トイレが近い、尿が漏れる
頻尿の悩みは泌尿器科へ
中央みなとクリニック
(中央区/築地駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
年齢を重ねていくにつれて男女ともに増える「尿が近い」、「尿が漏れる」などの排尿障害。加齢によるものだから仕方がないと考える人や、デリケートな症状に対する恥ずかしさから受診をためらう人も多いようだ。また、泌尿器科が他の診療科に比べてなじみがあまりないことも受診のハードルを高くしている面もあるようだ。「中央みなとクリニック」で泌尿器科診療を担当する田代康次郎先生は「排尿障害は命には関わらないことが多いですが、毎日の生活の質に大きく関わります。適切に治療をしていくことで改善が見込めることは多いので、ぜひ泌尿器科を受診してほしい」と語る。そこで田代先生に、頻尿の原因や治療、泌尿器科で行う検査などについて取材した。「おしっこの悩み」がある人はぜひ参考にしてほしい。
(取材日2021年4月5日)
目次
快適な毎日を送るためにも頻尿は諦めたり、ためらったりせず泌尿器科を受診しよう
- Q頻尿とは、1日に何回ぐらいトイレに行く状態なのでしょう?
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A
▲泌尿器科診療を担当する田代先生
一般的には、日中の排尿回数が8回以上、夜間は2回以上あれば頻尿といえます。ただし尿量は水分の摂取量などによって変わりますし、1日の排尿回数には個人差がありますので、患者さん本人が「尿が近くて困る」と感じれば頻尿です。原因は多様で、多いのは自分の意志とは関係なく膀胱が収縮する過活動膀胱、排尿後に膀胱の中に尿が残る残尿、尿の量が多い多尿など。尿路感染症、前立腺肥大症、前立腺がんや膀胱がん、急性前立腺炎、慢性前立腺炎、尿を出したいのに出せず、少しずつ漏れる状態の溢流性尿失禁、そして糖尿病などの病気が関係することもあります。水分を過度に摂取して排尿量が増える多尿でも排尿回数も増えて頻尿が発生します。
- Q 女性の頻尿は、どのような症状や原因が多いのですか。
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A
▲柔和な笑顔の田代先生は、デリケートな悩みも話しやすい
まず多いのは、過活動膀胱ですね。これは膀胱の収縮活動がコントロールを失って、たまった尿の量が少ない段階から尿意が頻発される症状です。それにより、頻尿はもちろんのこと、急な尿意に襲われる尿意切迫感や尿意をこらえきれずに漏らす切迫性尿失禁が起こります。妊娠や出産を経験した女性に多い腹圧性尿失禁も起こる混合性尿失禁になることもあります。また膀胱炎も多いですね。女性は尿道が短く、大腸菌などの腸内細菌が膀胱まで簡単に到達しやすいため、膀胱炎が起こりやすいのです。症状は頻尿、排尿痛、尿の濁りなどで、残尿感や血尿などが現れることもあります。発熱がある場合には腎盂腎炎の可能性があるので注意が必要です。
- Q男性の頻尿は、どのような症状や原因が多いのですか。
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A
▲前立腺肥大により過活動膀胱になることも
男性の場合は、誰でも40代ぐらいから前立腺の肥大が起こります。これは病気というより、加齢による体の変化と言ったほうがいいかもしれません。前立腺が大きくなると尿道を圧迫し、頻尿になったり、尿が出にくくなって排尿に時間がかかったりします。こうした排尿障害が進行すると、排尿後も膀胱内に尿が残る残尿という状態が起こるようになります。残った尿の影響で次の尿意が通常よりも早いタイミングでもたらされるようになり、膀胱が過敏になり過活動膀胱となることもあります。過活動膀胱は、加齢とともに増え、70代以上では男女とも3人に1人がかかっていると考えられます。
- Q泌尿器科ではどのような検査や診察を行うか、気になります。
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A
▲泌尿器科は問診や尿検査や超音波検査などで診断
泌尿器科の受診は、女性や若い方だけでなく、高齢男性でも「抵抗がある」「恥ずかしい」と思われる方が多いようです。しかし泌尿器科で、陰部の視診や触診を行うことはあまりないのです。問診と尿検査、超音波検査、採血などで多くの症状は診断可能ですので、ほとんど下着を脱ぐ必要はありません。男性の場合で前立腺の大きさを診る超音波検査を行う際も、下着を少しずらしてもらう程度です。当院では、女性の残尿を確認するための超音波検査の際は、必ず女性スタッフが検査を行うように配慮しています。頻尿や尿失禁の背景に、がんなどが隠れていることもありますから、気になる症状がある時は泌尿器科を受診していただきたいですね。
- Q頻尿と診断されたら、どんな治療を行いますか?
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A
▲受診することにより頻尿の裏に隠された病気がみつかることも
過活動膀胱や前立腺肥大症などによる頻尿の治療には、膀胱の異常な収縮を抑える薬などを使う薬物療法を中心にいくつかの方法があり、原因や症状などに応じて適切なものが選択されます。また尿意がきても我慢して、膀胱にためる尿の量を徐々に増やしていく行動療法が行われることもあります。当院では、病状を客観的に評価するために排尿の回数や時間、尿量などを記録する排尿日誌をつけてもらい、また定期的に精密な検査も行い、患者さん自身に状態を把握していただくことにも力を入れています。頻尿の原因が、糖尿病や尿崩症、精神的なストレスによる心因性多飲症などである場合は、原因に応じた適切な治療や対処をする必要があります。