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長田 厚 院長の独自取材記事

医療法人社団厚洋会 長田こどもクリニック

(杉並区/荻窪駅)

最終更新日:2019/08/28

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南荻窪の閑静な町並みのなかに、しっくりと馴染むように佇む「長田こどもクリニック」。扉の向こうに広がるのは、思わず歓声をあげたくなってしまうほどかわいらしい空間。大きな窓からは明るい日差しがさんさんと差し込み、ゆったりと温かな雰囲気が漂う。「帰りたくないと思ってもらえるようなクリニックを心がけたんですよ」と、穏やかな微笑みを浮かべるのは、長田厚院長。優しいお人柄がにじみ出たような素敵な笑顔と心地よい響きの口調に、思わず、ホッと心も和んでくる。喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を専門として長く大学病院などに勤務。その確かな診断と豊富な経験を頼りに、遠方から足を運ぶ患者も多いという。「子育ては人生最良の経験。ぜひ、思い切り楽しんでほしい」と熱く語る長田院長に、日々の診療で感じる思いやご専門のアレルギー治療のこと、医師を志した理由やご自身の子育て経験などプライベートなお話まで、たっぷりと語っていただいた。

(取材日2013年2月13日)

「帰りたくない!」楽しく通えるクリニックでアレルギー疾患に高い専門性を生かしつつ診療

本当に明るく楽しい雰囲気のクリニックですね。

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ありがとうございます。2000年のリニューアル時、いかに病院らしくなく、「帰りたくない!」と子どもたちに思ってもらえるにはどうしたらいいか考えたんですよ。当院はアレルギー専門のため、どうしても長期治療が必要になるお子さんもいらっしゃる。何度も足を運んでいただくなら、できるだけ楽しく通えたらいいでしょう?待合室の壁紙やおもちゃもこだわって選びましたし、大きな窓からは日の光がいっぱい入り、春はモッコウバラ、夏はゴーヤのグリーンカーテンを楽しんでいただくこともできて、とても温かく明るい雰囲気になったのではないかと思いますね。院内の間取りにもこだわりがあって、例えば、待合室は通常の風邪などの患者さん用、アレルギー疾患・予防注射など感染症のない患者さん用、そして伝染病の患者さんに入っていただく完全隔離室と3室をご用意。さらに、いつでも僕の目がきちんと届くよう診察室と処置室の仕切りも設けていません。「ここなら通える」と喜んでくださるお子さん、親御さんも多く、とてもうれしく思っています。当院はもともと1969年に父が「長田小児科」として開業。僕は1995年から診療をはじめ、2001年に院長を引き継ぎました。もう長く通ってくださる方も多く、親子3世代にわたってかかりつけという方も大勢いらして。それも信頼していただけているからこそと、本当にありがたく思いながら、日々、診療にあたっています。

ご専門の喘息やアトピーなどアレルギー症状で来院される患者さんが多いのですか?

専門性を求めて来る方、通常の診療でいらっしゃる方が半数くらいずつというかんじでしょうか。専門性を求めて来院される方のなかには埼玉や千葉といった遠方から足を運んでくださる方ももいらっしゃいます。アレルギーの病気って、ヨーロッパのガイドラインによれば、まず重要なのが「頻回なフォローアップ」。例えば、喘息は日々の気管支や呼吸音の変化、からだの様子などをきちんとピックアップして、喘息のスイッチを押すものをコントロールしていくことが大事なんです。どれだけ有名な医師に診てもらっていたとしても、それが数ヶ月に1回の頻度であったなら意味がないんです。それで、ご両親ともお仕事されているお子さんでも定期的に安心して通っていただけるよう、週3日は夜9時までの夜間診療もずっと続けているんです。以前、夜間診療の時間に、横浜市にお住まいの方が急な発作を起こしたお子さんを連れていらしたことがありました。よく話を伺ったら「タクシーの運転手さんが『喘息ならいいところを知っている』と、ここに連れてきてくれた」とのことで。頑張っていてよかったと実感し、「医者冥利につきるなあ」と心から思いましたね。

やはりアレルギーの治療は長期にわたってしまうのでしょうか?

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そうですね。例えば喘息の場合、長期管理の目的は「学校を休まない」「元気に体育ができる」といった、お子さんの「今のQOL」を上げること。でも、それは目先の問題です。小さい時に気管支の粘膜が変性してしまうともう元には戻らず、それが大人の難治性喘息につながっていってしまうので、僕ら小児呼吸器科医の考える一番の目的は「大人の難治性喘息を減らしたい」というところにあるんですよ。今、とてもいい薬がたくさん出ているので、きちんと服用していると発作も起きず、「なぜ元気な子に薬を飲ませないといけないの?」と感じるときが必ずやってきます。そうすると、せっかく治療を始めても、ついおろそかにしてしまうんですよね。実は、僕の下の子も喘息で。「きちんと管理しなければ」とわかってはいたものの、発作が出れば薬も吸入も身近にあるという環境にあったので、なんとなくそのまま、非常に不真面目な治療をしていたわけです。それが真面目に治療を始めたとたんすっかりよくなりました。治療の大切さも実感しましたが、もっと実体験できたのは「やっぱり途中でさぼるよね」というところだったんですよ。ですから、親御さんの気持ちもとてもよくわかる。この話をすると、お母さんたちもホッとされるんですけどね(笑)。でも、発作が起きた時に薬を飲み、途中でやめて……の繰り返しが一番損なパターン。そのことを、みなさんにご理解いただけたらと思いますね。

子どもたちの成長に寄り添えるのが小児科医の醍醐味と実感

先生はずっと医師を志していらしたのですか?

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いいえ、休日も深夜も関係なく診療していた父を見て育ちましたからね。まったく思っていなかったんですよ(笑)。父は、例えば家族旅行に行く時でさえ、週末最後に診た患者さんの連絡先を全部メモして旅先から「こうしたほうがいい」と指示を出していたような根っからの医者。本当に忙しくしていたのですが、僕は「父親」というより「人間」として魅力を感じていたのでしょうね。高校3年生の時、慶応大学工学部に推薦が決まっていたものの、なんとなく「後を継いであげなければ」という思いになったんです。それに医師は「人に喜んでもらえる」ということが実感として肌で感じられる仕事。本当に、ただの一度も「医師になれ」とか、ましてや「小児科医になれ」なんて言われたことはなかったんですが、だからこそ自然に「進みたい」と思うようになったのかもしれません。今は小児科医になって、本当によかったと思っています。だって、子どもってとにかくかわいいじゃないですか。長い人生、これから楽しい出来事にたくさん出会う小さな命を助けるのって、ものすごくすばらしい。大きなやりがいも感じています。ここで診療を始めて17年も経つと、昔診ていたお子さんが、もう自分のお子さんを連れていらっしゃる時代になっているんですよね(笑)。とくにアレルギー疾患のあるお子さんとは長いお付き合いになるもの。一歩一歩、発育成長していく過程をずっと拝見できるのは小児科医の醍醐味でもあると思っています。

同じ小児科医となり、お父様から何かアドバイスなどはあったのでしょうか?

それも残念ながら、まったくありませんでした(笑)。7年ほど一緒に診療もしていたんですが、午前中が父で、午後から僕という感じでしたしね。父の診療姿を見たこともなく、「こうしたほうがいい」「こんなふうに親御さんと話すのがいい」といった話も、ただの一度もしたことはなかったです。どうも父は、僕のことをライバルだと思っていたようです。父はものすごく勉強家で、82歳まで大学病院の外来に勉強しに行き、アップデートを続けていたような人。当院のこだわりでもある3つの待合室も、実は父の代からのスタイルなんです。診察を受ける方と終えられた方が、診察室をぐるりと円形で回る動線も父のアイディアでしたし。それを近代化したのが今のクリニックなんです。今思うと、無意識のうちに僕も影響を受け、大きな刺激になっていたんでしょうね。いまだに北里大学の外来に毎週診療に行っているんですが、これもきっと父の影響かもしれません。

診療する上で一番心がけていらっしゃるのはどのようなことでしょう?

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小児科はお子さんを診るところですが、大事なのは親御さんとの関係。みなさん、小児科に安心をもらいに来るのですから、そこにお応えしなければいけないと思っています。きちんと診るのはもちろん、一番注力しているのは「どうお話したら理解していただきやすいかな」というところ。あとで「しまった!」と思うのは、親御さんへの説明の道筋を誤ったのではないかと思う時なんですよ。「ああいう説明ではなく、こういう説明の仕方をしてさしあげれば、もっとご理解いただけたのではないか」といったようにね。同じ説明をするにしても、親御さんの心配の程度を考慮して、軽くお話して安心させてあげたほうがいいのか、理路整然と科学的に説明してあげたほうがいいのか、その判断を誤ってしまっては、その後の治療にも影響が出てきてしまう。極端に言えば言葉遣いひとつとっても違ってきてしまいますから、本当に日本語ひとつの選び方も大事だと感じています。

人生最良の経験「子育て」を思い切り楽しんでほしい

診療のほかに、「育児相談」もされているそうですね。

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はい。乳幼児の親御さんを対象に、完全予約制でゆっくりお話を伺っています。病気や発達のことだけでなく普段の生活の中での心配事など、気軽にご相談いただける時間なんですよ。今、身近に相談できる人がいないという方も多い上に、インターネットの普及でいろいろと誤った情報も氾濫していますよね。根拠のない話も活字になると、まるで本当のことのように信じられてしまう。とくにアトピー性皮膚炎に関しては「これを制限すれば治る」「ステロイド剤は使うな」といった極端なものもあり、敏感になりすぎている親御さんが大勢いらっしゃいます。医療のアップデートは日々進んでいて、例えばアトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係など、ここ10数年で大きく変化していますから、そういう最新の情報をきちんとお伝えしつつ、僕自身、一男一女の子育てを楽しんだ経験を交え、どんなささいな悩みでもサポートしてさしあげたいと思っています。とにかくね、子育てって決して大変じゃないんですよ。今、子育て真っ最中で、ましてやアレルギーがあるとそんなふうに思えないかもしれませんが、子育てが終わりになってくると「こんなにすばらしいものだったんだ」って思います。リビングで子どもがわいわい騒いでいるのって本当に幸せなこと。僕の子どもたちは成人してしまい、今は妻と二人のさびしいリビングですから(笑)。日々、痛感しているところです(笑)。

先生とお話していると「子育ては楽しい!」と思えてきます。

そうでしょう(笑)。病気にきちんと向き合っていただくには、子育てがいかに楽しいかわかっていただくことが一番大切。そこがベースにないと「病気が敵」という発想だけでどうしても息切れしてしまい、病院に通うのも楽しくなくなってしまうと思うんです。でもご理解いただけると、治療にも真面目に取り組んでくださるようになりますから。みなさんにしっかりお伝えしていきたいところですね。僕の子育ては子どもたちと一緒に仲良く、気楽に、思う存分楽しんできました。叱るという意識も場面もなかったですし、一度も「勉強しなさい」と言ったこともありませんでした。でも、だからといって好き勝手にさせていたわけではなく、子ども自身が自分で進むべき道を選択する指針となる考え方を学んでほしいと思い接してきたんです。「それはダメ」「そんなことをしてはけない」ではなく「それってかっこ悪いよね」「ダサいと思うよ」と言うだけで、僕の思いを感じ取ってくれる。「こんなことをしたら親が悲しむだろうな」という意識を持ってくれているからなんでしょうが、そういう子育てって楽しいし気楽だと思うんですよ。親に余裕がなければ、それもできないはず。とにかく肩の力を抜いてリラックスして、お子さんとのかけがえのない時間を楽しんでいただきたいなあと思います。

お子さんの健康を守りつつ、明るく楽しく子育てに取り組んでいかれるよう読者にメッセージをお願いします。

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子育ては真剣にしなければいけないもの。ですから、ぜひ真剣に取り組んでいただきたいと思うんです。ただ、その真剣さは親の内面に向かっての真剣さであって、子どもに「真剣に丁寧に育てている」と伝わってしまってはいけないはず。ひとことで言えば、お子さんが神経質になってしまうし、家族というピラミッドのなかでお子さんが一番上にいるのでは、余裕のある、楽しい子育てができなくなってしまいますからね。そんな気づきのきっかけを、診療のなかでお伝えしていけたらうれしいです。僕が医師になってからもう30年。医学のアップデートのスピードは日々、早くなっていると実感します。これからも、きちんとそれについていきたいですし、今までと同じように、丁寧に真摯に、お子さん、親御さんと向き合っていきたい。そして、子どもを育てやすい、作りやすい社会のために何ができるか、子どもたちが安心して暮らしていかれる社会にするにはどうしたらいいか考え続けていこうと思います。とにかく、人生最良の体験である「子育て」を、思い切り楽しんでほしい。そのために、今後も精一杯、努力していきたいです。

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