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土居 通哉 院長の独自取材記事

医療法人社団仁恕会 メンタルクリニックいたばし

(板橋区/板橋駅)

最終更新日:2023/03/30

土居通哉院長 医療法人社団仁恕会 メンタルクリニックいたばし main

JR埼京線板橋駅・都営三田線新板橋駅から徒歩1分、東武東上線下板橋駅から徒歩5分のところにある「医療法人社団 仁恕会 メンタルクリニックいたばし」。2002年に開院し、日本大学医学部、防衛医科大学校、埼玉県立大学で教鞭を取ってきた土居通哉先生が院長を勤めるクリニックだ。院内の待合室はグリーンを基調とした落ち着いた色合いでまとめられ、心が穏やかになる空間。土居院長はうつ病や統合失調症、パニック障害など、臨床でも50年以上の経験を持つベテラン医師。クリニックは中高生など思春期の子どもたちの心の悩みにも注力。また、心の病気のために社会に出ることが難しくなった人が社会復帰するための「デイケア」や「リワーク」のプログラムを設けている。土居院長に診療のポリシーや現代人と心の病について、話を聞いた。

(取材日2023年2月27日)

メンタルクリニックは町の「何でも相談所」

2022年から院長先生が交代されました。どんな経緯があったのでしょうか。

土居通哉院長 医療法人社団仁恕会 メンタルクリニックいたばし1

こちらのクリニックを開院された高橋彰久院長が2022年11月にお亡くなりになりました。開院して約20年、このクリニックにはお子さんから社会人まで、心に悩みを抱える幅広い世代の方が心の健康の回復をめざして通院されてきました。特に高橋先生はお子さんのメンタルケアに熱心に取り組まれていらっしゃいました。このクリニックを継続していくことが、高橋先生のご遺志でしたので、ご家族からご相談を受け、高橋先生と日本大学医学部の同窓である私が、このクリニックの理事長兼院長としてお預かりすることになった次第です。以前からこのクリニックに勤務していた精神科の医師7人と臨床心理士20人は、引き続きこちらで診察にあたっています。

土居院長は、精神科の医師として長年大学で教鞭を取られてきたと伺っています。

日本大学医学部、防衛医科大学校、そして埼玉県立大学でそれぞれ教鞭を取り、医師や医療スタッフをめざす人たちに精神医学について教えてまいりました。また、足立病院で臨床にもあたってきましたので、心の悩みを抱える患者さんを50年診察してきました。実際に、僕が50年担当してきた患者さんもいらっしゃいます。こちらのクリニックでも、さまざまな心の悩みを抱える方たちの相談にあたりながら、板橋という地域に根差した医療の提供をめざしていきたいと思っております。

こちらのクリニックに来られる患者さんは、どのような方が多いのでしょうか。

土居通哉院長 医療法人社団仁恕会 メンタルクリニックいたばし2

私は町のメンタルクリニックは「何でも相談所」だと考えています。通常、メンタルクリニックを訪れる方は、統合失調症やうつ、パニック障害や発達障害などと診断されることになるでしょう。ただし患者さんのほとんどは、病名がわからないまま心に悩みを抱えていらっしゃいます。「元気が出ない」「会社を辞めたい」「学校に行きたくない」などの悩みを抱えている方は、まずはメンタルクリニックにご相談いただければと思います。当クリニックに来院される方の年齢層は幅広く、小学生から高齢者までさまざまな方がいらっしゃいます。最近はリモートワークが普及して、人に会う機会が減り、昼夜逆転して生活リズムが乱れ、うつが先鋭化する、家族関係が悪化するなどの患者さんがお越しになることが増えました。

社会復帰をめざす「デイケア」「リワーク」

こちらのクリニックではどのような診察を行いますか?

土居通哉院長 医療法人社団仁恕会 メンタルクリニックいたばし3

当クリニックには、診察室が2つ、カウンセリングルームが3つ、子どものための遊戯療法を行うプレイルームが1つあります。まずは私たち精神科医が診察を行い、必要ならば投薬治療で様子を見ます。患者さんの中にはご家族内の問題を抱えられている方もいますから、そういった場合は、ご家族で診察にお越しいただきます。また、治療の中でも、カウンセリングを重要視しています。社会生活がうまく送れないという患者さんには、「デイケア」や「リワーク」など、社会復帰を手助けするプログラムに通っていただく場合もあります。

「デイケア」と「リワーク」のプログラムはどのようなものですか?

土居通哉院長 医療法人社団仁恕会 メンタルクリニックいたばし4

「デイケア」とは、外出が難しくなってしまった方、人間関係がうまくいかないなどの悩みを抱える方が、さまざまなプログラムを通じて社会生活を送るための技術を身につけていく場です。心理教育やパソコン、書道やスポーツなど、趣味や娯楽を通じて、社会生活ができるよう心の健康を取り戻す機会を設けています。「リワーク」は、心の病気で会社を休職されている患者さんが、復職するためのお手伝いをするプログラムです。会社に復帰した時のために必要なさまざまな準備を行います。やはりスポーツやコミュニケーションゲームなどを通じて、復職後に必要な体力や集中力の回復をめざし、週に5日通っていただく内容になっています。少人数で取り組むプログラムですので、対人に不安がある方でも、安心して参加していただけると思います。

お子さんのメンタルケアにも力を入れているそうですね。

前院長の高橋先生は、お子さんが好きでしたから、学校に行けなくなってしまった、外に出られず引きこもっているなどの悩みを抱える小学生から高校生までのお子さんたちのメンタルケアにあたられてきました。こうしたお子さんには、精神疾患のほかにもさまざまな原因が考えられますので、焦らずに治療にあたっていくことが重要になります。投薬治療のほかに、専門の臨床心理士がカウンセリングなどを行い、お子さん一人ひとりに合わせた最善の方法を探っていきます。

心の病を抱える現代人を50年間見つめて

精神医学に長年携わってきたお立場から、心の病を抱える患者さんの状況をどのようにご覧になっていますか?

土居通哉院長 医療法人社団仁恕会 メンタルクリニックいたばし5

最近は、「夜眠れない」「夫婦げんかで家庭内がぎくしゃくしている」「子どもが言うことをきかない」など、日常の悩みからクリニックを受診する方が増えました。これは、気軽に相談ができるメンタルクリニックが増えたことと、クリニックを受診するハードルが下がっていることが理由だと思います。僕がこの世界に入った50年ほど前は、このようなメンタルクリニックは日本にほとんどなく、精神病院といえば入院患者が専門の病院でした。また、心に悩みを抱える方が増えているのは、私自身は核家族化と少子化が進んだ結果だと考えています。現代の子どもたちは大家族やたくさんのきょうだいの中で生活しなくなり、学校や社会に出た時、思い通りにいかなくなることが多くなってしまったからではないでしょうか。本来なら、子どもの頃からいろんな対人関係を体験し、複雑な人間関係で苦労する必要があるのではないかと考えています。

メンタルクリニックに来る患者さんの診察にあたる時、どのようなことを心がけていますか。

患者さんには、「あるがままの自分の姿を認めてください」「あなたは自分なりに努力されているのですから、それで十分です」とお伝えしたいですね。例えば、うつ病の患者さんは自己評価が低く、「自分はダメだ」「自分は必要とされていない」と思い込んでしまいがちです。でも実際は、本人がそう思い込んでいるだけで、ご本人に非はありません。どんな人も日常生活を一生懸命送っているのですから、「自分は素晴らしい存在だ」「自分はこれでいいのだ」と思うことが大切です。患者さんが心の健康を取り戻し、快適な社会生活が送れるように、私たちがお手伝いできればと考えています。

生きづらさや心の悩みを抱えている方は、どのように自分の症状と付き合っていけばいいのでしょうか。

土居通哉院長 医療法人社団仁恕会 メンタルクリニックいたばし6

私は「遊び」が大事だと考えています。頭が良いから、お金がたくさんあるから幸せになれるのではありません。日常生活を楽しみ、遊びを取り入れていけば、心の健康は保たれると思います。「健康とは使い果たすことができる資本金のようなものではない。健康とは人生の一瞬一瞬において生み出されていくものである。一瞬一瞬の産出の場のみ健康はある」。これはドイツの哲学者の言葉ですが、すでに悩みを抱えていらっしゃる方には、人生の一瞬一瞬に、「遊び心」を忘れないでとお伝えしたいですね。

自由診療費用の目安

自由診療とは

遊戯療法/一般 1回6000円(45分)、小学生以下 1回3000円(45分)

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