動脈硬化を加速させてしまう
「生活習慣病」はこうして防ぐ
藤田医院
(板橋区/本蓮沼駅)
最終更新日:2022/09/12


- 保険診療
毎年健康診断で太り過ぎだと指摘され、血糖値や血圧が高くても「忙しい」「時間がない」とさまざまな理由をつけて、受診をせずに放ってしまってはいないだろうか。「藤田医院」の藤田雅巳院長は「とても危険なこと」と警鐘を鳴らし、脳梗塞や心筋梗塞といった重大な病気を引き起こさないためには、生活習慣の改善や定期的な通院が特に重要だと強調する。現代人が抱えている生活習慣病とはどんなものなのか、詳しく話を聞いた。
(取材日2015年3月11日/更新日2021年6月8日)
目次
「生活習慣病」が怖いのは、自覚症状がないのに脳梗塞や心筋梗塞を起こす動脈硬化を促進させてしまうこと
- Q生活習慣病とは具体的にどんな病気を指すのでしょうか?
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A
▲増加し続ける生活習慣病に警笛を鳴らす藤田医師
主に高血圧や糖尿病、脂質異常症や、悪い生活習慣が原因となる肥満を指します。お酒をたくさん飲む、不規則な生活、喫煙など、生活習慣を改めなければいけない病気のことで、健康番組などでもよく見る、内臓に脂肪がつくメタボリックシンドロームもそうです。体形とともに体の中身にも注目して改善していく必要があります。生活習慣病がなぜ怖いかというと、高血圧や脂質異常症などは、その病気自身の問題より、これらが原因で動脈硬化が起き、その結果血管が傷むと脳梗塞や心筋梗塞、また腎臓が悪くなるなど、さまざまな合併症が出てくるからです。しかもある日突然発症する危険性があるため、そうなる前に改善しましょうということです。
- Q動脈硬化を防ぐことはできないのでしょうか?
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A
▲早めに病気の存在に気づくことが一番大事
動脈硬化は20代からすでに始まっていて、加齢や生活習慣とともに加速していきます。そのペースをいかにゆっくりと先送りにできるかが大事になるわけです。動脈は全身にあるので、硬化するとその部分だけではなく全部が硬化してしまいます。よく血管をゴムに例えるのですが、弾力がなくなってしまったゴムは元には戻らずもろくなってしまいますよね。血管の弾力をできるだけ保つことが、脳梗塞や心筋梗塞などの疾患を防ぐことにもつながるのです。それには動脈硬化を促進させる要因となる生活習慣病の予防が、たいへん重要になってくるわけです。
- Q改善のためにどのような指導方法をされているのですか?
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A
▲生活習慣病改善のためには、継続した治療が不可欠
いきなり薬を使うのではなく、どんな食生活をされているか、どんな運動をしているか、体重はどう変化しているかなど、基本的な部分からお聞きしていき、改善すべき点があれば指導を行います。いきなり多くのことを改善することはできないので、まずやらなければいけないことを中心にポイントを絞って指導しています。何年も放置されていた方でない限り、早めに生活改善を行うことで薬の量を半減することも可能です。血圧が心配なのか、脳梗塞になって倒れてしまうことが心配なのか、患者さんが一番気になって受診された部分から指導を入れることで、改善をめざしていきます。
- Q生活習慣の改善で一番注意すべき点は何でしょうか?
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A
▲自分のことを話しやすいかかりつけ医を持つことが大切
やはり食事ですね。最近の食品は比較的塩分が抑えられ薄味になってきていますが、油分が過剰なものも多く、食べ過ぎが原因でカロリーオーバーになりがちです。一人暮らしでコントロールが難しいという方は配食サービスの利用も一つの方法ですし、メニューにカロリー表示があるレストランに行くのも良いでしょう。食事と併せて運動も大切で、毎日30分歩くことをお勧めしています。できない場合は、座って膝を曲げ伸ばししたり、電車の中でつま先立ちをしたりするだけでも良いので、激しい運動でなくても毎日継続できる運動を探すことがコツですね。また定期的に健康診断を受け、どこが悪くてどこが良いのかという数値を把握することも重要です。
- Q定期的に診てもらうことが大切なのですか?
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A
▲自らの健康への意識をしてもらうため、定期的な検診を呼びかける
そうですね。会社勤めの方は毎年健診が義務づけられていますが、定年退職後や自営業の方は現状を放置されるケースが多いです。一度悪くなると元に戻る近道はないので、健康診断で悪い部分を早く察知し、いち早く対策を取ることが重要なのです。最近はコロナ禍で院内感染を過度に気にするあまり、生活習慣病で定期的に薬を処方していた方の来院が減っていますが、通院しなくなると健康への意識が薄れ、今は元気だから大丈夫とも思いがちです。生活習慣の改善には時間がかかります。医師が継続して診る必要があるので、中断せずに通院していただきたいですね。より重篤な病気を防ぐため、定期通院の重要性を理解してもらえたらと願っています。