比嘉 正祐 院長の独自取材記事
三鷹痛みのクリニック
(三鷹市/三鷹駅)
最終更新日:2025/12/16
三鷹駅の南口改札を降りてすぐ、中央通り沿いのビル5階に位置する「三鷹痛みのクリニック」は、神経ブロック治療を中心に、腰下肢痛・三叉神経痛・がん性疼痛・帯状疱疹後神経痛など、幅広い疾患に伴う痛みの緩和・改善をめざしている。院長を務める比嘉正祐先生は、数多くの病院に勤め、救急の前線で麻酔科医として働いてきたという経歴の持ち主。より患者と近い場所で痛みの治療をしたいという思いから、ペインクリニック科医として2002年に開業した。同院では患者の悩みに真髄に向き合いつつ、ペインクリニックを学びたい医師を導く指導者としての役目も果たす。ペインクリニック科医になってから35年近く、地域だけでなく国内のペインクリニック普及のため奔走してきた比嘉院長に、同院の特徴や今後の展望について尋ねた。
(取材日2025年11月12日)
ペインクリニックの担い手を育成する指導者として尽力
数多くある診療科の中でもペインクリニック科を選ばれたのはなぜですか?

僕の母が神経疾患で、身動きもできないような強い痛みに苦しんでいる姿を見ていたので、痛みに苦しむ人を助ける医師になりたいと思いました。また、僕が医師になった当時は集中治療というのがなく、麻酔科の技術が集中治療と救命救急の治療に対応しており、すぐに患者さんを助けられる立場に魅力を感じました。集中治療と救命救急部が普及し、私は集中治療と麻酔科の仕事を行うようになりました。その後、痛みの診療をしたいと考えるようになり、麻酔のテクニックを生かした治療を行うペインクリニック科を選択しました。麻酔科は手術時の麻酔治療や、緊急時の気道確保や循環系を安定させて蘇生術を行うなどの対応が多く、患者さんの病気と深く関わって診断することが少ないんです。僕は直接患者さんを診て、話を聞いて、痛みの原因を診断しながら治療をしたいと考えました。
この地域でクリニックを開業した経緯を教えてください。
大規模病院で働いていると、ペインクリニックの治療にしっかり取り組みたいと思っても、なかなか難しいことがあります。いろいろな制約がありますし、手術の麻酔も担当する役割があるので、両立が簡単ではないんです。それだったら地域で開業して、ペインクリニックを主軸にしていきたいと決意しました。開業先に三鷹を選んだのは、僕が勤めていた杏林大学に近いからです。杏林大学で診ていた患者さんを継続して診られる場所として、理想的でした。開業を決めたもう一つの理由は、ペインクリニックに興味のある医師が学べる環境を整えるためです。今も昔も、国内でペインクリニックを専門的に学ぶことができる場所は非常に少ないです。そのため、開業してから現在に至るまで、ペインクリニックを学びたい医師の受け入れを行っています。
国内でのペインクリニック普及に力を入れているのですね。

ペインクリニックの専門家が増えれば、もっと患者さんに質の良い治療を提供できます。現在、国内では麻酔科医が不足しており、麻酔科医に望むのは手術時の麻酔対応という病院がほとんどです。そのためペインクリニックに興味がある医師がいても、それを学ぶ環境が整っていないのが現状です。ペインクリニックは麻酔科とは少し違う領域なので、技術を磨くには専門的な勉強が必要になります。僕も数年前までは、月に2回ほど沖縄の病院に出向いて神経ブロック注射の診療や指導をしたり、ペインクリニックについて指導してほしいという病院に行ったりすることもありました。このクリニックは数少ないペインクリニックを学ぶ先として、これからもペインクリニックの発展に貢献していきたいですし、全国的にもっと専門的に学べる場所が増えてくれることを願っています。
鎮痛を図りリハビリテーションの効率や生活の質向上へ
クリニックではどのような治療を受けられますか?

当院では、つらい痛みがある方に神経ブロック治療など痛みを緩和するための治療を提供しています。特に多いのが腰下肢痛に対する治療です。腰下肢痛の原因である椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などは、手術の適応があると判断されても、その前に神経ブロック治療を試してみるのをお勧めしています。他にも帯状疱疹や首、肩の痛みの治療を行っています。最近ではエコーガイド下神経ブロックという、超音波を使って血管や神経を確認しながら注射をする方法もあり、安全性にも配慮した方法で魅力的です。
他の科とペインクリニック科との使い分け方について教えてください。
ペインクリニック科は、他の科で診断を受けて内服薬や外服薬を処方してもらっても症状が改善しない、痛みで生活やリハビリテーションが思うようにできない時などの場合に相談できる場所です。例えば慢性的な肩や腰の痛みは、運動指導を行う前に神経ブロックなどで痛みの緩和をめざします。痛みが和らげば、リハビリテーションの効率も上がりやすくなります。慢性的な肩や腰の痛みは、痛みが緩和してもその原因を解決しなければ意味がありません。改善には自分の体を支える筋力が重要で、運動指導が不可欠です。そのため当院では痛みの緩和と並行して運動を指導し、痛みの根本的な改善をめざしています。また、肩腱板損傷や五十肩、腱鞘炎などはエコーガイド下の神経ブロック治療が有用なので、悩まれている方は一度相談してほしいですね。
がんや帯状疱疹の痛みを緩和するためにも適した治療法と聞きました。

末期がんの患者さんは、がんの痛みで寝たきりなってしまったり外出がおっくうになってしまう方も少なくありません。そこで痛みを取り除くために、痛みを感じる神経を破壊していく。痛みがなければ体を動かすのが苦痛でなくなり、穏やかな日常を手に入れることができます。痛みを改善することで体と心に活気が戻れば、余命と告げられた年月よりも長生きできるかもしれません。帯状疱疹は、発症後に神経痛が残ってしまうと後遺症として一生残ってしまう恐れがあります。しかし初期の段階で神経ブロックを行うことで、痛みの改善につながる場合もあるので、悩まれている方は早めに相談するのをお勧めします。がんの痛みや帯状疱疹後神経痛だけでなく、痛みで日常生活を思うように送れなくなっている人が生活の質を取り戻すための手段として、ペインクリニックを利用してください。
痛みを我慢せず、気軽な気持ちで相談してほしい
麻酔と聞くと、痛みやリスクなどで怖い印象を持っている人もいるのではないでしょうか?

初めは怖がる方もいらっしゃると思います。ペインクリニックは麻酔薬を扱うので、クリニック側がリスク管理を怠ると、重大な事故に至る恐れがあります。そのため当院はリスク管理を徹底し、治療後にしっかり休んでいただけるベッドを用意。血圧や酸素濃度を測るためのモニターや、いつでも点滴を確保できる環境を整えています。徹底したリスク管理を通して、患者さんに気軽な気持ちで受診いただけるクリニックをめざしています。また、神経ブロックの治療にかかる時間や痛みは、医師の技術や経験に大きく左右されます。僕は麻酔科医としての経験も豊富で、硬膜外ブロック治療が得意だと自負しており、2~3分で治療が完了します。硬膜外ブロック治療は50年間治療方法に変化はないのですが、数多くの症例をこなさないと技術はなかなか上達しないです。当院に在籍する医師も高い技術を持った医師ばかりですので、安心してご利用いただきたいです。
お忙しい毎日をお過ごしかと思いますが、趣味やリフレッシュ方法を教えてください。
休日はテニスを楽しんでいます。医師になる前、スポーツは見るのが専門だったんです。でも、麻酔科医として大規模病院に在籍していた頃、長時間や徹夜での手術が多く、体力づくりの一環で運動を始めました。テニスも医師になってから始めたのですが、楽しさに目覚めてずっと続いています。週に2回くらいはレッスンをしていて、年に1回は三鷹で行われているテニスの大会に医師仲間たちと参加もしているんですよ。時間があれば、もっとゲームに挑戦したいですね。
読者へのメッセージをお願いします。

頭・肩・首・腰など、全身のどこかが痛くて生活に支障が出ているなら、ぜひ一度相談してください。特に急性期の痛みに関しては、早期に治療をしたほうがより早い回復をめざせます。ちょっとした痛みでも、痛みがゼロに近づくことでパフォーマンスが向上したり、リハビリテーションの効率が上がったりするのなら、受診する価値があると思います。麻酔の治療だからとハードルを感じる必要はなく、本当に気軽に受診していただきたいです。

