薬では治療できない「粉瘤」
放置せず、小さいうちに外科的処置を
三鷹はなふさ皮膚科
(三鷹市/三鷹駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
顔や手足、体に突然表れる「できもの」は気になるもの。しかし「治療したいけれど、何科に相談すればいいのかわからない」「皮膚科で聞いてみたけれど、うちでは無理と言われた」など、困った経験のある人も多いのではないだろうか。そんな思いに応えるために、花房火月先生が皮膚外科の診療を行う「三鷹はなふさ皮膚科」をオープンしたのは2013年のこと。「患者さん一人ひとりにじっくり向き合う診療」をポリシーとし、他4院のグループ院を含めて特に皮膚腫瘍と抗加齢医学に力を入れる。「外見で悩んでいる方の力になりたい」と話す花房院長に、皮膚の良性腫瘍の代表である「粉瘤(ふんりゅう)」の治療について話を聞いた。
(取材日2018年12月5日)
目次
でき得る限り低侵襲かつ痛くない手術で、外見上の悩みを解決する
- Q粉瘤(ふんりゅう)とはどのような病気なのでしょうか?
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A
▲事前に丁寧な診察を行う
皮膚の中に皮膚に似た成分の袋ができてしまう病気で、最もよく見られる皮膚腫瘍です。老若男女関係なく誰にでもできる可能性があり、また顔や足の裏、背中など全身どこにでもできます。盛り上がった皮膚の真ん中に開口部(小さな穴)があるのが特徴で、色は通常の皮膚と同じ肌色ですが、開口部周辺が黒くちょっと透けたように見えることもあります。最初は直径5mmほどで痛みもありませんが、治療せずに放置すると徐々に大きくなり、直径10cmや15cmほどになって痛みを伴うこともあるのが特徴です。
- Q粉瘤ができる原因は何でしょうか?
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A
▲適切な検査・診断・治療をめざす同院
毛穴から発生することが多いと言われており、イボウイルスが関係しているもの、外傷が関係している場合があるのはわかっていますが、多くのケースで発症原因は不明です。ですから、効果的な予防法もわかっていません。外傷によるものとしては、例えばピアスを開けている人は、何度も繰り返しピアスを刺すことで皮膚の表面の表皮成分が皮膚の真皮層に移植されてしまい、それが粉瘤の原因になると言われています。ただ、このような粉瘤は全体のほんの一部。基本的に予防法はありませんので、できてしまったら小さいうちに治すのが一番ですね。なお、一度に発症するのは1ヵ所か2ヵ所で、1回なったからまたなりやすいというわけでもありません。
- Q粉瘤を放置するとどうなりますか?
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A
▲粉瘤の治療に研鑽の深い花房院長
粉瘤はほぼ自己完治することはないと言われています。放置すると大きくなり、皮膚の内部に脱落した古い角質や皮脂がたまることで悪臭の原因になったり、袋が中で破裂して炎症を起こし、痛みや腫れ、膿が出るなどの症状を引き起こすことがあります。粉瘤は小さくても薬では治せず、治療は外科手術によるしかありません。この手術には2種類の方法があり、粉瘤の大きさが5cmを超えているか否かによって適している術式が異なります。粉瘤が小さいと手術の傷は小さくて済み、また術後の縫合が必要ないケースがほとんどなので、放置せずにできれば小さいうちに治すことをお勧めします。
- Q2種類あるという治療法について教えてください。
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A
▲手術室。日帰りで行う
粉瘤はサイズが小さくても薬では治せないので、基本的に外科手術となります。粉瘤の大きさが5mm~5cm未満の場合は、「くりぬき法」といって、皮膚に小さい穴を開けてそこから袋ごと吸い出す方法を行うのが一般的です。傷痕が小さくて済み、術後の縫合が不要な場合が多いので抜糸の手間がかからず、皮膚の中で炎症が起きている場合にもできるなど、この術式には多くのメリットがあります。ただ、粉瘤の大きさが5cm以上だとくりぬき法は行えず、その場合は木の葉の形に切開した後、袋を取り出し、また元どおり縫合するという従来の術式になります。どちらも保険診療で受けることができる治療です。
- Q手術はどのような流れで行われるのですか?
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A
▲熟練した花房院長による手術
まず診断をして病気や治療法について説明し、患者さんが手術に同意した場合に手術となります。所要時間は、当院の場合5分から長くても20分ほど。局所麻酔を使いますが、振動を利用した痛み緩和テクニックや針の太さを吟味することによって、できる限り痛くないように工夫しています。麻酔は2時間ほど続きますが、手術が終われば家に戻って、通常どおりの生活を送っていただいて構いません。ただ、当日はお酒を飲むのは控え、術後1週間は激しい運動や手術部分を湯船につけるのは避けたほうが良いでしょう。なお、洗顔やシャワーは翌日から可能です。