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大人の難治性喘息発症予防のためにも
発作ゼロ状態のきめ細やかな長期管理が大切

医療法人社団厚洋会 長田こどもクリニック

(杉並区/荻窪駅)

最終更新日:2016/01/24

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小児アレルギーの代表的な疾患のひとつである「小児喘息」。突然起こる発作に、日々大きな不安を抱えて過ごす方も少なくないだろう。かつては「喘息持ち」とも言われ、度重なる発作も「仕方ない」と思われることの多かった病気だが、現在は発症のメカニズムも解明。効果的な治療法によって「治る病気」へと変わりつつあるという。そんな喘息治療の最前線について、アレルギーをご専門とし、現在も大学病院の専門外来で診療を担当する「長田こどもクリニック」の長田厚院長にお話を伺った。 (取材日2013年2月13日)

喘息発作は急性の病気ではなく、長期管理が必要な慢性のアレルギー疾患。「無症状状態」の維持が何より大切

Q喘息はどのような病気で、なぜ起こってしまうのでしょう?
A
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▲清潔に保たれた広々とした診察室

肺の中の空気の通り道を「気道」と呼びますが、その気道が狭窄して細くなり、息苦しくなったり咳が止まらなくなることを「喘息」と呼びます。では、どのようにして気道が狭くなるかというと、(1)気道を取り囲む筋肉が収縮して細くなる、(2)気道内側の粘膜が腫れる、(3)腫れた粘膜から痰が出る、の3つの現象が組み合わさった時。とくに小児喘息はアトピー型と呼ばれるものが多く、特定の遺伝的要因に、ダニ、ハウスダスト、花粉、カビ、動物のフケなどのアレルゲン、風邪などの感染症、身近にタバコを吸われる方がいらっしゃる場合には受動喫煙などの環境因子が合わさって発症することが多いです。

Q小児喘息を発症しやすい人や時期、環境はありますか?
A
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▲丁寧に分かりやすく説明してくれる長田厚院長

残念ながら遺伝的要因が強いので、家族に花粉症やアトピー性皮膚炎などアレルギーの病気のある方がいらっしゃると発症しやすいですね。発症の平均年齢は2.5歳で3歳までに80%が発症。医学的理由は明確ではありませんが、5月〜梅雨明け、台風シーズン〜秋雨あけまでの時期に発作が起こりやすい傾向にあります。環境的には受動喫煙や花火、蚊取り線香、香水などによる空気汚染、排気ガス、硫黄酸化物、窒素酸化物、オゾンなどによる大気汚染が発作を誘発すると考えられています。また、アレルゲンの吸入が最も重要な因子であることは間違いなく、とくに室内においてはハウスダストやダニ、カビなどの温床となる敷き詰めのじゅうたん、遮光カーテン、布製ソファ、ぬいぐるみなどが環境改善のターゲットになります。

Qどのような治療をすればいいのでしょう?
A
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▲吸入スペースでは、処置を受ける子ども達をまわりでキャラクター達が応援してくれる

(1)起こってしまった発作の治療、(2)喘息を起こりにくくするための長期管理、の2つに分けられます。(1)に関しては気管支を取り巻く筋肉の収縮を緩める作用のある飲み薬、吸入薬、貼り薬を必要に応じて使い分けます。ただ「喘息を治す」という意味で最も重要になってくるのが(2)の治療。コントローラーと呼ばれる長期管理薬を服用することで、喘息発作の起こらない無症状状態を維持するのです。代表的なコントローラーは、副作用が少なく比較的安心して使える「ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)」、一番強力な抗炎症作用を持つのがステロイド吸入薬です。ステロイドは小児用導入後、喘息死がほぼゼロになるなどの高い有効性が認められていますが、近年、低身長など副作用の報告も。使用期間についてはきめ細やかな対応が必要です。

Q長期治療をどのくらい続ければ治るのですか?
A
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▲通院が楽しくなるように院内には子ども達が来たくなるような工夫がいっぱい

どんな病気も再発の可能性を秘めているため、医師が「完治」という言葉を使うことは滅多にありません。ただ長期管理した結果、薬も使わず無治療・無症状の「喘息が治ったような状態」を維持できて「寛解(かんかい)」している方がほとんどです。治療期間は重症度や経過によって違うため一概には言えませんが、中等症の喘息が治療に対して順調に経過した場合、3ヵ月ごとに治療をステップダウンできたと仮定して、1年ぐらいになると思います。長期管理を始め、発作が起こらなくなると「なぜ元気なのに薬の飲ませなければならないのか」と必ず疑問に思うでしょう。でもそこで頑張って治療を続けないと目の前にあったはずのゴールが遠のいてしまいます。そのことをご理解いただきたいですね。

Qもし治療せずに放っておいたらどうなってしまうのでしょう?
A
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▲呼吸器・アレルギーの専門的な治療が受けられる

もちろん、そのまま治る方もいらっしゃいますが、かなり危険な賭けだと思います。治療の未発達だった1980年代後半までは国内20歳以下の喘息死が年間約200人というデータもありますし、近年、喘息による慢性の炎症が放置されると軽症でも気管支粘膜が変性してしまうと判明。そうなるともう元には戻らず、成人型喘息や難治性喘息への移行確立が確実に高まってしまうんです。ですから、「元気に通学できる」といったお子さんの今のQOLを上げるだけでなく、大人の難治性喘息を減らすためにも、小児喘息を放置せず、きちんと治療することが大切なんです。

ドクターからのメッセージ

長田 厚院長

治療の発達した現在、「喘息持ち」という言葉はなくなりつつあります。しかし残念ながら、例えば気管支拡張作用のある貼り薬を濫用するなどの「いい加減な治療」が目立つのも事実。そういう誤った治療はぜひとも避けていただきたいですね。とにかく「発作のたびに治す治療」ではゴールは見えて来ません。「発作が起こらないようコントロールする治療」はちょっとだけ根気が必要ですが、重症化する前に運動管理や環境整備を含め、きめ細やかな発作予防策を立てていくことをお勧めしたいです。喘息発作の引き金はさまざまです。ちょっとしたカゼにしか見えないお鼻の炎症であったり、学校の運動会や持久走大会の練習であったり、そのあたりにも配慮しつつ、丁寧に診てくれるクリニックと出会うことも大切だと思います。

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