近藤 喬 院長、近藤 亜未 副院長の独自取材記事
近藤クリニック
(杉並区/西荻窪駅)
最終更新日:2025/02/19

西荻窪の住宅街の一角にある「近藤クリニック」。1989年の開院以来、地域に根差した診療を続ける近藤喬院長は、専門である消化器疾患の他、生活習慣病や慢性疾患、がんや心筋梗塞、脳梗塞などの退院後のフォロー、皮膚疾患の初期治療に至るまで、幅広い診療で地域医療を支えている。地域のかかりつけ医として「患者さんの話をじっくり聞いて、悩みや疑問を解消し、必要とされるときに力になれる医院でありたい」と話す喬院長を頼り、長年通う患者も多い。2021年2月には婦人科を新設。喬院長の娘で、日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医の近藤亜未副院長が加わり、新たなスタートを切った。それぞれの専門性を生かしながら、親子二人三脚で診療を行う両先生に話を聞いた。
(取材日2024年12月10日)
地域に根差したクリニックが婦人科を新設
クリニックの特徴について教えてください。

【喬院長】大学3年生の頃から住み、愛着のある西荻窪にクリニックを開業したのが1989年です。以来、患者さんにとって「頼りがいのあるクリニック」をめざして、この地で診療を続けてきました。私の専門である消化器疾患では、病気の早期発見・早期治療と、患者さんへの負担軽減を目的に、痛みや苦痛の少ない経鼻内視鏡検査をいち早く取り入れてきました。専門以外でも肛門周辺のお悩み、水虫やうおのめ、たこなどの皮膚疾患など、自分にできる範囲で柔軟な対応を心がけています。私が一番大切にしているのは、患者さんの話をしっかり伺い、患者さんが納得のいく治療を提供できるよう努めることです。当院は看護師や受付など、長く勤めてくれているスタッフが多く、地域の皆さんの健康管理のお役に立てるよう、明るく丁寧な対応を全員が心がけています。
2021年2月には婦人科を新設されました。
【亜未副院長】私は婦人科腫瘍専門で、大学病院などで女性特有のがんや腫瘍などの手術に多く携わってきました。もともと手術が好きで、仕事のやりがいも感じていたのですが、自分自身の子育てに向き合う中で、仕事と子育ての両立が難しくなっていきました。術後、片時も目が離せないがん患者さんのケアと子育ての両立の難しさに悩んでいた時に、両親から「開業という道もあるよ」とアドバイスを受け、ここで婦人科診療をスタートすることに決めました。診療を始めたばかりの頃は、当院で婦人科を診療していることはあまり知られていなかったのですが、婦人科の看板を表に出すようになって、最近ようやく浸透してきたように感じます。
婦人科の特徴についてもお聞かせください。

【亜未副院長】婦人科って、どの年代の方でも「なんとなく行きにくい」「できれば行きたくない」というイメージがあると思うんです。そのため、何か気になることがあってもつい後回しになり、結局受診しないまま過ごしている方も多いのではないでしょうか。婦人科疾患は初期の症状に気づきづらい場合が多く、症状が出た時にはすでにかなり進行していることも多く、早期発見・早期治療という意味でも「通いやすさ」がとても大切です。当院は「病院に行くほどではないけれど、気になるからちょっと相談してみよう」と気軽に足を運んでもらえるクリニックをめざしています。
患者の気持ちに寄り添い、がん検診をより身近に
婦人科と内科は、待合室が別になっているのですね。

【亜未副院長】クリニックの改装にあたり、私が一番こだわったのが「通いやすさ」と院内の「居心地の良さ」です。婦人科の待合室は内科とは雰囲気の違う、温かみのある落ち着いたピンクの壁紙を選び、待合室に入った瞬間からリラックスできるような工夫を施しています。診察や検査を前に緊張されている方も多いので、リラックスできる音楽を流すなど、心地良くお過ごしいただける空間づくりをめざしました。婦人科の診察室とは別に内診室があり、内診台、超音波診断装置、横になって診察ができるベッドを設置しています。杉並区・中野区の子宮頸がん検診はもちろん、検診後の精密検査も院内で行っています。子宮頸がん検診で異常がみられた場合に行う精密検査では、子宮頸部をコルポスコープという拡大鏡を用いて観察し、子宮頸がんの前がん病変である子宮頸部異形成の確認をします。
力を入れている診療はありますか?
【亜未副院長】これまで婦人科腫瘍をメインに診療してきたこともあり、がんの早期発見・早期治療のため、がん検診には力を入れています。以前に比べると、子宮頸がん検診の受診率は上がっていますが、初めて受ける方にとっては戸惑いも多いと思います。そういった方も気軽に受けてみようと思ってもらえる場に、当院がなれたらいいなと思っています。子宮頸がん検診は2年に1回の受診が推奨されていますが、年1回ぐらいは受けたほうが安心だと思っています。また、子宮頸がんの検査とともに、超音波検査で子宮や卵巣の検査をすることも大切です。卵巣の疾患は症状に気づきづらく、腫れていても自覚症状がないことも多いです。1度に検査を受けたほうが患者さんの負担も軽減できるので、当院では同時受診をお勧めしています。
学生や若い世代の受診も増えていると伺いました。

【亜未副院長】最近多いのが、中学生や高校生からの月経痛やPMS(月経前症候群)に関する相談です。特に、受験に備えて月経痛やPMSをもっと楽にしたい、もしくはコントロールしたいという学生さんが増えています。受験の1年くらい前に相談していただければ、痛み止めやピルを処方し、月経中や月経前後の不調を軽くすることが可能です。受験に限らず、普段から月経痛やPMSがひどく、通学や勉強に影響が出ているという生徒さんについても、我慢せずに早めに相談してほしいと思います。また、私はスポーツをする人の診療や、スポーツによる怪我の治療についても専門的に学びましたので、月経中の体の重さや月経不順、栄養バランスなど、部活動に取り組む学生さんや女性アスリートの皆さんが抱えるトラブルに関しても、相談にいらしてほしいですね。
内科も婦人科も、相談しやすさと安心感が信条
診療の際、心がけていることを教えてください。

【亜未副院長】患者さんの中には、産婦人科の内診台が怖いという方や、カーテン越しに何が行われているのかわからず不安、という方が多くいらっしゃると思います。また、毎年子宮頸がんや子宮体がんの検査を受けていても、何のための検査かわからないまま、なんとなく受けてしまっている方も少なくありません。ですから、診察の際にはこれからどのような検査をするのか、またそれがなんのためのものなのかを丁寧にご説明します。患者さんご自身にも診察や検査の内容を理解していただくことで不安を減らし、定期的な受診につなげてもらいたい、そう思っています。
亜未副院長が医師を志したのはやはり喬院長の影響が大きかったのですか?
【亜未副院長】実は職業として医師を意識したのは、高校3年生になってからなんです。進路選択で自分は将来何をしたいのかと真剣に考えた時に、真っ先に頭に浮かんだのは、地域の方に信頼されて、地域医療に力を注ぐ父の姿でした。父は内科に進んでほしかったのではないかと思うのですが、産婦人科を選んだ私を、何も言わずに受け入れてくれました。
【喬院長】私も麻酔科で博士号を取ったものの、好きな消化器外科の道に転向するなど、自分の好きなことをやってきたので、娘も自分の選んだ道を歩んでほしいと思ったのです。ですから、まさか娘と一緒に診療する日がくるとは思ってもいませんでした。今は、私が娘から学ぶこともありますし、診療科が違うからこそけんかをせずに、仲良くやっていけるので、専門が別でかえって良かったと思っています(笑)。
最後に、地域の皆さんにメッセージをお願いします。

【喬院長】これまでと変わらず、何でも相談できるかかりつけ医であり続けたいと思っています。高齢になって通院が難しい方には往診でも対応していますし、病院との医療連携においては、信頼できる医師かどうか私自身がしっかり判断してご紹介するなど、今後も地元の皆さんにとって頼れるクリニックをめざして、丁寧な医療を提供していきたいですね。
【亜未副院長】患者さんが疑問や困り事を、気兼ねなく話せるクリニックでありたいと思っています。勇気を出して1回来てもらった後に、「次もまた行ってみよう」と思ってもらえるのが理想ですね。近藤クリニックといえば内科のイメージが強いかもしれませんが、この近くには女子大学もありますので、相談しやすい婦人科ができたことをもっと多くの女性に知っていただきたいです。