山川 智之 院長の独自取材記事
山川クリニック
(杉並区/方南町駅)
最終更新日:2022/07/20

東京メトロ丸ノ内線・方南町駅から環七通り右側を南に徒歩7分、大型マンションの地下1階で2009年から診療している「山川クリニック」。2021年より2代目院長を務める山川智之先生は、大学院で骨粗しょう症研究に取り組み、大学病院や基幹病院の整形外科で多くの患者と向き合ってきた。その経験から「骨折してからでは遅い」と危機感を持ち、予防にも力を入れる方針だ。そんな山川院長の亡き父であり、地域医療への貢献として、内科・外科・皮膚科と幅広く診療してきた先代院長。その遺志を継ぎ、地域のホームドクターとして患者と築いてきた信頼関係を大切にしながら、さらに専門的な治療を行う体制を整えている。
(取材日2022年6月21日)
整形外科を中心に診療科を広げ、地域医療に役立ちたい
クリニックの歴史をお聞かせください。

当院は、私の父である先代の院長が2009年にこの地に開業したクリニックです。入居しているビルの建て替えのため一時的に近くへ移転し、2015年にはまた同じ場所に戻って診療を続けてきました。父の専門は消化器外科でしたが、地域のホームドクターとして整形外科・内科・外科・皮膚科をカバーしていました。また、がんの早期発見・早期治療にも力を入れ、丁寧な検査と患者さんにしっかり向き合う診療スタイルで、近隣の患者さんに親しまれてきました。その父が膵臓がんで亡くなり、私が院長に就任したのが2021年3月のことでした。
お父さまから院長を引き継がれて1年ほどなんですね。
父に対する信頼の言葉は、いまだに多くの患者さんがお話しくださいます。私の知らなかった父の姿を知る度に、改めて尊敬の念を抱きますし、父が築いた患者さんや地域との信頼関係を大切にしたい気持ちを新たにします。ロゴマークに描かれたヨットは父が大好きだったもので、海をイメージした内装もそのままです。父の志を受け継いで、地域のホームドクターとして幅広く対応したいという思いは変わりません。診療科ごとに別々の医療機関にかかると、あちこちから薬を出されて大変な量になる場合もあります。大きな病院でも、高血圧は循環器内科、腰痛は整形外科、ケガは外科と、通院が1日がかりになってしまうという現状もあります。当院では必ず私が診察し、当院でできる治療はここで行い、専門的な治療が必要と判断すれば適切な医療機関を紹介しています。
先生のご専門について教えてください。
勤務医時代と大学院時代を通じて整形外科医として働いてきましたので、この分野では専門性の高い診断や治療ができます。私が院長の職を継いでから、骨粗しょう症の検査・治療に力を入れるため、専用の医療機器も導入しました。また、超音波検査機器も整形外科用のものを新たに入れました。骨粗しょう症の診断を受けた患者さんは国内に数多くいるともいわれていますが「骨密度の検査を受けたことがない」という方も多く、実際の患者数はそれ以上と思われます。また、私が医師になった時代には、各科を回って学ぶ研修医制度ができました。消化器内科・神経内科・糖尿病内科・救急科などを回り、各分野の専門の先生から直接学んで臨床経験を積み、広い知識を得ることができました。当院においても、各分野の医療レベルの向上を図りながら、これまで以上に患者さんに安心してもらえるよう努めています。
勤務医時代や大学院でのご経験についても教えてください。

昭和大学を卒業後、同大学病院で研修医を経験し、整形外科に入局しました。整形外科の患者さんは痛みを抱えて来院されるのですが、退院する時は笑顔です。治療を受けて患者さんが笑顔になっていくこと、手術の結果が目に見えることにやりがいを感じ、専門に選びました。大学病院では股関節・脊髄・手・膝と専門的に学び、虎の門病院に移ってからは人工関節や外傷治療を行いました。その後は大学院で骨粗しょう症の研究を行い、骨を吸収する働きのある細胞の新しい遺伝子の解析を行いました。鹿児島県のいまきいれ総合病院に移ってからは、当直の時など内科・外科に関わらず診療にあたりました。忙しい日々でしたが、現在の診療に大いに役立っています。
理学療法士を加えたチーム医療で、回復までスムーズに
先生が院長になってから、機材以外にも新しくされたことはありますか。

2022年の5月から、念願だった理学療法士によるリハビリテーションを開始しました。リハビリを行うためには、基準に合った設備と理学療法士の両方が必要で、整形外科とは切り離せない、大切な役割なのです。例えば骨折の手術をした場合、骨が固まるまで患者さんは動けませんから、その部位の機能が著しく衰えていきます。手術をしたら終わりではなく、骨折前により近づけるよう機能を取り戻すのが目標です。手術をしていない人でも、リハビリテーションは機能改善のための大きな力になります。自分で動かせない人、自分でできるけどやり方がわからないという人も少なくありませんから、理学療法士と私で情報を共有し、患者さんそれぞれに合わせて、スムーズにをサポートできる体制を整えています。
リハビリテーションの対象になるのはどのような人ですか。

骨折でもヘルニアでも、内容に関わらず手術をした方はほぼ全員とお考えください。手術をしていない人でも、投薬などの医学的治療と並行してリハビリを行うことがありますし、再発の恐れがある人も、条件はありますが対象になります。例えば足首の捻挫だと、歩き方の癖やスポーツなどの理由で、捻挫しやすくなっている方もいます。特に高齢の方では、動かさないと悪い形のまま固まりやすくなります。理学療法士は患者さんの姿勢や動作の特徴を見て、リハビリを進めていきます。対象となる場合を具体的な例で挙げると、骨折の手術、膝や肘の関節に関わる手術、腰部脊柱管狭窄症の手術などで、年齢は関係なく対象になります。他院で手術した方のリハビリも受け入れていますので、例えば手術をした先生のところに経過観察でたまに通院して、普段は通いやすい当院でリハビリをされるというのも可能です。
骨粗しょう症予防に力を入れて、骨折を未然に防ぎたい
診療の際に心がけていることはありますか?

患者さんの話をしっかり聞くことです。基本的なことかもしれませんが、患者さんのお顔を見て診療するように心がけています。カルテばかり見て言葉だけで対応しては、伝わらないこともありますからね。また患者さん自身が気づいていない不調にも気づけるよう気を配っています。例えば患者さんの訴えが膝の痛みだったとしても、会話や診察の中で皮膚や内科的なところで違和感を覚えることがあります。特に高齢になると病気があちこちに生じてきますから、整形外科・内科・外科・皮膚科を併せて診療できる当院の特性を生かし、コミュニケーションを大切に、患者さんの健康状態を見逃さないようにしています。また、エックス検査での画像結果は模型を使って患者さんにもイメージしやすいように説明を行っております。
スタッフとの連携についても教えてください。
父の代から長年勤務しているスタッフが多く、コミュニケーションに長けたスタッフばかりです。こまめな換気や消毒できちんと衛生管理がされているのも、スタッフの活躍あってこそです。私も勤務医時代とは違い経営面にも気を配らなくてはいけないため、医療事務についてはスタッフに教わり、クリニックの運営や接遇についてのヒントももらいました。逆に私からは、整形外科に関する専門的な情報を共有し、みんなで知識を高め合っています。母校である昭和大学の理念の一つである「チーム医療」を実践し、全員で力を合わせて、これからも質の高い医療と居心地の良いクリニックづくりに努力していきたいです。
最後に読者へメッセージをお願いします。

これまでも力を入れてきた生活習慣病の予防・治療に加え、今後はさらに骨粗しょう症の予防と早期発見、治療を組み合わせていきたいと考えています。また、各種機材の導入とリハビリテーションの開始で、治療だけでなく予防も視野に入れた対応が可能となりました。骨粗しょう症に自覚症状はほぼありませんが、骨折してから気がつくのでは遅いのです。女性ならば閉経後、男性ならば還暦を迎えたら、定期的に骨密度を測りましょう。地域の皆さんの健康のため、当院でも今後は、骨折やケガをしないための体作りに力を入れていきます。生活習慣病など内科治療を一緒に進められるのも当院の特徴です。薬の飲み合わせや他の疾患の治療状況も考えながら、一人ひとりに適切な健康管理をしています。お気軽にご相談ください。