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骨は大事な臓器の一つ
骨粗しょう症治療の進め方

中央みなとクリニック

(中央区/築地駅)

最終更新日:2021/10/12

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  • 保険診療

骨細胞のバランスが崩れることにより、自覚症状がないまま進行してしまう「骨粗しょう症」。閉経を迎える40代から50代の女性を中心に注意が必要な病気だ。患者への負担がほとんどない検査で診断できるため、「中央みなとクリニック」の岡本怜士先生は、閉経後は一度は骨粗しょう症の検査を受けることを推奨している。「骨は大事な臓器の一つです。骨粗しょう症になると、患者さんのQOL(生活の質)に影響を及ぼします。健康寿命を延ばすためにも、多くの方に骨粗しょう症のことをきちんと知っていただきたいですね」と語る岡本先生に、骨粗しょう症の特徴や患者層、検査や治療方法について詳しく聞いた。

(取材日2021年3月30日)

健康寿命を延ばすために、負担の少ない骨粗しょう症治療を続けることが大事

Q骨粗しょう症とはどのような病気ですか?
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▲骨芽細胞と破骨細胞とのバランスが崩れて起こる骨粗しょう症

骨粗しょう症というと、カルシウムが減ってしまう病気だと思われがちですが、実際はそうではありません。骨には骨を作る細胞「骨芽細胞」と、古くなった骨を壊す細胞「破骨細胞」があり、そのバランスが崩れてしまうことで骨粗しょう症が引き起こされます。例えば、老化に伴って破骨細胞の数が増加し、必要な骨までスカスカに壊してしまった状態が、それにあたります。細胞のバランスは自覚症状がないまま崩れていきますので、ほかの病気の検査でエックス線写真を撮った際に骨粗しょう症だと発覚するケースも珍しくありません。一般的に、エックス線検査では骨密度が高くて問題のない骨は白く、スカスカでもろくなった骨は暗く写ります。

Q骨粗しょう症になりやすい人の特徴は何でしょう?
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▲「骨は大事な臓器の一つ」だと話す岡本先生

特に多いのは、40代から50代の女性です。閉経後にエストロゲンという女性ホルモンが減少することが影響を及ぼし、骨の細胞バランスを崩してしまうケースがよくあります。骨がどんどん弱くなってしまうんですね。また、男性の場合は発症年齢がさらに遅く、50代、60代からは注意が必要です。というのも、女性よりも数は少ないですが、加齢とともに骨の細胞バランスが崩れやすくなる恐れがあるんです。ちなみに、骨粗しょう症は遺伝的要素や極端なダイエットなどの生活習慣よりも、ホルモンバランスの乱れのほうが要因としては大きいと考えられています。

Q受診のタイミングや検査方法について詳しく教えてください。
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▲患者にほとんど負担のかからない検査で診断される

骨粗しょう症は初期段階では自覚症状がないため、検査を受ける患者さんは区の検査などで骨に異常が見つかって受診される方がほとんどです。とはいえ、女性の方は閉経のタイミングで一度検査していただくことをお勧めします。主な検査は骨密度検査・腰のエックス線検査・血液検査の3つですが、いずれも患者さんに大きな負担がかかるものではありません。特に骨密度と腰の検査は、画像を撮るだけで骨の強度などがすぐにわかります。血液検査では骨芽細胞と破骨細胞のバランスを測定します。特殊な検査なので、結果が出るまで1週間程度かかるのが特徴です。また、骨粗しょう症と診断された後も、半年に1回は必ず検査をして経過観察を行います。

Q骨粗しょう症と診断された場合、どのような治療を行いますか?
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▲骨粗しょう症の治療は長期にわたる。負担の少ない治療の選択を

骨粗しょう症の薬は、飲み薬から注射剤までたくさんの種類があります。そのため、患者さんの骨密度や血液検査の結果などを考慮し、医師が患者さんに適した治療を選択していくことになります。例えば、一般には飲み薬の服用から始めるケースが多いのですが、症状が進んだ重症の患者さんの場合は、最初から注射剤の治療を行うことも。注射の頻度は毎日や週2回、月1回、年1回などさまざまで、中にはご自身で行っていただくものもあります。基本的にこれらの治療は保険診療ですが、回数がかさむと経済的に負担がかかることは否めません。骨粗しょう症とは長い付き合いになりますので、負担の少ない治療を選ぶことが大切です。

Q予防のために、日頃から気をつけるべきことなどはありますか?
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▲カルシウムの摂取と適度な運動を心がけよう

骨粗しょう症は細胞の病気であり、カルシウム不足が原因ではありませんが、小魚などカルシウムを積極的に摂取することは治療の補助になります。また、骨粗しょう症を予防するためには、食事よりも運動のほうが大事です。なぜなら、骨は適度に負荷をかけないと、どんどん弱くなってしまうからです。宇宙飛行士が宇宙に1ヵ月間滞在すると、かなり骨が弱くなって帰ってくるといいますよね。1日30分程度でも結構なので、平地をお散歩するだけで予防につなげることができます。ゆっくりでよいので歩いていただけたらと思います。ちなみに、水の中は腰に負担がかかりませんので、可能な方はプールもお勧めです。

ドクターからのメッセージ

岡本 怜士先生

骨粗しょう症は、痛くもかゆくもない病気です。誰かに指摘してもらわないと、治療を開始することはできません。しかし、人間が楽しく健康でいられる時間である”健康寿命”を延ばすためにも、骨粗しょう症を意識することは大切です。自覚症状がないまま進行し、最悪の場合、背骨が折れると寝たきりになってしまいます。骨も大事な臓器の一つであり、一度折れてしまうと形が変わったり、腰が曲がってしまったりと、いろんな病気のもとになることを知っていただきたいですね。特に、女性は閉経後しばらくしたら一度は骨粗しょう症の検査を受けてください。医師から話を聞くだけでも、意識が変わると思います。

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