有田 幸代 院長の独自取材記事
有田歯科医院
(北区/赤羽駅)
最終更新日:2024/09/27
赤羽の地で、長年地域に根差した診療を続けてきた「有田歯科医院」。6年前に母から院長職を引き継いだ有田幸代院長は「口腔状態もライフスタイルも価値観も一人ひとり異なるからこそ、患者さんに寄り添った治療を行いたい」と話す。一般歯科に加え、子どもの歯科治療に対する想いも強く、小児歯科を専門とする常勤歯科医師2人とともに診療に励んでいる。有田院長はおおらかで明るい笑顔が印象的な一方で、たとえ日々の診察が忙しくても新しい治療法や技術を積極的にインプットする姿勢を崩さない。質の高い歯科医療を提供したいという熱意を感じる院長から、同院の診療の特徴や、自身のモットーについて話を聞いた。
(取材日2021年7月6日/情報更新日2024年9月19日)
子どもたちの口腔機能向上に努める
患者層と主訴を教えてください。
子育て世代の方が定期検診を目的に来られることが多いです。出産後に口腔ケアをなかなかできなかったから診てもらいたいといらっしゃいます。また母が院長をしていた時代から通われていた60代以上の患者さんや、奥さんに連れられて来る旦那さんもいますね(笑)。ご家族全員で来ていただいています。検診をしていく中で、歯周病や虫歯があれば治療をし、再発しないよう正しい口腔ケアの方法を衛生士が指導する、というのが主な治療の流れです。でも皆さん1度ではケアの仕方を忘れてしまうんですよね。なので繰り返し来ていただいて、その度にセルフケアを復習してもらっています。子どもの習い事と同じで、何度も学んで習得することが、口腔ケアにも大事なんです。
小児歯科の専門家が2名いらっしゃいますが、小児歯科にも力を入れているのですか?
小児歯科が専門の兄が治療にあたり、少しずつ患者さんが増えてきたので小児の先生の協力を得て、今では手厚く小児歯科を提供できる体制になりました。最近は、昔よりも虫歯の子がだいぶ減りましたが気づかない間に虫歯になっている子は少なくありません。親御さんにとっても、歯磨きを1日3回させるのはひと苦労ですよね。なので年齢ごとに虫歯の好発時期に合わせた歯磨き指導をしています。また歯並びが悪い子も年々増えてきました。その主原因は、食べる・話す・呼吸をする機能がうまく育たない口腔機能発達不全症なので、幼少期からの生活習慣改善に向けた指導も行っています。しかしそれでも矯正が必要な子には、顎の骨を正しい成長方向へ導く「顎顔面育成」がお勧めです。骨や機能改善を図ることで顔や呼吸、姿勢改善も期待できます。また抜歯もしなくて済む方がほとんどなのもメリットですね。
小児歯科治療の難しさとやりがいについて教えてください。
当院では、虫歯があるから単に治すのではなく、その子の成長度合いや個性、環境に適した治療法を提示するようにしています。ですがやはり歯科医院に抵抗感を覚えてしまう子も多く、思うように進まないケースも少なくありません。お子さんの気持ちに寄り添いながらも自立を促すようさまざまなコミュニケーションを試みますが、そこは難しさとも言えます。でも毎回泣いていたお子さんが、いつの間にか泣かずに通えるようになるという成長を間近で見られるのはこの仕事の魅力ですね。できることが増えていくたびに、親御さんと一緒に喜んでいます。「永久歯を守り、残す」という目標に向かう道のりの中では、遠回りもあるかもしれませんが、最終的にはお子さんが笑顔になれるような治療ができたらいいですね。
第三の義歯で、より選択肢を幅広く
他に力を入れている治療はありますか?
欠損歯に対して行う、「第三の義歯」と呼ばれるスライド式の義歯を使った治療を取り入れました。10年以上前に日本で開発され、歴史はまだ浅いので、ご存知ない方も多いかもしれません。これは入れ歯なのですが、部分入れ歯のように見た目や装着時の違和感が少なく、インプラントのような外科手術が不要な点がメリットです。ただこれだけに凝り固まるのではなく、あくまで数ある選択肢のうちの一つと考えることが大切。当院には自家歯牙移植という親知らずを移植する方法も取れますし、医科との連携により全身疾患に配慮した歯科医療を提供することも可能です。患者さんに適した治療を行うためには、幅広い選択肢を用意することが重要だと思っています。
多角的な視点で患者の口腔状態を診ているのですね。
疾患のある歯を治療してもらえば大丈夫だと思いがちですが、口の中では、虫歯や歯周病になる要因が複雑に重なっています。磨き方や噛み合わせ、ライフスタイルなど、口腔内の環境に影響を及ぼすものはとても多いのです。しかも、それらは患者さんによってまったく異なりますよね。だからその方の疾患の原因は何なのかをしっかりと捉えて、長期的に良い口腔状態を保てるようにしたいんです。もちろん私一人で解決できない症例の場合は、ここでトータルプランを組んだ上で他の歯科医院をご紹介することもできます。
設備面でのこだわりがあれば教えてください。
まずは口腔内スキャナーです。これにより、マウスピース型装置を用いた矯正で使用する装置を作成するためのソフトで治療シミュレーションが行えるようになりました。またスキャニングした患者さんの口腔内データを技工所へ伝送することができるため、従来よりも短期間で装置が完成します。技工所とのやりとりがデータで行えるようになり、一緒に働く仲間である技工士さんの感染症のリスクを軽減できるようになったことも私たちとしてはうれしいです。また新型コロナウイルス感染症の流行を受け、感染症対策として自動精算機を設置したのと、一部キャッシュレスにも対応しているため、利便性も高くなったと思います。その他、コロナ禍前から行っていることですが、設備や器具の消毒、滅菌の工程も遵守してきました。間違いを起こさないためにも、私自身が定期的にチェックしています。
日々の研鑽を忘れず、満足してもらえる治療を届けたい
多くのスタッフがいらっしゃいますが、どのようにコミュニケーションをとっていますか?
少し前まで連絡事項はSNSで送ることが多かったのですが、休日に通知が来るのって嫌じゃないですか。ですので最近はチャットツールアプリを活用して、その日の反省点や日報をオンライン上にあげるようにしています。自分が提供したい医療のレベルは伝えるようにしていますが、スタッフには信頼を置いていますね。また、朝と晩の2回ミーティングを開いているのも当院の特徴です。その日の申し送りはもちろん、スタッフ同士で積極的に意見交換をしています。当院はみんなでクリニックを良くしていこうという気持ちを大切にしているので、新しいスタッフにも遠慮なく意見を言ってもらっていますよ。
診察の際に心がけていることはありますか?
「医は仁術なり」という言葉のとおり、ただ治療に徹するだけでなく、人の心を大切にしていきたいですね。歯科医師として常にベストなプランの提案を心がけていますが、患者さんにわだかまりが残っていれば納得してもらえるよう説明を重ねますし、受け入れてもらえなければもっと前向きに臨んでもらえる案を考えます。せっかく自分と出会ってくれたのだから、「やってもらえて良かったな」と満足してもらいたい。母の代から大切にしてきた「人の役に立つ」という理念のもと、お手伝いをさせてもらっているんだという気持ちを持って日々の診察にあたっています。
最後に、今後の展望を教えてください。
小児歯科や矯正歯科を手がける専門性の高いクリニックだと思っているので、大学病院にかかる一歩手前の選択肢として、患者さんや周りの歯科医院から気兼ねなくご紹介してもらえるようなクリニックでありたいですね。医療人の務めとして、自分たちができる最善の治療を提供できるよう日々の研鑽は終わることなく続けていくつもりです。海外転勤する患者さん、将来海外で暮らす子どもたちのためにも、グローバルスタンダードな治療は学ばなければいけないですし、得た知識は質の高い治療という形で皆さんに還元していきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはスライド式の義歯/40万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/86万6200円~、小児矯正/63万5200円~、顎顔面口腔育成/115万5000円~(小児矯正に関しては症例によって異なるため、要相談)
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。