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酒寄 享 院長の独自取材記事

酒寄医院

(品川区/立会川駅)

最終更新日:2021/10/12

酒寄享院長 酒寄医院 main

立会川駅から坂本竜馬の銅像が立つ商店街を抜け、5分ほど歩いた場所にある「酒寄医院」。開業から100年近く経つという同院には、何世代にもわたって家族ぐるみで通っている患者も多いという。「慣れ親しんだ地元で地域の皆さんを診るというスタイルが、医師としての理想像であり、ライフワークでもあると考えています」と温かく語る酒寄享院長。地元で生まれ育った、人情味あふれるドクターだ。勤務医時代に胸部外科で経験を積んだ後、内科に転局した経験を生かし、外科・内科双方の視点で的確に診断を行う。外来診療・在宅診療・小児医療を診療の3本柱に掲げ、地域包括ケアシステムの構築にも尽力する酒寄院長に、開業の経緯や医師をめざした理由、診療の際の心がけ、今後の展望など、幅広く聞いた。

(取材日2018年11月28日)

開業以来100年近くにわたり、地域に根差して診療

とても歴史あるクリニックなのですね。

酒寄享院長 酒寄医院1

祖父が開業してから、もう100年近くになります。私が父の後を継いでからも、30年以上が経ちました。生まれ育った町ですので、この地域にはなじみがありますね。私自身、祖父や父がそうであったように、「ここで医師をやって、ここで骨をうずめる」という生き方を踏襲すると思っていました。慣れ親しんだ地元で地域の皆さんを診るというスタイルが、医師としての理想像であり、ライフワークでもあると考えているんです。父から引き継ぐ際には、医院を建て替えました。院内はできるだけシンプルにして、どなたでも気兼ねなく通えるアットホームな雰囲気とするよう心がけましたね。おかげさまで何世代にもわたって家族ぐるみで通ってくださる方も大勢いらっしゃいます。

最初から医師をめざされたのですか?

祖父も父も医師でしたからね。はっきり「医師になるように」と言われたことはないのですが、周りもそういう雰囲気でしたので。「門前の小僧習わぬ経を読む」ということわざのように、自然と医師をめざしていました。杏林大学医学部では胸部外科を専門に学び、卒業後は付属病院の心臓血管外科で研鑽を積みました。その後、父の具合が悪くなり、こちらを継ぐことになったため、呼吸器疾患などを診る第一内科に転局したんです。実際に開腹手術をして臓器を目で見る外科と、外から音を聞く内科とでは大きなギャップがあります。しかし、胸部外科と呼吸器内科には関連もありますし、外科と内科両方を学んだことは自分自身にとってメリットが多いと感じていますね。

どんな患者さんがおみえになっていますか?

酒寄享院長 酒寄医院2

長年にわたり地域に密着した診療をしてきましたので、近隣にお住まいの方が多く来てくださいます。長くこの地に住んでいる患者さんも多く、ご高齢になられる方も増えてきましたね。そうしたニーズに対応できるよう、今年4月から週1回、神経内科を専門とする先生に来てもらっています。認知症に加え、パーキンソン病や多系統萎縮症など難治性の疾患の患者さんたちをケアしていきたいと考えているんです。開業医である以上、何でも診る必要があるのではないでしょうか。現在は医療の専門化が進んでいますが、私たちの世代は幅広く診るよう教えられてきました。自分で診ることが難しい疾患は、専門の先生に来てもらって診ていただけます。子どもから高齢者まで、ワンストップで診られる医院が理想ですね。

患者の個性や生活背景に合わせて適切にサポートする

認知症のケアにも力を入れているのですね。

酒寄享院長 酒寄医院3

在宅診療も含めて、認知症の患者さんのケアに力を入れています。患者さんの生活環境などをみて、適切なアドバイスをするよう心がけているんです。例えば、40代~50代ぐらいの働き盛りの方であれば、親御さんの介護と仕事の両立という面で悩みを抱えることがあるかもしれません。活用できる公的制度などいろいろとアドバイスできますので、早めに相談してほしいですね。また、毎週同じ曜日に来ていたご年配の方が違う曜日に来るようになったり、薬を飲み忘れるようになったりすることもあります。長く通っている方で家族構成なども知っていたら、「検査を受けてみてはどうですか?」とご家族にお伝えするようにしていますね。行政や医師会とも連携しつつ、サポート体制を構築していければいいですね。

生活習慣病の患者さんも多いようですね。

私は呼吸器を専門としてきましたので、肺疾患やぜんそくなど呼吸器系の疾患を得意としています。ただ患者さんの数としては、生活習慣病の方が多いですね。生活習慣病の患者さんには、「お酒を控えてください」「間食はやめましょう」など繰り返しお伝えするようにしています。「悪くなったら薬を服用すればいい」という考え方はやめてほしいのです。とはいえ、ご年配の糖尿病患者さんの中には、「食べることしか楽しみがない」と言われる方もいます。私としてはあまり薬を使いたくはないのですが、患者さんのお気持ちをくんだ治療を施すようにも心がけていますね。また、中には他の医療機関でたくさんの薬を処方されている方もいらっしゃいます。その方の状況に照らして、減薬させていただくこともありますね。

診療の際どんなことを心がけていますか?

酒寄享院長 酒寄医院4

すべての患者さんに対して、同じ接し方ではいけないと思うんです。率直に言ったほうがいい方もいれば、強く言い過ぎると落ち込んでしまう方もいらっしゃるでしょう。ですから、それぞれの患者さんの個性を把握するよう努めていますね。もちろん1回お会いしてすべてを把握できるわけではありませんが、話し方や雰囲気、家族関係などを知るとわかりやすくなるものです。たいていはお顔を拝見すると、芋づる式にいろいろ浮かんでくるんですよ(笑)。また雑談したりして、親しくなるようにも努めていますね。ただ、誰しも馬の合う人もいれば合わない人もいるものです。名医であっても、馬が合わなければ良い治療は受けられないかもしれません。本当に自分に合う医師を見つけることも大切なのではないでしょうか。

質の高い地域包括ケアシステムの構築にも尽力する

小児医療に対する取り組みについても教えていただけますか?

酒寄享院長 酒寄医院5

現在保育園の園医を務めており、月に1回0歳時の診察などを行っています。今年は13軒の保育園を回っていますね。病気になってからというより、病気を未然に防ぐことに力を入れていきたいのです。今年の年末には、それらの保育園の保育士さんを集めて忘年会を行う予定です。また、定期的に園長さんや看護師さんを集めて会議を行ったりもしていますね。そのようにして横のつながりをつくることで、互いに情報交換もできるのではないでしょうか。例えば、感染症が流行する時期に、「こちらの保育園ではこれがはやっている」「あちらの保育園ではあれがはやっている」とわかれば、その情報を園長さんや保育士さんから親御さんに発信できます。そんなネットワークをつくることができたらいいですね。

今後の展望をお聞かせください。

外来診療・在宅診療・小児医療が当院の3本柱です。継続的に質の高い医療を提供できるシステムを確立したいと思っています。今後、保育園のネットワーク化はもちろん、在宅診療にも力を入れていきたいですね。在宅診療は、地域包括ケアシステムと密接な関わりがあります。地域包括ケアのミクロな面では、それぞれの患者さんに関わる医師や看護師、薬剤師、ケアマネジャー、ヘルパーなどをいかにうまく機能させるかという課題があります。マクロな面では、患者さんの病状が悪化したときにすぐに入院できる体制を整えておくバッグベッド(後方支援病床)などが関係しています。行政や医師会と連携して、質の高い地域包括ケアシステムを構築することが私の願いです。

最後に読者に向けたメッセージをお願いします。

酒寄享院長 酒寄医院6

皆さまに、コンビニエンスストアのように気軽に出入りできる医療機関にしていきたいですね。また、診療はもちろん、さまざまな情報を患者さんに提供していきたいとも思っていますね。医療の情報ステーションとでもいいましょうか。技術を提供することはもちろん、情報を必要とされる方がいらっしゃれば、私たちが持っている情報を提供します。判断されるのは患者さんご自身ですが、良い判断が下せるようアドバイスもします。インターネットなどを通して得られるさまざまな情報に踊らされないようにすることも大切です。自分の主観だけで判断せず、客観的な視点を持つよう心がけてほしいですね。

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