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野本 恵子 副院長の独自取材記事

のもとデンタルクリニック

(品川区/西小山駅)

最終更新日:2021/10/12

野本恵子副院長 のもとデンタルクリニック main

「私の治療の原点は、母にある」と「のもとデンタルクリニック」の野本恵子先生は、精力的な活動を支える情熱の源をそう分析する。歯科疾患と全身疾患の関係に着目して口腔ケアの重要性を訴えるほか、疾患の治療にも影響しかねない歯ぎしりや食いしばりのケアについても力を注ぎ、治療困難とされたケースにも先進の知識と技術を生かして手を差し伸べてきた。「自信を持てば人は変わり、人生が変わる。その一助になるなら、それもまた医療である」という考えのもと、口腔内から始める全身疾患予防も提唱。「医療を通じて、一人ひとりの人生の助けになりたい」、ただその一念で現場に立ち続ける野本先生に、医療にかける思いを聞いた。

(取材日2020年2月13日)

先進の技術を取り入れ、特に食いしばりのケアに注力

まずは、先生の現在のご活動についてお聞かせください。

野本恵子副院長 のもとデンタルクリニック1

歯科医療の中でも、特に食いしばりや歯ぎしりのケア、また口元の審美回復という点に力を入れています。食いしばりや歯ぎしりは、物を噛むときに顎が痛い、歯や詰め物が欠けたり割れたりするといったさまざまな症状を引き起こしますが、なかなか改善できず悩んでいる方が少なくありません。当院では、先進の技術を取り入れ、他院で「歯を抜かないといけない。このままでは歯が割れる。」と言われ長年悩んでいる人たちにも、人生を楽しんでいただけるような治療やケアの提案に力を入れています。また、口腔疾患と全身疾患のつながりにも早くから着目し、適切な口腔ケアの必要性を訴えてきました。医科の先生方から学ぶとともに、患者さんの体全体の健康を考えた医療の提供に努めています。糖尿病、認知症などの疾患と歯周病との関係についても、独自に患者さん用の資料を作成したり、ボランティアで講師をしたりと、さまざまな取り組みをしているんですよ。

食いしばりについては、セカンドオピニオンでの来院も可能なのですか。

もちろんです。マウスピースや矯正をしたけど良くならない、という方には、ぜひ一度ご相談いただきたいと思います。せっかく自費で良質な詰め物をしたなら、長く持たせたいと誰でも思いますよね。生活の質を下げる肩こりや目の症状も、できることならなくしたいですよね。私にできるのは、そういう悩みを抱えている人に、新しい選択肢と可能性を示すことです。これまで試した治療法を含め、個別にじっくり状況とニーズをを伺って、一人ひとりにとってベストな治療をご提案できるようにしています。診療を終えた患者さんからメッセージをいただくたびに、「食いしばりを諦めないで」と多くの人に呼びかけたい気持ちになります。

食いしばりに力を入れるようになった理由を教えてください。

野本恵子副院長 のもとデンタルクリニック2

きっかけは、私が自信を持って作った技工物が、患者さんのお口の中でだんだんすり減っていくのを見たことです。患者さん自身も、詰め物が取れやすいとか、冠が割れた、すり減ったといった不具合を感じていらっしゃるようでした。そこで、いろいろと調べるうちに、原因が食いしばりや歯ぎしりにあることがわかったんです。噛む力が強すぎると、歯根破折だけでなく、歯槽膿漏などさまざまな疾患を引き起こします。詰め物の中で歯が割れるほど強く噛めば、当然ながら口周りの筋肉が緊張状態になり、毛細血管が圧迫され血流が悪化するので、肩こりや首のこりにつながったり、ひいては脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まったりする可能性もあるのです。最近ではアルツハイマー型認知症を歯周病菌が誘発・助長する、といった研究データもあり、食いしばりが体全体に与えかねない影響の大きさを知って、なんとかしなければという思いで方法を模索するようになりました。

母の死にまつわるできごとが、意識を大きく変えた

そこから、口腔疾患と全身疾患のつながりに興味を持たれるようになったのですね。

野本恵子副院長 のもとデンタルクリニック3

歯を食いしばるということは、血管をつぶしているということだと考えられます。血のめぐりが悪くなれば、体に影響が出るのは当然です。とはいえ、「歯を磨かないと歯周病になりますよ」と言うだけでは、患者さんに受け入れてもらうことはできません。まずは「磨くと口の中が気持ちいい」と感じてもらうことが大切だと思っています。気持ちがいいという実感があれば、自分でもやろうと思ってくれるでしょう。そういう実感が少しずつ、口内環境の改善につながっていけばうれしいですね。食いしばりの改善や、口腔環境を維持することの重要性を広く訴えなければという気持ちは、がんと闘った最愛の母を亡くしたことでより強まりました。母の死にまつわる出来事が、その後の私の医療の原点であり、情熱の源であるといっても過言ではありません。

お母さまが、身をもって先生に残してくれたものがあったということですか。

シングルマザーだった母は、私にたくさん愛情を注いで育ててくれました。その母ががんを患って入院してから、私はクリニックの診察後に病院へ受かって、毎日口腔内のケアをしていたのです。ずっとそばにいることがかなわない以上、それが歯科医師である私にできるすべてでした。抗がん剤の影響もあって免疫力が低下していた母に、ブラッシング、歯肉マッサージ、咀嚼筋マッサージ、口腔内リンパマッサージなどを行っていました。最期は緩和病棟に入院しながら、亡くなる10日前には外出許可をもらって大好きなお寿司を食べ、苦しむことなく旅立つことができたんです。看護師さんからは「病気の臭いも死臭もない。これほど穏やかな死は見たことがありません。一度も熱を出さずに、肺炎も起こさなかった。口腔ケアの重要性を改めて感じました」とお声がけいただきました。

後悔のない看取りができたのですね。

野本恵子副院長 のもとデンタルクリニック4

ただ一点心残りもあります。丁寧に口腔ケアをしていたにも関わらず母は入院中に歯根破折を起こし、感染症の危険性を鑑みて血液データが改善するまで抗がん剤の投与はできないと言われてしまったのです。入院中のストレスなのか、認知症の薬の影響で筋肉の収縮が強まったのか、それは今となってはわかりません。それでも、もう少し早く抗がん剤を投与できていたらと思うと、後悔してもしきれませんでした。当時、歯根破折を防ぐための治療法を持っていながら、医科の先生への遠慮があって言い出せなかったことも、後悔の理由の一つだったと思います。後々認知症の薬と食いしばりのケアは同時に行うことができると知って、その後悔はより強まりました。予防や治療をするかしないかは個人の自由ですが、「知っているけどやらない」と、「知らなくてやれなかった」とでは大きく違います。患者さんには、正しい知識をもとに正しいケアをしていただきたいと思います。

ボランティアで知った、個別治療の大切さ

更年期に対しても、ケアの重要性を訴えていらっしゃいますね。

野本恵子副院長 のもとデンタルクリニック5

歯と全身の関係を考える中で、更年期でホルモンバランスが崩れると歯肉炎になりやすいとされていることを知り、更年期に対してのプラセンタなどの効能について考えるようになりました。更年期をいかに乗り越えるかは、女性の人生に関わる重要な課題であり、歯の寿命を考える上でも非常に大切な分岐点だと考えています。一般的によく聞く更年期の不定愁訴がある方は、ぜひ一度歯科でも検診を受けてみてください。

お忙しい中、ボランティアにも力を注がれていると伺いました。

困っている人の力になりたい、誰かの助けになりたいという気持ちは昔からあって、ボランティア活動には積極的に参加していました。しだいに海外医療ボランテイアとして、歯科医師としての技術を生かせるボランティアも行うようになり、今では毎年歯科医師である娘とともにベトナムへ行っています。ベトナムでのボランティア活動では、先進の技術を駆使した医療が最善であるとは限らないということを知りました。次の歯科治療がいつになるかわからない環境では、残せる歯も抜歯しなければならないことがあります。その人の環境や状況に合った治療をすることの大切さを教えられた経験でした。以来、ボランティアには「させていただく」という気持ちで取り組んでいます。

最後に、患者さんにメッセージをお願いします。

野本恵子副院長 のもとデンタルクリニック6

私は、自信をつけ自分らしく生きる喜びを知っていただくことも医療の一つだと考えています。日常生活に影響を及ぼす症状が歯科に起因していて、つらいと感じているなら、まずはご相談ください。これまでさまざまな治療法を試しても改善されなかった、という方も諦めないで、一緒に最善の治療法を考えていきましょう。

自由診療費用の目安

自由診療とは

マウスピース型装置を用いた矯正/80万円~、インプラント1歯/30万円~、ホワイトニング(オフィス)/2万円~、セラミッククラウン(1歯)/8万円~

※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

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