体への負担が軽く、日帰りが可能
手掌多汗症の内視鏡手術治療
四谷メディカルキューブ
(千代田区/四ツ谷駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
手掌多汗症で悩む人たちは、ただの「汗っかき」と決めつけられ、他人に理解されず、悩みを抱えたまま年齢を重ねる人は多い。「緊張すると手汗がひどく、テスト用紙がクシャクシャで問題に集中できない」「手の汗が気になって、恋人と手をつなぐことができない」「マッサージ師の仕事を始めたいけど、汗で濡れた手が、相手を不快にさせてしまうかも」。これはその一例だ。しかし、現在、保険診療で日帰りでの内視鏡手術による外科的治療が可能になっているという。「四谷メディカルキューブ」の黒川良望院長に、手術のメリットとデメリット、手術するかどうかの判断について、詳しく話を聞いた。
(取材日2016年4月7日)
目次
悩みの大きさと生活の不自由さ、そして、手術によるメリットとデメリットを踏まえて判断を
- Q手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)とは、どんな病気ですか?
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A
多汗症は、代謝を活性化させる交感神経の機能が過剰に働いて、異常なほどの発汗をする疾患です。特に手のひらからの汗が日常生活に支障をきたすほど出てしまうものを手掌多汗症と言い、手汗(てあせ)と呼ぶこともあります。手掌多汗症は基本的に生まれつきの疾患で、治療しない限り、一生続きます。いわゆる「汗っかき」は、高温で多湿のときに全身で汗をかくことです。多汗症は、手と足、わきなどの一部に異常な汗をかくという点において異なり、本人にとっては大きな悩みとなります。
- Q手掌多汗症には、どのような治療方法がありますか?
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A
一般的には、心身療法、薬物療法、イオントフォレーシスという治療がありますが、どれも手掌多汗症の根治には至らず、繰り返し治療が必要となるケースが多いようです。当院では、内視鏡手術による胸部交感神経遮断手術という、背骨の脇にある交感神経幹の一部を切る手術を行っています。従来は大きく胸を開ける必要があり、治すことができても、傷痕が大きく残るので、手術へのハードルが高い治療方法でした。しかし、現在は内視鏡手術によって、傷の大きさは2、3ミリほどとなり、手術も10分ほどで終わります。保険が適用される手術です。
- Q手掌多汗症における内視鏡手術の特徴について教えてください。
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A
内視鏡手術だと傷が小さく、短い時間で手術ができますので、患者さんの身体的負担が軽いことが大きな特徴と言えます。したがって、手術当日に帰宅できますし、翌日から普段どおりの生活に戻ることができます。特別に生活を制限するようなことは、ほとんどありません。
- Q神経を切るのは、少し不安に感じますが、副作用はありますか?
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A
交感神経幹を切ることで筋肉が動きにくくなったり、皮膚感覚がなくなることはありません。術後は胸のあたりから腕、手の先までが、普通の人の手になったと感じられることが期待できます。ただし、この治療後、9割の人が術後に、おなか、背中、お尻、ふともも、ひざの裏などの汗が増えたと感じる代償性発汗を発症します。代償性発汗によって生活に不都合を感じる方は1~2%で、ほとんどの方は生活が改善につながったと感じるはずです。当然、治療の前にすべて説明し、患者さんの生活スタイルや職業、悩みの大きさを踏まえ、手術するか判断させていただきます。 術後は、3ヵ月後に経過を確認しています。お困りのことがあればご相談ください。
- Q手術後の痛みはあるのでしょうか?
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A
傷については、手術直後に少し痛みを感じる程度で、傷の痛みを訴える人は、ほとんどいらっしゃいません。大抵の場合、深呼吸や咳をすると、胸のあたりに少し痛みを感じます。これには理由があります。交感神経幹を切る際、肺を縮めて、器具を入れます。切った後に肺を膨らませるのですが、肺の表面と、肺を入れている肋骨で囲まれた内部の空間に、すき間がどうしてもできてしまいます。2、3日すると元どおりにぴったりくっつくのですが、それまでの間、深呼吸や咳をしたときに、激しくぶつかり、肋間神経を刺激して痛みを感じるのです。異常なことではありませんので、それにより、生活を制限するほどの不都合はありません。