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春口洋昭 院長の独自取材記事

飯田橋 春口クリニック

(千代田区/飯田橋駅)

最終更新日:2020/04/01

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JR総武線飯田橋駅から徒歩5分の「飯田橋 春口クリニック」。血液透析療法において血液の出入り口となる部分、“バスキュラーアクセス(シャント)”の作製からケアまでに対応する、専門性の高い診療所だ。にぎやかな大通りから少し外れたエリアに建つビルの2階にクリニックはある。院内に入ると、待合室はゆったりとした落ち着いた空間。カーペットの深い色合いと、壁や受け付けカウンターの明るく柔らかな風合いが上手くバランスしている。廊下や診療室内もさっぱりとしていて清々しい。「不安を抱えていらっしゃる患者様の気持ちをできるだけ和らげられるように、内装は明るくしました。安心できる雰囲気づくりに努めています」と、柔和な笑顔で説明してくれた春口洋昭院長。医院の特色から診療ポリシー、さらにはプライベートに至るまでを、じっくりとお聞きしてきた。
(取材日2014年1月21日)

“バスキュラーアクセス(シャント)”のケアに特化した専門性の高いクリニック

クリニックの特色から教えてください。

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血液透析療法を行うために、血液を抜き出したり戻す出入り口の役割である、“バスキュラーアクセス(シャント)”をケアすることに特化していることが特色です。シャントは何年かすると、使えなくなったり狭くなったり等々、問題が起きることがあります。それに対しての診療を行います。透析を行う医療機関では、手術室がない、またはシャントのケアに慣れた医師がいない等の理由で、対応できないケースが多いんです。当院はそれらの医療機関と連携しながら、検査と治療を担います。初回の作製にも対応します。シャントにトラブルが出るかどうかは、人によってさまざまですね。30年間何も問題が起きない方もいらっしゃいますし、半年で狭くなってしまうケースもあります。これには、糖尿病や動脈硬化など、他のご病気をお持ちかどうかでも変わってきます。

開業に至った経緯を教えてください。

2006年に開業しました。47歳だったのですが、その頃になって急に、開業しようという意識が芽生えてきて。それ以前は東京女子医科大学病院に勤務していて、ふと、この先もそこで自分のやりたいことをやっていけるのかと考えるようになりまして。独立するなら年齢的にも体力的にも40代の今のうちではないかと思い立ちました。自分が1番得意とすることを、しかも新しい形で始めたいと思い、“バスキュラーアクセス”に特化したクリニックをやろうと決心しました。ちょうどその1年ほど前に、知り合いの大阪の先生がそのようなクリニックを開いていて、それに触発された部分もありますね。私がやって成り立つかどうかは未知数でしたが、チャレンジしてみたかったのです。

いざ開業してみて、どうでしたか?

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すべてが手探りでしたし、上手く回って行くか不安も大きかったです。ですので当初は、内科も外科も診る総合診療所的なスタイルを取りました。風邪の方、血圧をコントロールしたい方、ちょっとしたケガの方などなど、いろいろな患者さんを受け入れて。でも有り難いことに半年後くらいには、“バスキュラーアクセス”の患者さんのほうが多くなりました。需要があったのですね。それから徐々に特化した形へと移行させていきました。最初に意識したのは、断らないことと、上手にケアをして満足して帰っていただくこと。それを繰り返すことで、信頼を得ていければと考えたのです。

試行錯誤を繰り返しながら効率化を進め、ニーズにしっかりと対応

軌道に乗ったと思えたのは、いつ頃でしたか?

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開業から2年くらい経った頃です。需要があるという手応えは半年くらいで感じ取れたのですが、その後もいろいろな部分で手探りの状態が続きました。もっとも難しかったのは、どこまでの手術を受け入れるべきなのか、その見極めでしたね。例えば侵襲の大きな手術の場合は、術後に入院設備のある病院にお送りすることになります。しかしそれは患者さんへの負担が大きいんです。なので今はお受けしていないのですが、当初は患者さんが当院での手術を望まれるのであれば、お引き受けしていました。比較的大がかりな手術が増えますので、毎日、夜の8時、9時くらいまで終わりませんでした。結果、疲れが溜まり、私自身が体調を崩してしまい……。次には、手術をほぼお断りして、PTAという、皮膚切開を伴わないバルーンで血管を広げる治療方法のみとしてみました。そうしたら、患者さんの数が減ってしまって。どのようにバランスを取っていくべきか、2年以上試行錯誤が続きましたね。

最近ではどのようにされていますか?

私自身もスタッフも経験則が積み上がってきましたので、いろいろと効率化を図ることができています。手術が夜間にまでおよぶこともほとんどなくなりました。1つだった手術室を2つに増やしたことも功を奏しています。手術と準備を同時進行で進められますから。あと、週に1度はもう1人非常勤の医師に手伝ってもらって、2つの手術を並行して進めています。スタッフのスキルも上がって、準備が早いんですよ。なので、私の休憩時間が短くなりました(笑)。スタッフには助けられていますね。大変な時期も協力してくれましたし感謝しています。ただ、現在でも悩んでいる部分もあります、予約が詰まりがちなんです。緊急性の高い患者さんが来られても対応できるように多少のマージンを持たせているのですが、それを使い切ってしまう日のほうが多いんです。需要に対して供給が足りていない印象があります。当クリニックのような専門的な医療機関が、もっと増えてもいいのかな、と感じています。

開業以前のご経験をお聞かせください。

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鹿児島大学医学部を卒業後は、東京女子医科大学病院の腎臓外科に入局しました。学生の頃から泌尿器科系に興味を持っていたんです。当時はまだマイナーな分野で、でもこれから発展していくんだろうなと感じていました。東京女子医大は当時、腎臓医療において先を行っていたんです。まだ始まったばかりの腎移植や透析を両方やっていましたし。そういった話を研修先の先生にお聞きして、そこで働いてみたいと考えたのです。最初の6年くらいは研修的な期間で、他の病院に出て経験を積ませていただきました。当時の経験が医師としてのベースになっていますね。忙しい病院でしたので、鍛えられました。その後は大学病院に戻り、腎臓外科、泌尿器科、腎移植、肝移植、人工臓器の診療・研究に従事しました。そして最後の7、8年に“バスキュラーアクセス”を専門的に診るようになったのです。

“バスキュラーアクセス”は命綱。だからこそそれを大事に

医師になろうと思ったきっかけを教えてください。

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高校3年生になって初めて医師になろうと考えたのですが、親類に医師が多く、それが影響したのかもしれません。最初は理学部や工学部を目指していたのですが、私が通学していたのがいわゆる進学校で、そこは1学年のうち半数近くが東大に入るような高校でした。周りに凄い人がごろごろしていて、物理や化学、数学などをこの先学んでいっても、彼らには追いつけないと感じていたんです。でも医学だったら大学に入ってからいちからのスタートですから、太刀打ちできるんじゃないかと。職業としての興味よりも学問として興味が沸いたんです。いざ医学部をめざそうと思った時、自分の中でしっくりきました。違和感はなく、むしろ意欲が沸いてきました。

リフレッシュ法を教えてください。

ギターを弾くことですかね。音楽が好きなんですよ。クラシックからポップスまでなんでも聴きます。クラシックギターを習っています。とは言っても演奏するのは必ずしもクラシックとは限っていなくて、ポピュラー音楽だったり幅広いんです。何かレパートリーがあるわけではないのですが(笑)。あとは散歩ですね。住まいが市ヶ谷なのですが、神楽坂が好きでよく行きます。書店を覗いたり、喫茶店でコーヒーを飲みながら原稿を書いたり、書籍の企画を練ったり。

著作もお持ちなんですよね?

編集に関わったものが5冊、執筆したものが2冊あります。1冊を除いてすべて独立後に出版しています。独立した後に最初に出した本は、超音波を使った“バスキュラーアクセス”の診療方法を解説するテキストです。この治療方法はまだそれほどメジャーではなくて、いろいろな方がそれぞれのやり方でやっていて、数値の取り方等ばらばらだったり……。それを体系化したいと考えて企画しました。出版社に持ち込んで何社かには断られたのですが、1社、興味を示してくださって。出版に携われるのは楽しいですね。今後も、医療現場で必要とされる本を企画できたらいいです。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

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“バスキュラーアクセス”は、血液透析療法を受けている方々の命綱です。だからこそ皆さん、それを大事にされています。それに対して、我々が少しでもお役に立てればと思います。何か異変を感じたら、早めにご相談していただきたいです。早期に治療を行えば、大事にならないで済むはずです。気になることがなくても、定期的に来ていただけたらより安心ですね。人工透析を行っている病院としっかりと連携を取りながら、的確に丁寧に、そして持てる力の限り精一杯、診療にあたっていきたいと思っています。

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