない、ある意味マニアックなテーマだったんですが、そのぶん意義は大きく、済生会宇都宮病院から慶應義塾大学へ戻ってからも研究を続け、学位を取得した後はさらに2年間、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学し研究をしました。

自律神経と心臓はどんな関係にあるのですか?

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確かにあまり知られていませんよね。実は心臓というのは自律神経にものすごく支配されている臓器なんです。自律神経とは交感神経と副交感神経で構成されていて、この2つはいわば車のアクセルとブレーキのようなもの。交感神経が心拍数を上げたり心臓の収縮を促したりするアクセル役であるのに対し、心拍数を下げたり心臓の収縮を抑えたりするブレーキ役が副交感神経です。心筋梗塞に似た症状で「たこつぼ心筋症」という疾患をご存知でしょうか。強いストレスが原因で発症する心疾患で、実はこれも自律神経の異常から来るものだということが僕らの研究でわかりました。そうした研究成果は世界的に知られるアメリカの生物医学ジャーナル誌『Nature Medicine』をはじめ、医学研究系のトップジャーナル誌に掲載されてきました。優秀な研究仲間と知り合えたことをとても光栄に思います。

「肉体」と「精神」の両方に働きかける医療で真の健康をもたらす

診療ではどんなことを大切にされていますか?

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病気の背景に目を向けるようにしています。そこに病の本質が隠れていることがあるからです。長年、多くの患者さんを診ていますと、心理的な部分がいかに病気とつながっているかがわかります。僕が医師になって5年目のことでした。先天性の心疾患の男性が危篤状態になって、これはもうダメかもしれないと思ったそのとき、付き添っていた母親の一言が彼の命をつなぎとめた、そんな場面に遭遇しました。このお母さん、息子さんの病気のことでとても苦労されていて、「この子さえいなければ……」と思ったこともあったそうです。二人の関係はちょっと複雑でしたが、死の淵をさまよう息子さんを前にしてお母さんは、「息子は意味を持って生まれてきてくれた。そのことに感謝しています」とおっしゃったんですね。その瞬間、驚くことに息子さんの血圧が回復し、一命を取り留めたのです。まさかと思われるかもしれませんが、医療の現場では時々そういうことが起こりますし、僕は医療というのは肉体の治療だけでなく、精神的な部分も一緒に改善していくことで最大の効果を得られるものだと思っています。

そうしたお考えをまとめた本も書かれていますね。

『入院こそチャンス! 人生は病床で好転する』(文芸社)という本を書きました。この本のなかで僕は、皆さんが万が一、入院することになったとしても、病気を恨んだり落ち込んだりするのではなく、それまでの人生を振り返る良い機会、つまり人生のターニング・ポイントと捉え、心身ともに病気を克服することを勧めています。僕はこれまで大勢の入院患者さんを見てきましたが、不思議なことに、肉体の治療だけ終えて退院した患者さんは再入院の確率が高く、逆に精神的な葛藤を解除した患者さんはほとんど戻ってこないんです。ある種の法則みたいなものですね。ただ、実際の臨床現場で医師が患者さんの心の領域にまで踏み込むのはなかなか難しいというのが実情です。肉体の治療は医師に任せ、患者さんご自身には入院生活や病気を見つめ直す指南書のようなものになればと思っています。

開業してからはどんな患者さんを診ていますか?

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季節柄、インフルエンザの予防接種や風邪の患者さんを診ることが多いですね。僕の専門である循環器では高血圧やコレステロール値の高い方、不整脈のある方などがお見えになっています。開業し、大学病院とは大きく違うとしみじみ思うのは、一人の患者さんをしっかりと時間をかけて診察できるということ。特に心疾患の患者さんはつい話が長くなってしまって、看護師から「先生、お待ちの患者さんがいらっしゃるので」と“巻き”を入れられています(笑)。例えば大学病院に通院している男性の患者さんは、担当医にあまり話を聞いてもらえないことをフラストレーションに感じておられて、僕が病気や薬のこと、普段の生活の話などをゆっくり聞いて説明をして差し上げたところ、「気分がすっきりした」と喜んでお帰りになりました。そういう親身な診療こそが僕の手がけたい医療。患者さんに心からハッピーになってもらうことを信条にしています。

患者が笑顔を取り戻し、ハッピーになれるクリニックをめざして

先生の診療スタンスに影響を及ぼした人物や出来事はありますか?

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医学部受験の浪人中に読んだエリザベス・キューブラー・ロスという精神科医の『死ぬ瞬間』という本に影響を受けましたね。キューブラー・ロスは、例えば、がんを宣告されて死を意識した人がその事実を受け入れるまでには、自分ががんであることを疑う「否認」、なぜ自分なのだと憤る「怒り」、治るように何かにすがる「取引」、何もする気がなくなる「抑うつ」、もしかしたら自分は死ぬのかもしれないという現状を受け入れる「受容」の5段階の心の動きがあると分析しています。僕はそれを読んで「なるほど」と感心するとともに、余命宣告されたのち医師に見放されてしまった患者さんがいるという事実を知り、自分はそういう患者さんに手を差し伸べる医師になりたいと思いました。

お父さまも医師でいらっしゃるのですか?

うちは代々、製薬関係に従事しています。曾祖父は木村製薬(現・アース製薬)の創業者で、父は製薬や害虫駆除部門の研究責任者でした。実は、あの「ゴキブリホイホイ」の発明者なんですよ。父からは、「薬を一つ開発すれば一度にたくさんの人を救えるけれど、医師が救える人数は限られている。だから製薬のほうへ進んだほうがいいんじゃないか」と言われましたが、僕は目の前の人を助けたいという思いが強かったので、医師の道を選びました。ですから父は、僕が大学で「自律神経と心臓」の研究をしていたとき、とても喜んでくれましたね。その父も今年5月に亡くなりました。父は生前、フクロウの置き物をコレクションしていて、それは今クリニックの待合室に飾ってくれています。それを見ると父のことを思い出しますね。

ぜひ先生のご趣味も聞かせてください。

サーフィンが好きなんです。始めたのは遅くて34歳のときですが、留学先のサンディエゴでも研究の合間のリフレッシュにサーフィンを楽しんでいました。院内のあちこちに海をモチーフにした絵を飾っているのもそのためです。今は開業したばかりだし、小さい子どももいますので、休日はもっぱら育児を手伝っています。休みの日くらいは面倒をみないと忘れられてしまいますからね(笑)。

これからどんなクリニックづくりをしていきたいとお考えですか?

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ここに来れば笑顔になれる、ハッピーになれる、そんなクリニックにしていきたいですね。病気を抱えて気持ちが沈んでいる人たちに、何かこう、光が射すというのかな。そんなイメージを意識して診療にあたっています。僕が言うのもなんですが、スタッフもみんな明るくて患者さんに尽くしてくれる人ばかり。一緒に働いていて楽しいし、患者さんにも喜んでいただいています。今のムードを大切にしながら、不安や心配事を気軽に相談していただける地域のかかりつけであることはもちろん、遠方からも足を運んでいただけるような信頼されるクリニックにしていきたいと思います。僕自身、これからもっともっと忙しくなるのが楽しみです。

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